2024.04.17

CARS

インフィニティQX80が北米でデビュー 導入されればレクサスLXやランクル300の好敵手になるはずなのに

日産の高級ブランドである「インフィニティ」はフラッグシップSUVとなる新型「QX80」をアメリカで発表した。高級SUVがブームになっているなか、ライバルに負けない圧倒的な迫力に満ちたフォルムが印象的だ。

先代同様、ボリューム感たっぷり

エクステリアは、新型は動きのある芸術性を意味する「Artistry in Motion」(アーティストリー・イン・モーション)をテーマにデザイン。先代のQX80もボリューム感たっぷりのシルエットが印象的でフルサイズSUVにふさわしい存在感を放っていたが、それに勝るとも劣らぬ迫力を持つ。



堂々としたフロント・マスク

フロント・マスクはインフィニティを象徴する新デザインのシグニチャーを備えた大型のダブルアーチ・グリルを中心に、竹林をモチーフにしたというマルチエレメントLEDデイタイムライトを最上部に、その下両サイドにヘッドライトを配置している。ヘッドライト下側にはエアベントが備わる。

また、日本のおもてなしを体現する光の道である「INFINITI Light Path」(インフィニティ・ライト・パス)を採用。これは、インテリジェント・キーを持ってクルマに近づくと、フラッシュ・ドア・ハンドルが自動的にせり出し、フロント・エンブレムやヘッドライトのLEDが乗員を迎える光の演出。その路面を照らす光も凝っていて、INFINITIのマークと翼のような幾何学的形状が地面に投影される。

横に広がったLED式テールランプと、その下にブランド名のロゴを配置したモダンな後ろ姿も目を惹く。「INFINITI」のブランド・ロゴは文字間を少し離して配置するトレンドを踏襲した。300個以上のLEDが使われているというスモーク仕上げのテールランプは、鮮やかな赤色で上部は強調され、下部には一連の水平ライトバーが配置されている。



日本の美を積極的に採り入れる

インテリアは、日本文化と「雅」(みやび)からインスピレーションを得ている。京都の職人文化の影響を受けたインテリアは、幾重にも重ねられた柔らかな素材、華やかで流れるような造形など京都の職人文化を採り入れて仕立てられている。ソフトタッチの素材がふんだんに採用されていて、腕や肘が触れる部分にはソフトな素材を重ねて用いている。さらに、レザーやウッドトリム、スエード、メタルなどには、タッチスクリーンなどの先進技術がシームレスに組み込まれた。

先進的なインパネは2つの14.3インチディスプレイで構成されている。、メーターパネルのグラフィックは、「クラシック」、「エレガント」、「エンハンスド」の3つから選択可能で、ステアリング右側のダイヤル(ジョグホイール)で操作できる。このジョグホイールは、中央の「INFINITI InTouchディスプレイ」からも操作可能で、タブレットのようにタッチ、タップ、スワイプするだけでも容易にコントロールできる。



Googleベースの最新インフォテインメント

最新のインフォテイメント・システムも注目ポイントだ。センターディスプレイには「Google」がビルトインされていて、常に更新される「Googleマップ」はシンプルで効率的なルートガイドを可能にし、「Google Play」を使って好みのアプリをダウンロードすることができる。

さらに、「Googleアシスタント」を使えば、「ヘイ、グーグル、最寄りのインフィニティ販売店までナビゲートして」など、対話するように各種設定が可能になる。



タッチスクリーンで操作

センターコンソールの一番前に配置される9インチ・タッチスクリーンでは、空調機能をはじめ、前席シート・ヒーターやベンチレーションのほかに、ドライブ・モードの選択などもできる。触覚フィードバックが採用されていて、適切な操作ができたかを指先で感じることが可能だ。ナビや音楽ソースの操作の邪魔になることはなく、下の階層に隠れてしまうこともない。なお、カップホルダーやトレー用のスペースを確保するため、シフトはプッシュボタン式が採用されている。

そのほか、ダッシュボードとドアにライトパイプが組み込まれた64色のアンビエント・ライティングにより、ドライブを盛り上げるなど、高級SUVにふさわしい仕掛けが用意された。



全席がファーストクラス

シートは全席ファーストクラス並の快適性が確保されている。QX80で初めて、3列目に同セグメントでは唯一となるシート・ヒーターを装備。1列目と2列目には、シート・ヒーターとシート・クーラーも備わる。さらに、フロント・シートだけでなく、QX80として初めてセカンド・シートにもマッサージ機能を設定。「AUTOGRAPH」(オートグラフ)グレードは、センターコンソール後部に統合された直感的なタッチスクリーンで、後席と後席まわりの装備を操作できる。

また、セグメント初のテクノロジーである「バイオメトリック・クーリング」により、2列目を快適な温度に維持することが可能だ。天井に組み込まれた赤外線センサーが乗員の体温を検知し、温度と風量を調節して2列目に快適な空気を送ることができる機能になっている。



革新的なカメラ技術を活用

そのほか、世界初の技術である「フロント・ワイドビュー」もトピックス。車体前方側面の様子を2つの14.3インチディスプレイに表示する技術で、フード部分が透過して前方を確認できる「インビジブル・フード・ビュー」や、フロント・カメラの映像を写真やビデオとして記録し、SNSなどにシェアできる「ジャーニー・ダイアリー」機能など、革新的なカメラ技術を搭載。また、フルサイズのラグジュアリーSUVで初となる「クリプシュ・プレミアム・オーディオシステム」も採用された。



450psの3.5リッターV6ツインターボ

搭載されるパワーユニットは、VR35DDTT型の3.5リッターV6ツインターボ・エンジンで、最高出力450ps、最大トルクは700Nm(516lb-ft)に達する。トランスミッションはギヤレシオの幅が40%拡大された9段ATで、優れたレスポンスと高い効率性を両立している。

脚まわりでは、電子式エアサスペンションと「ダイナミック・デジタル・サスペンション」の採用がトピックス。エア・スプリングにより、路面状態や走行シーンに合わせて車高調整が可能で、通常走行時は車高を下げることで空力性能を確保し、車高を下げて乗り降りや荷物の載せ降ろしを容易にすることができる。オフロード走行時は通常よりも車高を2.4インチ(約61mm)上げることで高い走破性を確保。また、車両の動きに合わせ電子制御でダンパーの減衰力を自動調整する。



プロパイロット・アシスト 2.1を搭載

そのほか、従来型よりも横剛性を58%高めたフレームにより、快適な乗り心地と優れたハンドリングを実現。さらに、ねじり剛性を300%も向上させた電動パワーステアリング・ラックの採用により、高度な運転支援技術にも対応している。多様なドライバー支援技術に加えて、インフィニティで初となる高速道路でのハンズオフ・ドライブが可能になる「プロパイロット・アシスト2.1」も用意されている。

新型インフィニティQX80は2024年夏以降にアメリカで発売される予定。価格は8万2450ドル(約1250万円)から。買いたくても買えない状態にある「レクサスLX」や「ランドクルーザー300」など日本でも高級SUVの人気は絶大。日本に導入されることがないのがなんとも残念な1台である。



文=塚田勝弘

(ENGINE WEBオリジナル)

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