2024.06.21

CARS

奇をてらわずに正常進化 BMW1シリーズが4代目にフルモデルチェンジ 

初代BMW1シリーズは、Cセグメント唯一のFR(フロント・エンジン後輪駆動)モデルとしてデビューし、2代目までFRを採用してきた。現行型の3代目からはFF(前輪駆動)ベースとなり、前後席ともに居住性が大幅に向上するなど、FF化の恩恵を実感できるモデルになった。

5年でフルモデルチェンジ

このほど、ドイツ本国で新型となる4代目が発表された。初代は約7年、2代目は約8年というモデルライフだったが、3代目は5年という短命に終わることになる。



内外装だけでなくシャシーも一新

従来型は、フロント・マスクに迫力があり、塊感のあるシルエットが印象的であった反面、2代目までの低く構えた、スポーティ感が薄まったように感じられた。4代目は1シリーズらしいスポーティなテイストが戻ってきた。

新型は内外装が一新されただけでなく、大幅に改良されたシャシーを備え、同クラスの中でもスポーティな走りをさらに鮮明化。また、48Vマイルド・ハイブリッド技術が採用された高効率エンジンをはじめ、省資源化と素材のリサイクルを目指した生産工程により、ライフサイクル全体で持続可能性を最適化するなど、環境への配慮ももちろん盛り込まれている。

エクステリアは、ロングノーズと後方よりに設置されたキャビンをはじめ、リアに向かって後傾するルーフ・ライン、力強いリア・ビューが印象的だ。



イメージを踏襲

前傾したワイドなラジエーター・グリルは、縦と斜めのバーが組み合わされた革新的な構造を採用した。標準装備のLED式ヘッドライトは、デイタイム・ランニング・ライトとターン・インジケータに縦型エレメントが使われている。さらに、周囲のドライバーなどを幻惑させないグレアフリーのマトリックス・ハイ・ビーム、コーナリング・ライト、ブルー・アクセントを備えたアダプティブLEDヘッドライトもオプションで選択できる。

サイドビューは、後方になるほど細くなるフラットなウィンドウ・グラフィックが特徴的だ。Cピラーに備わるお馴染みのホフマイスター・キンクには数字の「1」が表現されたグラフィック・エレメントが刻まれている。

さらに、長さが印象的なルーフ・スポイラーとサイド・エアディフレクターが伸びやかなシルエットを強調。2分割式のテールライトは、サイドまで伸ばされていてワイド感を演出している。



全長と全高が若干拡大

ボディ・サイズは、現行型と比べると、全長は42mm長い4361mm、ホイールベースは2670mmと同値。また全幅も1800mmと現行型と同じで、全高は25mm高くなり、1459mmとなっている(欧州仕様値)。

ボディ・カラーは、2種類のソリッドと7種類のメタリックを用意。また、4種類のBMWインディビデュアルのカラーと多彩なBMWインディビデュアル特別塗装仕上げも設定される。オプションで初めてコントラスト・ルーフ・ペイントが選択可能になり、ハイグロス・ブラック仕上げはスポーティな外観をさらに強調している。



リサイクル・ポリエステルを使用

プレミアム・スポーツを謳うインテリアは、標準仕様ではレザーを使わない、リサイクル・ポリエステルを使用したカバーと表皮を備えたスポーツ・シートを採用、シートは新設計され、ロングドライブでも快適な座り心地が得られる。Mスポーツ・シートもオプションで設定可能。ほかにも、レザー調のパンチング加工が施されたシート表皮が選べるほか、アルカンターラを「Mスポーツ・パッケージ」の一部に、「BMW M135 xDrive」に標準装備し、質感向上が図られている。

装備では、シート・ヒーターと運転席側のメモリーを含めた電動調整機能をすべてのシート・バージョンにオプション設定。スポーツ・シートとMスポーツ・シートには、ランバー・サポートを追加することが可能なほか、スポーツ・シートにはオプションでマッサージ機能も選択できる。また、荷室容量は通常時380リッターで、最大で1200リッターまで確保され、Cセグメントでもトップクラスの広さを誇る。



主力モデルにマイルド・ハイブリッドを採用

発売開始当初のラインナップは4モデル。ガソリンは「120」と「M135iドライブ」の2タイプ。
120は、156ps/240Nmの1.5リッター直3ターボに20ps/55Nmのモーターを組み合わせることで170ps/280Nmnoシステム総合出力を持つマイルド・ハイブリッドの前輪駆動モデル。M135は、300ps/400Nmの2.0リッター直4ターボに4WDを組み合わせたシリーズ最強モデルとなる。

ディーゼルは「118d」と「120d」のこちらも2タイプで、どちらも同じ156ps/360Nmの2.0リッター直4ターボを搭載する前輪駆動モデル。ただし、120dは20ps/55Nmのモーターが搭載され、システム総合出力が163ps/400Nmまで高められている。4モデルともに、組み合わさるトランスミッションは、デュアルクラッチ式7段自動MTのステップトロニックとなる。



ボディ剛性をアップ

ボディの高剛性化も盛り込まれた。ボディ構造とシャシーの連結剛性の向上により、BMWらしい俊敏性をはじめ、ステアリングの正確性、コーナリング性能の高さ実現。さらに、アンチロールバー・マウントの変更や新しいショック・アブソーバー技術などの採用も操縦安定性や乗り心地の向上に寄与。なお、前輪のキャスター角は20%増加し、スタビリティと最適化されたステアリング・フィードバックに寄与している。

タイヤ・サイズは17インチオプションのMスポーツ・パッケージには、車高を最大8mm下げるアダプティブMシャシー、スポーツ・ステアリング、18インチアルミホイールからなる。最大19インチのライト・アロイ・ホイールとMスポーツ・ブレーキ・システムもオプション設定される。

また、最新の先進安全装備も搭載。前面衝突警告や車線逸脱警告、退出警告、交通標識認識機能を備えた「ドライビング・アシスタント」、後退支援機能を備えた「パーキング・アシスタント」を標準装備。ステアリング&レーンコントロール・アシスト、自動速度制限アシストなどもオプションで選べる。120と120dにはスマートフォンで駐車操作ができる「パーキング・アシスタント・プロフェッショナル」も用意される。

ドイツなどの市場投入は、2024年10月の予定。日本市場への導入時期などは現時点では明らかにされていない。



文=塚田勝弘

(ENGINE WEBオリジナル)

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