2024.10.19

LIFESTYLE

曲がっているとなぜ楽しい? 中も外も曲線だらけの三日月ハウスの謎 理想の建築を目指した建築家の素敵な自邸をのぞいてみた!

曲線が印象的な熊木邸。黒い扉が玄関。オレンジの扉は勝手口。

全ての画像を見る
明るい色の効果

advertisement


そんな熊木邸に足を踏み入れてまず感じるのは、空間が洒落ていること。魅力的なファブリックを纏った、熊木さんがデザインした家具も素敵だし、棚に並ぶ調度品のセンスも良い。だがそれ以上に、室内の要所要所がカーブになった空間や、壁の一部に張られたカラフルなタイルが生み出す、独特の雰囲気に惹かれる。まぎれもなく、建築の力だ。

そのうえこの空間に身を置いていると、なんとも楽しく幸せな気持ちになるのも良い。これが、熊木さんが目指した建築だろう。三日月形をした家の内部や建物両端の斜めの壁も、違和感を覚えないどころか極めて自然に感じられた。

さらに印象的だったのが、広々として明るいこと。床も天井も白く室内に光がまわるうえ、天井高は2.7mもある。庭に面した窓も大きく、その向こうに見える、日よけとして植えられたゴーヤの蔦が緑のカーテンになっており、目に心地よいのだ。取材にお邪魔したのは、夏の盛り。強い日差しは遮られるが屋内は暗くなること無く十分な光が差し込み、近隣マンションからの視線の目隠しにもなっていた。





自邸のインテリア同様、熊木さん一家のクルマは内装にもこだわっている。熊木さんが普段の足に使っているのはフィアット500Cツイン・エア(2013年製)。並行輸入の左ハンドルMTモデルで、ダッシュボードをカスタマイズして革を張っている。一方、奥様が子供の送迎などに使っているのがシトロエンDS7クロスバック・グランシック(2020年製)。走りが良くて選んだというが、内装に定評のあるモデルである。実は奥様は、結婚する前の会社員時代、都内の通勤用にもかかわらず、デザインに惹かれてわざわざMTのフィアット・パンダを選んだほどのクルマ好き。クルマのことをよく分かっている奥様のお陰で、カーライフも充実しているそうだ。

そんな奥様が家作りの際に希望したのはアイランド・キッチンくらい。後は理想の建築を目指す建築家である夫に全てを委ねた。そんな家族の応援もあって完成した、建築家の理想を具現化した熊木邸。この家の唯一無二の個性は、築13年の時の流れなど全く気にならないほど魅力的に思えた。

文=ジョー スズキ(デザイン・プロデューサー) 写真=田村浩章



■建築家:熊木英雄、1971年埼玉県生まれ。大学で社会心理学を学ぶが、建築家を志し工学院大学で建築を専攻。渡英して、曲線を基調とする色彩が豊かなデザインに出会い、英国の建築事務所フォスター&パートナーズや、フューチャー・システムズで大型物件を手掛ける。帰国後は、自身の事務所を設立。写真の「まちのくぼみ」は、オーガニックな外観とカラフルな室内の、熊木さんらしい個性の集合住宅。母校の工学院で教鞭もとる。


■ジョースズキさんのYouTubeチャンネル、最高にお洒落なルームツアー「東京上手」!
雑誌『エンジン』の大人気企画「マイカー&マイハウス」の取材・コーディネートを担当しているデザイン・プロデューサーのジョースズキさんのYouTubeチャンネル「東京上手」。建築、インテリア、アートをはじめ、地方の工房や名跡、刺激的な新しい施設や展覧会など、ライフスタイルを豊にする新感覚の映像リポート。素敵な音楽と美しい映像で見るちょっとプレミアムなルームツアーは必見の価値あり。ぜひチャンネル登録を!

◆「マイカー&マイハウス クルマと暮らす理想の住まいを求めて」の連載一覧はこちら!

(ENGINE2024年11月号)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement