2025.02.02

CARS

ノマドとシエラはどこが違う? ジムニー・ノマドは全長が伸び、ドアが増えただけではない

発表から数日しか経っていないが、大きな反響を呼んでいる「ジムニー・ノマド」は、ジムニーの小型車版であ「ジムニー・シエラ」の5ドア版である。もちろん、簡単に説明すると確かにその通りなのだけれど、単純に全長を伸ばし、ドアを増やしただけではない。

advertisement


ハイラックス・サーフやテラノとは違う

かつてトヨタが製造してたクロスカントリー(クロカン)4WDにハイラックス・サーフというモデルがあった。同時期にライバル車として日産はテラノというモデルを設定していた。いずれもスタートは3ドア・モデルであったが、やがて市場ニーズに合わせ5ドア・モデルが追加された。このときはホイールベースの変更はせずに、ドアを追加するという方式であった。



全長とホイールベースを340mm延長

しかし、今回のジムニー・ノマドは違う。5ドア化のために全長とホイールベースを340mm延長している。クルマの基本的な性能や性格はホイールベースとトレッドで決まると言っても過言ではない。一般論であるがホイールベースが長くなると直進安定性が向上するが、コーナーなどでも軽快感が減少する。つまり、落ちついた性格になるというわけだ。

ジムニー・シリーズはラダーフレームと呼ばれる骨格を持つクルマで、一般的な乗用車のようにモノコック構造(フレームは持たずボディのパネル類のみで車体を構成する方式)ではない。ホイールベースを伸ばすということは、このラダーフレームも異なるものを使うことになる。ラダーフレームは前後に伸ばした場合、そのままでは剛性が落ちる。そこでジムニー・ノマドでは剛性の低下を抑えるために、フレームの中央付近にクロスメンバーを追加している。



100kgの重量増にも対応

ホイールベースが伸びたこと、ドア枚数が増えたこと、ホイールベース延長などによってプロペラシャフトは長くなり直径も増している。これらにより重量は100kgほど増加した。対応としてフロント・サスペンションはスプリングレート&スタビライザー径をアップ、ショックアブソーバーの減衰力も変更。ハブ・ベアリングの強化やフロント・ブレーキのベンチローター化も行われている。

デザイン面では、ノマドはフロントまわりではジムニーらしい5スロットのグリルにガンメタ・メッキと塗装とメッキ縁取りを採用。サイドから見るとリア・ドアの後側にクォーターウインドウが追加されているのが確認できる。



広く、そして快適に

単純にドアを追加しただけではなく、リア・シートの位置も変更された。リア・シートは前席に対してシエラと比べると50mm後方に移動させている。シエラでは後の車軸の上に人が乗るレイアウトになっているが、ノマドではシエラよりも後車軸が340mm後方に移動しているので、結果的に、車軸よりも前に乗ることになる。この位置は後輪の突き上げなどを直接受けないので、乗り心地性能に有利だ。

またノマドでは。さらに後席シートの座面を20mm厚くすることで、リア・シートの乗り心地はシエラとは格段に違ってくるだろう。また、シートの配置も余裕のある位置となったため左右乗員の距離も90mm広げられ、横方向の余裕も増している。なお、シエラには採用されてないリア・シートのリクライニングも1段ではあるが可能となっている。

シエラは軽規格のジムニーとホイールベースが同じ長さのため、ラゲッジルームもジムニー同様にかなりタイトだ。一方のノマドはラゲッジルーム長が350mmも長い590mmを実現。リア・シートを前倒しにすれば1240mmに拡大できる。リア・シートを倒した際には段差ができたしまうが、ディーラーオプションのラゲッジ・ボックスを装着すれば段差の解消が可能だ。



デュアルカメラ式に変更

安全性能装備は大幅に更新されているのもノマドの特長だ。シエラの衝突被害軽減ブレーキ主センサーはカメラとレーダーだが、ノマドではデュアルカメラ方式に変更し夜間の歩行者も検知にも対応。シエラでは採用されていなかった後退時ブレーキ・サポートや後方誤発進抑制機能、アダプティブ・クルーズコントロール(ACC)、一時停止標識の認識機能(AT車のみ)などが追加されている。

エンジンやミッション、4WD機構については、シエラに比べてATが強化されている以外は、シエラと同一。ただし、重量が増した分だけ燃費は下がり、MTで15.4km/リッター→14.9km/リッター、ATで14.3km/リッター→13.6km/リッターとなる。またホイールベース延長により最小回転半径は4.9m→5.7mと大幅に増大。取り回しには少々苦労しそうだ。



文=諸星陽一

(ENGINE WEBオリジナル)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement