2024.09.13

LIFESTYLE

映画初出演とは思えない12歳の美少女、中西希亜良にも注目! フィギュアスケートで結ばれた3人の心の交流を描く映画『ぼくのお日さま』

映画初出演の中西希亜良

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アイスダンスのパートナーとなった少年と少女、そして彼らを見守る元フィギュアスケーターのコーチ。今年のカンヌ国際映画祭でも話題を集めた映画『ぼくのお日さま』が公開された。主演を務めた3人の繊細な演技にも注目。

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劇中に流れるドビュッシーの『月の光』のごとく

新進気鋭の若手による、独自性の強い作品を中心に構成されるカンヌ国際映画祭の「ある視点」部門。今年、この部門に2年ぶりに選出された日本映画が、現在28歳の奥山大史監督による『ぼくのお日さま』である。

大学在学中の2019年に制作した長編映画デビュー作『僕はイエス様が嫌い』で、サンセバスチャン映画祭の最優秀新人監督賞を史上最年少で獲得した奥山監督。長編2作目となる本作で描くのは、フィギュア・スケートを通してつながった3人の男女の物語だ。

雪が降り積もる田舎の町に暮らす小学6年生のタクヤ。アイスホッケーでケガをした彼は、リンクでフィギュア・スケートの練習をする少女さくらに心を奪われてしまう。ホッケー靴のままフィギュアのステップを真似して、何度も転ぶタクヤ。その姿を見たさくらのコーチ荒川は、彼にスケート靴を貸し、さくらのアイスダンスのパートナーになることを勧める……。



吃音のある内気な少年、どこか大人びた雰囲気を漂わせる少女、そして彼らを見守るコーチ。奥山監督は、劇中に流れるドビュッシーの『月の光』のごとく、三者の心の交流、そして機微を繊細に映し出す。元フィギュアスケーターのコーチ役、池松壮亮のどこか陰のある存在感、
越山敬達が体現するタクヤ純粋なひたむきさも素晴らしいが、さらに強い印象を残すのが撮影当時12歳だった中西希亜良。これが映画初出演とは思えない自然な芝居で、まっすぐでありながら、繊細で危うくもある少女さくらの複雑な内面を表現する。

映画を観ながら、いつまでも3人の幸せが続くことをつい願ってしまうが、その関係は実に脆い。親友を突然、失う小学生を主人公にした『僕はイエス様が嫌い』もそうだったが、奥山監督は人生のままならない、残酷な側面をも、見守るような温かな目線で描き出す。優しくて、ほろ苦い余韻がいつまでも心に残る作品だ。



『僕はイエス様が嫌い』で長編映画デビューを果たした奥山大史監督はその後、NETFLIXシリーズ『舞妓さんちのまかないさん』の監督、脚本、編集(5,6,7話)を手掛けたほか、8人のクリエーターたちの旅を追ったエルメスの企画・製作によるドキュメンタリー・フィルム『HUMANODYSSEY― それは、創造を巡る旅。―』の総監督も務めた。本作でフィギュア・スケートのコーチ役を演じるのは池松壮亮。実は奥山監督自身、子供の頃に7年ほどフィギュア・スケートを習っていた経験があるという。90分。 配給:東京テアトル 全国公開中 (C)2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINEMAS

文=永野正雄(ENGINE編集部)

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