腕時計は身に着ける場所やライフスタイル、好みに合わせて、選択肢の幅がますます広がっています。そんな多様性の時代の時計界をリードする各ブランドの“いま”を体現するトップランナーたちを、エンジン時計委員会の8人に熱いコメントで推してもらいました! オリンピックイヤーの2024年にこそ手に入れたい1本を、『夏の時計大特集』で見つけてください。
“スポーツウォッチ創り”のトップランナー タグ・ホイヤー
タグ・ホイヤーの定番2シリーズの最新作からセレクトしたのは、ネイビーブルーが際立つ2モデル。カラーリングの妙を満喫したい。
01 エンジン時計委員 柴田 充、髙木教雄の推し!タグ・ホイヤー モナコ クロノグラフ
1970年代からカーレースと深いつながりをもち、「カレラ」と並んでタグ・ホイヤーの代名詞となってきた「モナコ」。2024年最新モデルはスケルトン仕様のダークブルーエディション。幾何学的なオープンワークにサンドブラスト加工を施したブルーダイアルから見えるのは、自動巻きの巻き上げ効率を改善し、約80時間のパワーリザーブが備わる新世代のクロノグラフムーブメント、キャリバーTH20-00。DLC グレード-2 チタン、ケース径39mm、100m防水。141万3500円。
『スターの感性と挑戦の精神』 柴田 充(時計ライター)
モナコは『栄光のル・マン』で知られ、当時のサーキットの空気感とS・マックイーンの姿が重なる。だがリアリティを追うのなら、ブルーと白に彩られた大振りの角形ケースは論外だ。それでもあえて選んだのは、スピードに魅せられたスターの感性だろう。モナコの新作はブルーの夜光がアヴァンギャルドを演出する。また、ダイビングツールの役割がダイブコンピュータに取って代わられたいまでも本格ダイバーズが求められるのは、深海で唯一信頼を寄せる存在だからだ。刻む時間は普段身に着ける日常にも繋がり、必ずそこに戻るという意思を宿す。アクアレーサーの新作はケース径を変えることなく視認性を増し、たとえ陸にいたとしても大いなる挑戦の精神を共有できるのだ。『才媛がもたらす高性能』 髙木教雄(時計ジャーナリスト)
2020年3月にタグ・ホイヤーに移籍したキャロル・カザピ氏は、個人的に尊敬している設計者の一人だ。時計界きっての才媛による斬新かつ大胆なメカニズムは、アヴァンギャルドを標榜するメゾンにピッタリ……との考えは、いい意味で裏切られた。彼女はまず、高性能な3針自動巻きをメゾンにもたらしたからだ。「アクアレーサー プロフェッショナル 300」が積むCal.TH31-00である。設計はカザピ、製造はセリタ傘下のAMTに委託することで量産を可能としたのも慧眼であった。続いて彼女は、既存の自社製Cal.ホイヤー02にメスを入れ、自動巻き機構を高効率化し、クロノグラフの挙動をより安定させた。造作と意匠に凝ったこれら2作の真の価値は、名設計士がじっくり練り上げた機械にある。
02 エンジン時計委員 数藤 健、篠田哲生の推し!
アクアレーサー プロフェッショナル 300
300m防水の本格ダイバーズウォッチがアップデート。2024年最新バージョンでは、新たな分目盛りやシールド型の針によってダイアルの視認性をさらに向上。ケースも直径43mmから42mmへとサイズダウン、加えて厚さを12mmにするなど、人間工学的アプローチでプロポーションやバランスを見直し、より快適な装着感を追求した。自動巻き。COSC認定クロノメーター。パワーリザーブ約80時間。ステンレススティール、ブラックセラミック製逆回転防止ベゼル。47万3000円。
『まさに価格を超えた価値ある時計』 数藤 健(エンジン編集記者)Watches & Wonders 2024で出たモナコの新作は、青と赤のスプリットセコンド クロノグラフ2本(各1672万円)のみ。今年のモナコは高嶺の花か、と思っていたらアフォーダブルなモデルが追加発売された。アイコニックな意匠をモダンに再解釈。青・黒・黄というクルマ好きレース好きの心の琴線に触れる色使いとセミスケルトン・ダイアルでまとめてきた。モナコの公用語がフランス語だからというわけではないだろうが、フレンチブルーを纏ったこれには食指が動く! アクアレーサーもW&W後の新作発表。波模様の仕上げを施したマリンブルーのダイアルにオレンジ針が映える。いずれも価格も含めとても魅力的。さすが、商品のポジションとバリューが考え抜かれている。『陸派か海派か。それが問題だ。』 篠田哲生(時計ジャーナリスト)モータースポーツ好きの自分としては、タグ・ホイヤーのイメージは陸にある。レーシングウォッチの定番である「タグ・ホイヤー モナコ」は、1969年のデビュー以来変わらぬ人気を誇っているが、そのアイコニックなデザインを生かしつつ、スケルトンダイアルやブラックケースでアップデートすると、一気に現代的に見えてくるから不思議だ。その一方で、アラフィフの自分よりも上の世代にとっては、タグ・ホイヤーは海の時計だという。小ぶりでカラフルなタグ・ホイヤーのダイバーズウォッチは、青春を飾る一ページだったそうで、ダイバーズウォッチ「アクアレーサー」の変わらないスタイルに惹かれるそうだ。陸派か海派か。それは悩ましい問題である。問い合わせ=LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー Tel.03-5635-7030写真=宇田川 淳
(ENGINE2024年8月号)
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