2025.01.07

CARS

高平高輝の自動車10大ニュース 第4位はトランプ大統領再選 どうなる日本の自動車メーカー

2024年に自動車業界で起こった出来事から、モータージャーナリストの高平高輝氏がこれぞと思った10つのニュースをランキング形式で発表。第4位にランクインしたのは、日本の自動車メーカーの今後を大きく左右するかもしれない、太平洋の向こう側で起こったあの話題です。

第4位 「またトラ」の衝撃

2024年11月の米大統領選挙でドナルド・トランプが再び次期大統領(第47代)に選ばれた。民主党の候補が途中でバイデン現大統領からハリス副大統領に変更されるというハプニングがあったとはいえ、アメリカ第一主義を掲げ、保護主義的な暴言を繰り返してきたトランプにあれほどの支持が集まるとは、日本から見ていると正直よく分からないのだが、あの強硬姿勢だからこその分かりやすさに格差が広がる社会の中で人気を集めているのだろう。

各国にプレッシャー

前回選挙ではバイデン大統領に敗れたトランプだが、一度落選して再び当選、つまり返り咲きを果たした大統領はアメリカの歴史の中で過去に一度だけある。何と19世紀末のクリーブランド大統領(22&24代)以来132年ぶりのことだという。きわめて異例の「またトラ」なのである。

保守強硬派で知られるトランプ大統領の再登場に自動車界が恐れをなしているのは、25年1月の正式就任前に、もうメキシコとカナダからの輸入車に関税(25%)をかける、とまたぞろ各国にプレッシャーをかけているからだ。

影響は日欧だけでなく自国にも及ぶのに

米国とカナダ、メキシコは、かつてのNAFTA(北米自由貿易協定)から発展したUSMCA(米国/メキシコ/カナダ)を結んでおり、それを背景に日本メーカーのみならず、米国系も含めて世界のほとんどの主要メーカーがカナダとメキシコに工場を構えている。

とりわけメキシコには巨大市場の米国を狙う日本(トヨタ、日産、ホンダ、マツダ)や欧州メーカー(VWアウディ、メルセデス、BMW)だけでなく、米国メーカーもGM、フォード、ステランティス(クライスラー)すべてが進出している。かつてWRCメキシコの取材で訪れたグアナフアト州の真新しい高速道路の両側には、米自動車メーカーと主要サプライヤーの工場がひしめき合っていたのを思い出す。

脅しなのか、本気なのか

そもそもメキシコからの輸入車に関税をかけたら、海外勢だけでなく米国メーカー自身の首を絞めることになるはずなのだが、果たしてその発言は単なる脅しなのか、あるいは本気なのか、それを見きわめなければならないとして各社が戦々恐々としている。

思い返せばかつては「地球温暖化などフェイクニュースだ」と言い放ち、バイデン政権の施策に批判を繰り返してきた次期大統領だけに、今後の環境政策についても同様に不透明だ。自動車界にとってはまったく厄介な新大統領である。新政府の重職に就くというイーロン・マスクは今、どのように考えているのだろうか?



文=高平高輝

(ENGINE WEBオリジナル)

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