2024.02.06

CARS

ポルシェの大黒柱「マカン」がフルモデルチェンジ 内燃機関を全廃してすべてEVにする大改革を英断

ポルシェ自らが擬装した開発車両によるテスト風景を公開するなど、その存在が公言されていた新型「ポルシェ・マカン」がシンガポールで世界初公開された。

10年ぶりの全面刷新

「やっちゃえ○○」という日本の自動車メーカーのキャッチコピーはとてもインパクトのあるものだったが、これから紹介するマカンとしては2代目となる新型は、つい「やっちゃえポルシェ」あるいは「やったねポルシェ」と叫びたくなる、10年ぶりの中身の濃いフルモデルチェンジとなった。



ポルシェの稼ぎ頭がEVに

新型マカンでまず驚かされるのは、こちらもすでに公言されていたが、ポルシェ初の「フル電動SUV」であることだ。2014年以来、世界中で80万台以上のマカンが販売されてきたポルシェの稼ぎ頭であるマカンがフル電動SUVになったことに大きな衝撃を受けるのだ。



マカンのフォルムにタイカンの顔

デザイン部門の責任者であるミヒャエル・マウアー氏が「電気自動車=バッテリーEV(BEV)になっても、このセグメント随一のスポーツカーであり続けることを明確に示した」というスタイリングは、フロント・マスクにポルシェ初の量産BEVである「タイカン」の意匠が盛り込まれているものの、フォルムは先代のクーペ・ライクなイメージを色濃く残している。

そのボディ・サイズは全長×全幅×全高=4784×1938×1622mm。先代と比べると全長と全幅が若干拡大した。ホイールベースは先代モデルより86mm長い2979mmとなっている。空気抵抗係数(Cd値)は可変式リア・スポイラーや同じく可変式のフロント・エアインテークなどを備えた「ポルシェ・アクティブエアロ・ダイナミクス」(PAA)の効果などにより0.25に抑えられている。ホイールベースは長くなったが、オプションで用意されるマカン初となる最大操舵角5度の後輪操舵により最小回転直径は11.1mに抑えられている。



3つの画面を備えたインパネ

インテリアでは、運転席前に曲面デザインの12.6インチ、中央に10.9インチ、さらに助手席前にも10.9インチという最大で3つの画面を備える最新世代のインパネを採用。オプションとなる助手席前の画面は運転席側から画面表示が見えない加工が施され、インフォテインメント・システムの情報閲覧だけでなくYouTubeなどビデオ・コンテンツのストリーミング再生も初めて可能となっている。また、AR(拡張現実)技術によるヘッドアップ・ディスプレイも用意。ナビゲーションの誘導矢印などの画像がディスプレイで換算すると87インチのサイズ相当の大きさで10m先の路面に表示されているように見える。

電動化によって室内と荷室は拡大。運転席と助手席は従来よりも28mm低く、後部座席は15mm低くなり、足元スペースが増加している。荷室容量は後席使用時で540リッター、最大で1348リッター。さらにボンネットの下にも「フランク」と呼ばれる容量84リッターの小物入れが備わる。



BEV専用プラットフォームを採用

プラットフォームは「PPE」(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)を採用。アウディとの共同開発したBEV専用で、今後、フォルクスワーゲン・グループのプレミアム・ブランドで広く使用されることになる。

今回発表されたラインナップは「マカン4」と「マカン・ターボ」の2モデル。モーターの出力はローンチ・コントロールを作動時で、マカン4が最高出力300kW(408ps)、最大トルク650Nm、マカン・ターボは470kW(639ps)、1130Nmを発生する。0-100km/h加速はマカン4が5.1秒、マカン・ターボが3.3秒で、最高速度はそれぞれ220km/hと260km/h。2000kgの最大牽引性能はマカンの実用性をさらに高める。

走行中には電気モーターを介して最大240kWのエネルギーを回生する。複合走行距離(WLTP)はマカン4で最大613km、マカン・ターボで最大591kmとなっている。ちなみにマカン4とマカン・ターボはともに2つの電気モーターを搭載した4WDだ。



100kWhのリチウムイオン・バッテリーを搭載

キャビンの床下に搭載された総容量100kWhのリチウムイオン・バッテリーを搭載。そのうち最大95kWhを使用することができる。HVバッテリーはポルシェが新型マカンで初めて採用した800Vアーキテクチャーを備えた新開発のプレミアムプラットフォームエレクトリックの中心コンポーネントとなる。

DC充電出力は最大270kWで、このバッテリーは適切な急速充電ステーションで約21分以内に10%から80%まで充電することができる。400Vの充電ステーションでは、バッテリー内の高電圧スイッチにより、800Vのバッテリーを定格電圧400Vの2つのバッテリーに効果的に分割することでバンク充電が可能。これにより、HVブースターを追加することなく、特に効果的な最大135kWの充電が可能になる。また、家庭用充電器では最大11kWのAC充電が可能となる。

新型マカンはカーボンニュートラルを実現したポルシェのライプツィヒ工場で生産される。マカンのサクセスストーリーはフル電動化モデルでも引き継がれるであろう。



文=木原寛明

(ENGINE WEBオリジナル)

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