2024.07.19

CARS

ポルシェ・マカンに初の後輪駆動モデルが登場 4WDより100kg軽いボディにも好感

2024年7月16日にポルシェ・ジャパンは、フル電動化SUVである新型「マカン」のラインアップに、後輪駆動モデルの「マカン」と高性能バージョンの「マカン4S」を加え、予約受注を開始した。

欧州では内燃機関モデルは終了

今年1月にシンガポールでワールドプレミアされた第2世代のマカンは、「タイカン」に続くポルシェの電気自動車=バッテリーEV(BEV)の第2弾となる。ヨーロッパ市場では従来のICE(内燃機関)を搭載した先代と完全に置き換えられる形で市場導入される。これは、ヨーロッパ市場でサイバーセキュリティ法の規制を受けるためで、すでにヨーロッパの多くの国の公式サイトからは従来のICE搭載モデルが消滅している。一方、現時点では同法の影響を受けない日本市場では、当面ICE搭載モデルも継続販売される。

日本のユーザーにとっては、選択肢が多いのは嬉しいかぎりだが、2026年5月には継続生産車にもサイバーセキュリティ法の規制が拡大される。またICEモデルがいつまで生産されるのかもわからないので、購入を検討している人は早めに動いたほうが良さそうであることは確かだ。



アウディQ6 e-トロンの兄弟車

さて、今回ラインナップが拡充されたフル電動マカンだが、基本的には今年3月に発表されたアウディQ6 e-トロン(日本未導入)と同様に、ポルシェとアウディが共同開発した次世代BEV専用プラットフォームである「PPE」(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)を採用したBEVのミッドサイズSUVである。

メカニズム的にもQ6 e-トロンと多くを共用したモデルだが、アウディe-トロンGTとポルシェ・タイカンが全く異なるモデルであるのと同様に、新型マカンもポルシェの名に相応しい走りを備えたモデルとなっている。



リア・モーター後輪駆動

新たに加わった後輪駆動モデルのマカンは、マカン4のリア・アクスルに用いられているものと同じ最高出力340㎰の電気モーターを搭載し、後輪のみを駆動する。電気モーターは、高効率半導体素材であるシリコンカーバイド(SiC)により効率を高める480アンペアのパルスインバータ(PWR)を採用。これによりPWRのスイッチング損失が大幅に削減され、スイッチング周波数を向上させている。

ローンチ・コントロール使用時にはオーバーブースト状態となり、最高出力が360㎰に、最大トルクは563Nmに向上。0-100km/h加速5.7秒、最高速度220km/hという優れたパフォーマンスを実現している。またリチウムイオン・バッテリーの容量は他のモデルと同様に100kWh。ただし、後輪駆動であるためマカン4より車両重量が110kg軽量であるため、WLTP複合モードにおける航続距離は最大641kmとロングレンジを実現した。



マカン4とマカン・ターボの間

マカン4とマカン・ターボの間に位置づけられるマカン4Sは、新しいリア・アクスル用モーターと、強力な600アンペアのSiCパルスインバータを搭載。フロント・アクスルにはマカン4およびマカン・ターボと共通のモーターを使用し、システム合計で448㎰を発揮。オーバーブースト状態となるローンチ・コントロール時には516㎰と820Nmを絞り出す。0-100km/h加速は4.1秒、最高速度は240km/hに達する。また最大で606kmの航続距離も実現している。

マカン4Sには、ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネジメント(PASM)が標準で備わり、レベリング・システムと高さ調整機能を備えたアダプティブ・エア・サスペンションや、ポルシェ・トルクベクトリング・プラス(PTV Plus)、さらに後輪操舵により、卓越したハンドリングと優れた快適性を両立させている。

すべてのフル電動マカンには、全く新しいディスプレイとコントロール・システムも搭載されている。12.6インチの曲面ディスプレイを備えたメータークラスターと、10.9インチの助手席用ディスプレイ、拡張現実技術を用いたヘッドアップ・ディスプレイ、コミュニケーション・ライトを備えたアンビエント・ライトで構成されるポルシェ・ドライバーエクスペリエンスは、デジタルとアナログの要素を組み合わせている。



オフロード・デザインパッケージを新設定

また今回、新設定のボディ・カラーであるスレートグレーネオが、全車で選択可能となり、20インチのマカンSホイールがオプションリストに追加された。さらに全モデルに新しいオフロード・デザインパッケージが設定されている。

オフロード・デザインパッケージは、フロント・バンパーとサイド・スカート、ディフューザー・パネル、ルーフレールがベビウスグレーまたはボディ同色から選択可能。ルーフレールはブラックかシルバーのほか、マカン・ターボではターボナイトも選択できる。

このパッケージを選択すると、アプローチアングルが最大17.4度まで拡大。パッケージを選択しない場合でも、マカン、マカン4、マカン4Sでベビウスグレーのインレイを備えたオフロード・フロント・バンパーを選択すると、アプローチアングルが拡大する。また。アダプティブ・エア・サスペンションと組み合わせると、最低地上高が10mm高くなり195mmとなる。

価格は、マカンが998万円、マカン4が1045万円、マカン4Sが1196万円、マカン・ターボが1525万円。。なお、日本仕様は全車右ハンドル仕様となる。



文=竹花寿実

(ENGINE WEBオリジナル)

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