2024.07.10

CARS

この性能、いったいどこで使う? 生まれ変わったメルセデス・ベンツGクラスにジャーナリストの渡辺慎太郎が試乗 Gターンや異様な速さでオフロードを走る走破性に圧倒された!

メルセデス・ベンツGクラスの国際試乗会に参加!

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メルセデス・ベンツGクラスのオーナーであるジャーナリスト、渡辺慎太郎が大幅改良されたGクラスの国際試乗会に参加。はたして彼は何を感じ、何を思ったのか。

開発チームのプライドと執念が感じられる


メルセデス・ベンツのGクラスは、NATOに採用された軍用車両の民生版というルーツを持っている。1979年に民生版が登場した以降もNATOとの契約は継続されていたので、おいそれとフルモデルチェンジが出来ずにいた(パーツの供給に支障をきたすため)。2018年の大規模改良まで、使用されているすべてのガラスが板ガラスだったのは、そのほうが現地で調達しやすかったからと言われている。圧倒的耐久性の高さとリペアビリティのよさ、そして比類なきオフロード走破性は、Gクラスにとって必然の性能だったのである。

G450d


ところが、「変わらないこと」がいつしかGクラスのスタイルや世界観として認知され人気を博し、おそらく生涯オフロード走行などしないであろうGクラスが、例えば大都市東京なんかに溢れるようになった。どうせオフロードなんか走らないのであれば、それを少し削ってオンロード性能の向上のほうへ振り分ければいいのにと考えるのは、当然の成り行きとして市場にも受け入れられるだろうに、今回のマイナーチェンジでもそうはしなかったところに、Gクラスの開発チームのプライドや執念のようなものを感じる。



たとえBEVでもAMGでも

Gクラス史上初となるBEV版は、これまでコンセプト・モデルとしてEQGと呼ばれてきたが、正式車名はG580 with EQテクノロジーというちょっと冴えない呼称に落ち着いた。各車輪に1つずつモーターを搭載し、既存のラダー・フレームの隙間にバッテリーを埋め込む手法により、473kmの最大航続距離と3085kgという3トン超えの車両重量を伴うことになった。

計4個のモーターを個別に制御できるので、デフやデフロックがなくても仮想的に似た状況を作り出すことができる上、“Gターン”と呼ばれる曲芸を取得した。これはその場で最大2回転、車両がクルクルと回るというもの。1回転にかかる時間は約4秒で、これより遅いと回転軸中心がずれてしまうそうだ。アスファルトやコンクリートの路面での使用が推奨されていないのは、タイヤの摩耗を考慮してのこと。“Gコーナリング”という、切り返しが必要なUターンなどで車体の向きをくるっと変える機能も備わっている。



こういうギミックのような機能はGクラスにそぐわないと思われるかもしれないが、驚愕のオフロード走破性もきちんと備えている。グラベルのようなオフロードをテスト・ドライバーの運転で同乗したが、度肝を抜くような速さで疾走した。電気だから瞬時に必要な車輪に駆動力を与えられるので、想像を超える接地性とトラクション性能が継続的に得られるのである。また、バッテリーを完全防水化してシャシーの構造部材としての役目も担わせたおかげで、シャシー剛性は内燃機仕様よりも上がり、渡河水深も750mmから850mmに増えている。デフがないので、最低地上高も内燃機仕様より増えたそうだ。つまりG580は、本格オフローダーとしての性能もきちんと担保されているのである。



G580と同じかそれ以上の速さでグラベルを突っ走ったのがAMGのG63だった。オフロードをこんな非現実的な速さで走るAMGはこれまで見たことがない。SLなどに採用されているAMGアクティブ・ボディ・コントロール・サスペンションがそれを可能にしているという。オンロードをブイブイ言わせながら走るイメージの強いAMGにも、Gクラスの名に恥じないオフロード走破性をついに付与したわけだ。

ガソリンのG500とディーゼルのG450dはいわゆる正常進化である。ISG仕様となったので、モーターのサポートにより全域で動力性能のレスポンスが向上し、燃費も20%近くよくなっている。正確なハンドリングと優れた乗り心地はほとんど変わりなかった。音声認識やタッチ式パネルなど各種機能は、ほぼ最新版へアップデートされている。

Gターンや異様な速さでオフロードを走る走破性など、特に日本ではいったいいつどこで使うのかとツッコミどころ満載ではあるけれど、それでも妥協せずに取り組んだ姿勢こそが、Gクラスの開発チームのプライドなのである。

文=渡辺慎太郎 写真=メルセデス・ベンツ


■メルセデス・ベンツAMG G63
駆動方式 フロント縦置エンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4873×1984×1971mm
ホイールベース 2890mm
トレッド(前/後) 1650/1654mm
車両重量 2640kg
エンジン/モーター形式 水冷V型8気筒DOHCターボ+モーター
排気量 3982cc
最高出力 585ps+20ps/6000rpm
最大トルク 850Nm+200Nm/2500-3500rpm
トランスミッション 9段AT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン
サスペンション(後) リジッド
タイヤ・サイズ(前後) 275/5020
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
車両本体価格 未定

(ENGINE2024年7月号)

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