日産サクラの2倍以上の電池容量で、価格はほぼイーブン　アンダー300万円のカッコカワイイ小型SUV、ヒョンデ・インスターがオートサロンで発表！

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フラッグシップの「アイオニック5」と、そのハイパフォーマンス仕様の「5N」、コンパクトSUVの「コナ」に続く第4弾となる、ヒョンデの日本における電気自動車のニュー・モデルがインスターだ。

韓国版の軽自動車

インスターは韓国における軽自動車規格に適合する「キャスパー」という内燃エンジン搭載モデルをベースにしている。キャスパーは全長3595mm、全幅1595mmで、フロントには1リッター3気筒を搭載。日本の軽自動車規格よりもひと回り大きいクルマだ。 2024年6月にキャスパー・エレクトリックという名で1モーターで前輪駆動の電気自動車バージョンが韓国で追加され、これが欧州および日本市場ではインスターを名乗っている。

個性的かつ親しみやすいスタイリング

2025年1月に代表取締役社長に就任したばかりの七五三木敏幸氏がオートサロン会場で語ったインスターの特徴は「“カッコカワイイ”スタイリングと、小型電気自動車に対する電池容量の不安を根底から覆す航続距離」だ。たしかにヒョンデの上位モデル同様、ウインカー・ランプやテール・ランプに代表されるようなピクセル・デザインを採用しつつも、前後の丸形ライトや十文字のホイールなど、個性的かつ親しみやすいスタイリングを持つ。

乗車定員はあえて4名に設定。フラットで広い後席足元スペースをはじめ、ゆとりのある室内空間を確保しているという。前後席間のウォークスルーや前席の背もたれを完全に前方向に倒せるなど、多彩なシート・アレンジも可能となっている。

欧州値の一充電航続距離は370km

床下のリチウムイオン・バッテリーの容量はエントリー・グレードの“カジュアル”で42kWhと、日産サクラ（20kWh）の2倍以上。ホンダN-VAN e:（29.6kWh）と比較しても1.4倍以上だ。それでいて前軸に配置されたモーターの最高出力は日本の軽自動車枠に縛られない97psを発揮。さらに上位グレードの“ヴォヤージュ”と“ラウンジ”では電池容量が49kWhになるともに、最高出力も115psまで引き上げられる。

航続距離については現在日本での型式認定を申請中だが、WLTPモードでの上位グレードの一充電航続距離は370kmとアナウンスされている。

日本専用の脚まわりやADASを採用

さらに充実した装備内容や、専用のセッティングも注目だ。ヒョンデ初となるペダル踏み間違い時の急発進抑制機能や、車内外で電気機器を使用できるV2Lを標準装備している。

さらにオートサロン会場の質疑応答によれば、日本の道路事情に合わせたサスペンション・セッティングや、首都高速道路などにも対応するきめ細かな自動追従機能、ストップ＆ゴーの多い環境に合わせた走行モードなどなど、国内の環境に即した仕様に変更されているという。

284万9000円～

日本仕様はカジュアルとヴォヤージュ、ラウンジの3グレードで、価格は最も安価なカジュアルで284万9000円。英国市場などでは、コンセプト・モデルに装着されていたキャリアを装備した“クロス”という仕様があり、日本市場でも追加導入が予定されている。日本でのデリバリーは5月頃から開始。なお、令和7年度のインスターへの補助金はまだ金額が発表されていないが、先行予約特典として、35万円以下の場合差額分をヒョンデがサポートするという、かなり競争力のあるプライシングとなっている。

サクラやN-VAN e:は軽自動車だから、というアドバンテージは、高速道路料金などもあるが、電気自動車は免税範囲が広いため、差が絶対的に大きいとはいえない。さらにインスターにはもう1つの先行予約特典として、5年間の法定点検や車検も無料となるプログラムも付加されている。

従来通りオンライン販売のみ

販売についてはヒョンデは従来通りオンラインのみだが、3月には福岡ショールームが移転オープンし、4月には仙台ショールームがオープン。全国64カ所のサービス拠点も稼働中だ。

大胆なデザインと、使える電池容量、きめ細かなサービス＆保障、驚きの価格設定などなど、続々と新たな戦略を繰り出すヒョンデ。欧州の街中でも、その存在感は相当に大きくなっている。今後の日本市場においては、長期的な信頼性が大きな鍵になる、と僕は思う。