2024.08.01

CARS

コルベット初のターボ・モデル、新型ZR1は1000psオーバーの史上最速・最強のコルベット

2025年モデルの「シボレー・コルベット」がアメリカ本国で発表され、最速最強モデルである「ZR1」が復活を果たした。

5.5リッターV8をツインターボ化

8代目のコルベットに設定された新型ZR1における最大の特徴はエンジン。市販モデルのコルベットとしては初のターボチャージャーが採用された。



7リッターV8の2倍

「LT7」型と呼ばれる5.5リッターV8DOHCツインターボは最高出力1079㎰/7000rpm、最大トルク1123Nm/6000rpmを発揮。0-400m加速は10秒を切る史上最速のZR1だ。最高速度は215mph=346.01km/hとなる。LT7は、6代目コルベットZ06の7.0リッターV8である「LS7」エンジン2基分以上のパワーを発生する。

LT7は、エグゾースト・マニホールドと一体化されたデュアル・ポートのモノスクロール・ターボを2基搭載。排気バルブからタービンまでの容積と距離を縮小するとともに、電子制御ウェイストゲートにより素早いレスポンスを実現。また、バルブ・タイミングとリフト量はターボ過給に合わせて最適化されている。



約137kgのダウンフォース

エクステリアで目を惹くのはカーボンファイバー製のエアロ・パッケージ。トップスピードで約137kg以上のダウンフォースを生み出す。さらに、2代目のC2コルベットに採用され、コルベットの歴史において最も象徴的なスタイルのひとつである「スプリット・リアウィンドウ」が復活したのもトピックスだ。また、カーボンファイバー製ルーフを採用することで、クーペとコンバーチブルともに車重を軽減し、低重心化を実現している。

新型ZR1は、サーキット走行を見据え、空力特性や冷却性能を変更。エア・アウトレットを備えたフロースルー・ボンネットはフロント・グリルから取り入れられ、インタークーラーを通った空気をボンネット上に排気することで、インタークーラーの冷却だけでなく、フロントのダウンフォースを増加させる。

さらに、ドアの後方に備わるV字のウィッシュボーン・デザインのカーボンファイバー製のサイド・ダクトはエンジンを冷却するだけでなく、後端の小さなダクトを通して、クリーンで冷たい空気がリア・ブレーキに送り込まれ、後輪のトラベルに影響を与えないように複雑に設計されたシステムを通して冷却する。また、クーペのリヤハッチ上部に設置されたカーボンファイバー製インレットからは、ターボの吸気温度を冷却するために空気を取り込んでいる。



ブレーキ・ローターは歴代最大

インテリアは、インテリア・プレート、シル・プレート、ステアリング・ホイールに施された独自の「ZR1」バッジをはじめ、細部にもこだわりが凝縮されている。「3LZ」トリムには、ZR1用の新しい仕上げステッチ・パターンがドアに採用されるほか、ブースト計も備わることで、コルベット史上初のターボ・エンジン搭載車であることも示している。さらに、新しい「ハバネロ・インテリア」と「ブルースティッチ・オプション」も設定され、フルレングスのレーシング・ストライプ、専用色のブレーキ・キャリパーやシートベルトが備わる。

ハイパワーを受け止めるブレーキも強化。新しいカーボン・ブレーキは、カーボンセラミック製のローターの製造を変更することで、耐久性の向上とブレーキ部品の温度低減を実現。フロント・ローターの直径は400mm、リア390mm。フロント・ローターは歴代コルベットで最大だとという。



サーキット向けのオプションを用意

さらに、サーキットなどのクローズド・コースでの性能をさらに高める「ZTKパフォーマンス・パッケージ」をオプションで設定。エクステリアにカーボン製の大型リア・ウイングと張り出しを大きくするとともにカナードを備えたフロント・スポイラーを装着することでダウンフォース量をアップ。さらに、シャシーには硬めのスプリングとミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2Rタイヤが装着される。なお、フロント・スポイラーとリア・ウイングは標準シャシー仕様にも装着が可能だ。

エクステリアとインテリアのカラーをカスタマイズできるのも新型ZR1の特徴だ。「コンペティション・イエロー」、「ヒステリア・パープル」、「セブリング・オレンジ」という新色は、2025年型コルベットのラインアップと同じだ。

コルベットZR1は2025年に生産を開始。コルベット・スティングレイ、コルベットZ06、コルベットE-Rayとともに、コルベット・シリーズの体制を盤石にするはずだ。価格などの詳細は、生産間近に発表される見込みとなっている。



文=塚田勝弘

(ENGINE WEBオリジナル)

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