2024.10.30

CARS

グリルのデザインを控えめな横長に変更 新しくなったBMW 1シリーズにモータージャーナリストの渡辺敏史が試乗 いいもの感が高まった!

300psを発揮する2リッター 4気筒ターボを四駆でドライブするM135。

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BMWのラインナップにおけるエントリー・モデルである1シリーズ。大幅な改良が加えられた新型に、モータージャーナリストの渡辺敏史が国際試乗会で試乗した。

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大幅に手が入れられたポイントとは?


日本のBMWにとって、今回一緒に試乗したX3同様、1シリーズは販売の一翼を担う銘柄だ。しかし全量の約8割は欧州で販売され、地場においての重要なブランド・エントリーとなっていることは間違いない。

上位車種のようなキドニー・グリルの巨大化は免れ、グリルとライトは分離しているものの、どことなくコンセプト・カーの“ノイエ・クラッセ”を思わせる顔つきとなった新型1シリーズ。

その欧州では、日本の好事家が落胆した前型からのFWD化はまったくネガティブではないどころか、スペース・ユーティリティ面で高評価を得ているという。ところ変われば、ではないが、求められるものはかくも異なるということだろうか。


対して、1シリーズ初のFWD化において評判芳しくなかったというデザインは今回、大幅に手が入れられた。新型1シリーズは型式こそF40からF70へと変更されているが、実質的にはゴルフや308など昨今の同級ライバル車が採るビッグマイナーチェンジ的な手法での刷新を図っている。ホイールベースを含む基本ディメンジョンは先代と変わりはない。



全長は42mmほど伸びているが、それをデザインしろとして横長形状となったキドニー・グリルを低めに据え、ライト形状も細身なものにすることで表情を俄然シャープなものとして印象を大きく違えている。

同様に、内装回りもフラットなセンターコンソールやカーブド・ディスプレイを核としたBMWの最新フォーマットに則った意匠変更を受けた。著しいデジタライズは空調の操作系などにも及んでいるため、扱いやすさという点では賛否の分かれるところだろう。

インテリアの造形、質感、機能は大幅に進化している。




先代にも増して上質

日本仕様として用意されるグレードは120とMパフォーマンスに相当するM135の2種類。従来なら車名にはガソリンの識別子である「i」が加わっていたが、これをBEV銘柄向けに譲り、ガソリンモデルは数字のみのグレード名に変更された。

120は1.5リッター 3気筒ターボをベースに、20ps/55Nmのスターター・ジェネレーターを追加したMHEVとなり、その総合出力は170ps/280Nmと、Cセグメント級の車体には充分以上のアウトプットとなる。実際、その走りは発進時に若干のもっさり感はあるものの、極低回転域からモーターがしっかりトルクを補完し、加速に一助していることが伝わってきた。トランスミッションは7段DCTとなるが、変速時の繋がり感も滑らかだ。ハンドリングにも性急さやガサツな印象はない。



これは300psを発揮する2リッター 4気筒ターボを四駆でドライブするM135も然りだ。FWDベースながらも積極的に後輪を使いながらしっかりと四肢を踏ん張らせて旋回する、その感触は先代にも増して上質さが強く感じられるようになった。こちらはダンパーもアダプティブとなるが、柔らかいコンフォート状態の側で粘り強さを感じながら曲がっていく方がむしろ心地良い。言い換えればそのくらい、クルマ全体から放たれるいいもの感が高まったということだろう。新型1シリーズは11月以降、日本でもデリバリーが始まる予定だ。

文=渡辺敏史 写真=BMW

(ENGINE2024年12月号)

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