ハイドローリック・シトロエンの複数台持ちオーナー取材のため、比較用に借り出したC5 Xプラグインハイブリッドとリポート車両。
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純正パーツは世界的に枯渇エグザンティア用のストラット・アッパーマウントに関しては、シンプルな仕掛けのハイドロニューマチック用はまだ純正の部品が流通しており、かつ突き抜けないような対策品になっているそうだ。だがリポート車のハイドラクティブ2用をはじめ、アクティバなど上位車種用は枯渇しており、ほぼ純正部品は見つからない状況だった。
いちおうイギリスのシトロエン専門店など販売しているところもあるのだが、片側で約285ポンドとかなり高価になっていた。もっとも、たとえ純正部品が見つかったとしても、生産からかなり歳月の経ったデッドストック品である。ラバーの状態がどれほどかは、買ってみなければ分からない。
僕は最初にギリシャで販売されていたデッドストック品を購入しようと画策していたのだが、残念ながらこれは連絡が取れず断念。フランスのシトロエン博物館、コンセルヴァトワールで出会ったアクティバ・クラブの面々も、同じくラバー製の再生産プロジェクトも立ち上げていたのだが、悲しいことにどうやら失敗に終わったらしい。
リポート車については交換履歴があるとは前オーナーから聞いていたが、その時期がはっきりとしていなかった。2015年8月、走行10万4501km時点の記録簿には、交換を推奨する項目に記載はされているのだが……。持込品、とも書かれているのでもしかしたら交換しているのかもしれない。とはいえ、このタイミングで交換していたとしても、それからすでに8年以上が過ぎ、8万kmくらいは走っている。
外から見る限りでは劣化の度合いはよく分からないのだが、エグザンティアに乗り続けるには、いつかはやらなければならない、見過ごせない部品なのは間違いない。
世界に1カ所しかない
実はこのストラット・アッパーマウントのリビルド、つまりオリジナル部品を元に、ラバー部分を新たに別素材で再生している企業が、リトアニアの西の都市、カウナスにあることを、僕は前々から知っていた。昔ながらのシンプルなホームページがあり、再生産について紹介をしていたからだ。近頃はBX用やXM用はイギリスやポーランドで再生産品を販売しているようだが、エグザンティア用としてリビルドを行っているのは、僕の知る限り世界でここしかなかった。
リトアニアがどんな国で、何があるのか。僕にはまったく知識がなかった。でも、何も知らなかったポーランドへ2023年春に旅した時のことが、ふっと蘇ってきた。直接現地に行って、色々なものを目にして、人々とふれあうことが、どれほど面白く人生の幅を拡げてくれたかことか……。さらに、いったい誰が、どんなところで、どうやってアッパーマウントを直しているのか。なぜ、こんなにマニアックなことをビジネスにしているのか。それはオリジナルとどう違うのか。疑問がどんどん湧き上がってきた。
こうして僕は、リトアニアの企業とコンタクトを取ることにした。そしてそれが彼の国だけでなく、ポーランドのフランクスキー.pl編集長、クシシュトフが誘ってくれたイベントを含む、東欧を駆け回ることになる2024年の旅へと繋がっていったのである。
次回はリトアニアからもたらされた返事と、様々な偶然が重なり合って見事に旅程が組みあがっていく模様と、以前ちょっとだけご報告したシート生地の発見についてもリポートする。
■CITROEN XANTIA V-SX
シトロエン・エグザンティアV-SX
購入価格 7万円(板金を含む2023年12月時点までの支払い総額は279万2253円)
導入時期 2021年6月
走行距離 18万2687km(購入時15万8970km)
文と写真=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=岡村智明、日本シトロエン・クラブ
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