2024.04.04

CARS

日産のアリア・ニスモははたして買いか? なんと筑波サーキットではヒョンデ・アイオニック5の方が速いらしい モータージャーナリストの国沢光宏が試乗! 比べてから決めましょう!!

昨年登場したフェアレディZとスカイラインに続き、ニスモの名を冠したスポーツ・モデルがアリアに登場。そのプロトタイプを日産のテストコースで試乗した。モータージャーナリストの国沢光宏がリポートする。


「ニッサン・インテリジェント・ファクトリー」生産再開!

日産の電気自動車、アリアが車両価格の値上げと合わせニスモ仕様を追加してきた。アリアというクルマ、あまり順調と言えない立ち上がりとなっている。2022年3月から納車が始まるのだけれど、アリアを組み上げる栃木の「ニッサン・インテリジェント・ファクトリー」(革新的な技術で次世代のクルマづくりを行うことを目的した工場)で生産ラインのトラブル続出。フェアレディZと共に2022年7月から1年半以上にわたり受注を停止していた。



ここにきてやっと新しい生産ラインが稼働するようになったため受注を再開しましょう、ということのようだ。驚いたことに標準モデルは内容の変更を行っていないにもかかわらず120万円もの大幅値上げ! さらに充電ケーブルをディーラーオプション扱いにしている。しかも同じタイミングでアメリカの販売価格を90万円値下げした。最近の日産の方針はよく解らない。少しばかり強引な商売というイメージかと。閑話休題。ニスモの追加モデルに試乗してみた。



前シートはレカロが選べないものの、ホールド性を高めるために独自の形状を採用。表皮も専用となる。

価格は電池容量66kWhのB6で842万9300円、91kWhのB9が944万1300円。使っているうち電池容が量減っていく三元系リチウムイオン電池の場合、電池容量の多い方を買うのがセオリー(ちなみにリン酸鉄リチウムイオン電池は性能劣化が無いので、容量少ない方でも問題なし)。オプションなどを付けて消費税を払えば乗り出し価格1000万円のクルマということになる。気になるのはそれなりの価値があるかどうか、ですね。

エクステリア&インテリアを見ると、フロント&リア・バンパー下側やサイドスカートのデザイン変更や、リア・スポイラーの追加、トリムの素材や色変更などドレスアップがメイン。スポーツ・モデルの定番になっているレカロのシートやブレンボのブレーキに代表される機能強化パーツは、タイヤくらいしか使われていない。追加された機能ということで言えば「スピーカーを使ってフォーミュラEのような走行音を出す」こと(BOSEプレミアム・サウンド・システム装着車)。




百戦錬磨のベテランが味付け

では試乗と行きましょう! R32スカイラインGTRの頃から開発ドライバーをやっている神山幸雄さんという百戦錬磨のベテランが味付けしたとあり、文句なし! 電気自動車は10%くらいの出力ならソフトの書き換えだけでできるし、アクセル・レスポンスも前後の駆動力配分も、神山さんの狙い通りにセットアップ可能。減衰力の見直しなどを行い、走りを楽しめる電気自動車に仕立ててきた。簡単に表現すれば「思い通り以上に走る」感じ。スピーカーから出る音も悪くない。

横方向のGが凄い! ステアリング切るとグイグイ曲がっていく。とっても楽しいクルマに仕上がっている。さて、アリア・ニスモは買いか? この手のクルマを考えているのなら、間もなく日本上陸となるヒョンデのアイオニック5Nを待ってから決めたらいいと思う。アリア・ニスモは筑波サーキット1分8秒台とのこと、アイオニック5Nは1分3秒台らしい。価格も同じくらいになる。ブレーキやシートもスポーツモデルの定番パーツを使っている。比べて決めたらいいと思う。

文=国沢光宏 写真=日産自動車



(ENGINE2024年5月号)

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