2024.06.27

CARS

メルセデスの大黒柱GLCとガチンコ勝負のBMW X3が4代目にフルモデルチェンジ

BMWのDセグメントSUV、「X3」が4代目へと生まれ変わった。従来型の3代目は2017年のデビューだから、7年ぶりのフルモデルチェンジとなる。

エクステリアは存在感をアップ

エクステリアはひと目で最新世代と分かる厚みのあるフロント・エンドをはじめ、存在感をアップ。大きく2つに分割されたキドニー・グリルが印象的で、シグネチャー・ツイン・ヘッドライトは、L字型のライト・エレメントを備えた新しいデザインが採用されている。マトリクス・ハイビームとブルー・デザインのディテールが目を惹くアダプティブLEDヘッドライトと「Mライト・シャドーライン」も選択可能だ。



クリーンでモダンな雰囲気

ボディ・サイドで目を惹くのは、後方に向かって斜めに切れ上がるウェストラインと前方に向かって傾斜しているフェンダーアーチ。ドア・ハンドルをバー・タイプからフラットな形状に変更したほか、フェンダーアーチの樹脂モールやフロント・フェンダーのエア・アウトレットを廃止したこともあって、先代よりもクリーンでモダンな雰囲気になった。リア・フェンダーは大きな膨らみとメリハリのある輪郭が与えられ、存在感を増している。

力強くなったリアまわりは、横T字型のLED式テールライトが印象的だ。リア・エプロンは、トップ・グレードの「M50 xDrive」以外は、エグゾースト・テールパイプが見えないようにデザインされている。

ボディ・サイズは、全長×全幅×全高=4755×1920×1660mmで、従来型と比べると、全長は34mm延長。全幅は29mm拡大したことで1.9m台の大台に突入した。全高は25mm低くなっている。ホイールベースは2865mmと従来型と変わっていない。



シームレスなインテリア

インテリアも全面的に新しくなり、インパネからドアトリムにかけて、乗員を包み込むようなシームレスなデザインになった。

BMWの最新の流儀に則り、12.3インチ・インフォメーション・ディスプレイと14.9インチ・コントロール・ディスプレイを備えた「BMWカーブド・ディスプレイ」をはじめ、フラット・ボトム化された新型ステアリング・ホイール、新型ギア・セレクター・レバーを採用。センター・コンソールには、ワイヤレス充電機能を含む収納スペースが備わる。



環境に配慮した素材を多用

シートでは、リサイクル素材由来の「エコニア」(Econeer)シートが標準装備されるほか、植物由来のレザーである「ヴィーガン・パーフォレーテッド・レザー」や本革仕様も選択可能。さらに、「Mスポーツ・パッケージ」ではヴィーガン&アルカンターラシートを用意する。オプションの「ラグジュアリー・インストルメント・パネル」には、高級感を失うことなく環境性能に配慮したリサイクル・ポリエステルが初採用されている。

装備面では、電動調整式スポーツ・シートをはじめ、シート・ヒーター、3ゾーン・オートエアコン、コンフォート・アクセスなどを標準装備。固定式のパノラミック・ガラス・サンルーフやアクティブ・シート・ベンチレーション、ランバー・サポート、ステアリング・ホイール・ヒーター、「ハーマン・カードン」製のサラウンド・サウンド・システムなども用意されている。

積載性の向上もトピックス。大型のテールゲートは、大きな荷物の積み込みを容易にし、電動開閉機構などももちろん用意。荷室は奥行きと幅が拡大し、積載量は20リッター増となる570リッターに達している。なお、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)モデルは、従来型の10リッター増となる460リッター。後席は、BMWお馴染みの背もたれが40:20:40の3分割式で可倒し、倒すことで最大時は1700リッターまで拡大する(PHEVは1600リッター)。



パワートレインは多彩

搭載されるパワートレインは、PHEV、ガソリン、ディーゼルと多彩。トップレンジの「M50 xDrive」には、398ps(293kW)の新しい直列6気筒ガソリン・ターボを搭載。2.0リッター直4ディーゼル・ターボの「20 xDrive」は208ps(153kW)、2.0リッター直4ディーゼル・ターボの「20d xDrive」は197ps(145kW)をそれぞれ発生する。

「30e xDrive」は、2.0リッター直4ガソリン・ターボとトランスミッションに統合したモーターを組み合わせたPHEV。システム出力は299ps(220kW)。約2倍のエネルギー容量を持つ新しい高電圧バッテリーを搭載し、WLTPモードでの航続可能距離は81~90kmとなっている。11kWまでの交流普通充電に対応している。

2025年夏には、3.0リッター直列6気筒ディーゼル・ターボも追加される。なお、すべてのエンジン車には48Vのマイルド・ハイブリッド技術が搭載されている。

組み合わさるトランスミッションは、全車シフト・パドル付の8段AT。Mスポーツ・パッケージ搭載車とM50 xDriveにはスポーツ・ブースト機能も備わる。さらに、M50 xDriveはリア・アクスルに「M Sportディファレンシャル」を持つ後輪重視の4WDシステムが採用されている。



シャシーとボディもアップデート

シャシーは、最適な乗り心地を担保しつつ、よりシャープな走りを実現するため、ボディの強化も含めてアップデートされたという。足元には、18インチが標準装備で、「30e xDrive」は19インチを標準化。「M50 xDrive」は20インチが標準で、21インチホイールとスポーツ・タイヤがオプション設定する。

運転支援装置をはじめ先進安全装備も進化を遂げた。前面衝突警告や車線変更警告、車線逸脱警告、制限速度情報、パーキング・アシスタント(後退時アシスタントを含む)を標準装備。オプションの「パーキング・アシスタント・プロフェッショナル」を選択すると、スマホを使い、駐車スペースへの出入りをはじめ、車外から最大200mまでの距離を操作することが可能になる。

コネクティビティでは、「BMWオペレーティング・システム9」のOSをベースに、アップグレードされた「BMW iDrive」を用意。クラウド・ベースの「BMWマップ・ナビゲーション・システム」も採用された。また、BMWコネクテッド・ドライブ・ストアの「BMWデジタル・プレミアム」には、ビデオ・ストリーミング、サードパーティ製アプリ、「BMWマップ・ナビゲーション・システム」の拡張機能などを揃えている。

新型X3は、2024年第4四半期に米国と欧州を皮切りに生産を開始。日本への導入については現時点では明らかにされていない。



文=塚田勝弘

(ENGINE WEBオリジナル)

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