2024.06.09

CARS

「一見さんが迂闊に手を出してはならない!」 モータージャーナリストの渡辺敏史がポルシェ911GT3 RSほか5台の注目輸入車に試乗!

モータージャーナリストの渡辺敏史が5台の注目輸入車に試乗

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モータージャーナリストの渡辺敏史さんがエンジン大試乗会で試乗した5台のガイ車がこれ! アルピーヌA110Rチュリニ、BMWアルピナXB7、シトロエンE-C4シャイン、ポルシェ911GT3 RS 、フォルクスワーゲンID.4ライトに乗った本音とは?


千載一遇の状況


21世紀以降の2000年代~2010年代前半は、やれグローバリゼーションだのサプライヤーのメガ化だのもあって、輸入車と日本車の距離がかつてなく縮まった時期ではないかと思うことがあります。でも、現在はかつてないパワートレインの変容に乗じて提供価値が多様化していることもあって、たとえばメルセデスとBMWを比べてみてもこれほど差異が明確化した時はあっただろうかという位に、むしろ各社の個性が明瞭化しているようにもうかがえます。

走らせてナンボの部分もさることながら、停めてディテールを観察するだけでも各々の考え方の違いを充分感じ取れる、そのくらい異なる世界観があちこちでぶつかり合う。ここに日本車も絡めてみると、クルマを取り巻く環境はかつてなく多様で複雑です。そんな今、我々は未来の答えを探しつつ、この千載一遇の状況を楽しみまくるしかありませんよね。




アルピーヌA110Rチュリニ「いかにもA110的」

今のご時世、1t前後の重量でスポーツカーを作ることはとても難しいのはお察しの通り。ケータハム・セブンのような吹っ切れた企画でもなければ、そこに棲むのはロータス・エリーゼ系とマツダ・ロードスター系くらいだろうと思われていたところに、ポーンと入ってきたのがアルピーヌA110だ。

それから約7年。世情も変わりパワートレインの変革なども迫られる中で、好き者の琴線をくすぐる特別仕様車なども追加しながら、A110はマニアックな進化を遂げてきた。チュリニはA110Rの要素をそのままに、ホイールに軽量アルミを採用している。同時に価格もちょっと安くなってくれればよかったが、高価なカーボン・ホイールの扱いに神経をすり減らすなら、敢えてアルミで山坂道をガンガン走りたいというニーズに応えたといえるかもしれない。

そしてアルミがゆえの減衰特性は、様々な凹凸が続く公道での乗り味にも巧く働いていた。軽いのに粘りがあってしなやか……的ないかにもA110なフットワークの延長にチュリニはあるようも思う。




BMWアルピナXB7「紛れもなくアルピナ」

BMW傘下となる2025年には独自の設計・製造がストップすることになるアルピナ。その最後の時は近づきつつあるが、クルマ作りへの熱意はまったく潰えていないことはXB7に乗るとよくわかる。そのアッセンブリーはX7と同じ、サウスカロライナの工場(日本仕様の最終仕上げはドイツ・ブッフローエ)で施されるが、静的・動的品質は見事にアルピナのクオリティに準じている。質量やホイールベースを味方にした、とりわけ乗り心地に長けている銘柄がベースとはいえ、そのライド感は紛れもなくアルピナだ。低中速域でのたゆたうような動きが高速域に向かうに従ってフォーカスが定まるようにヒタッと落ち着く、その上質な振る舞いは一度知るともう戻れない、そんな背徳心を抱かせる。低回転域から湧き上がるトルクで小山のような車体を押し出しながら、いつしか繊細に紡がれる600psオーバーのパワーで車体を高速域へと乗せていく、加速の始終の艶やかさも特別なものだ。ベース・モデルからの伸びしろ、変わりしろという面では、今、筆頭に挙げられるアルピナかもしれない。

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