2025.02.23

CARS

光るエンブレムに流れるウンイカー ゴルフの後期モデル、通称8.5型にモータージャーナリストの森口将之が試乗

フォルクスワーゲン・ゴルフeTSIアクティブにモータージャーナリストの森口さが試乗。

全ての画像を見る
これが最後のゴルフになるのでは? ともウワサされていた、マイナーチェンジ版の新型ゴルフが遂に日本市場に上陸。その素性をしっかり確かめるため、ベーシックなモデルを連れ出してみた。モータージャーナリストの森口将之がリポートする。

VWのエンブレムまで光る!

日本にいる身としては実感が薄いけれど、ニュースを見ていると、フォルクスワーゲンが大変なことになっているようだ。そんななかで、直近の発表では、EV専用モデルのIDシリーズに後を譲って消滅するという噂もあったゴルフの存続がアナウンスされた。そして日本へは、新型ゴルフのデリバリーが始まった。



8代目のマイナーチェンジであることから8.5と称される新型は、内外装のアップデートに加えて、1リッター3気筒と1.5リッター4気筒があったガソリン・ターボのマイルド・ハイブリッド、eTSIが後者に統一されたこともニュースだ。

ただしグレードによって、チューニング違いの116ps/220Nmと150ps/250Nmが用意される。リア・サスペンションもこれまでどおり、トーションビームとマルチリンクがあり、116ps版はトーションビーム、150ps版がマルチリンクとなる。前者は1リッターの代替という位置付けのようだ。ディーゼルはこれまでどおり2リッター直4ターボで、ガソリン同様に4グレードを用意するものの、チューニングは150ps/360Nmのみで、リア・サスペンションはすべてマルチリンクとなる。



もちろんこれ以外に2リッター直4ガソリン・ターボを積むGTIとR、Rアドバンスも用意されるが、変速機は前述のガソリンとディーゼルを含めてすべて2ペダルの7段DSGのみで、現時点ではMTはない。

この中から今回取材したのは、ガソリン・マイルド・ハイブリッドを積んだeTSIアクティブだ。

外観はフロント・マスクが目立つ。オプションのテクノロジー・パッケージが装備されていたので、デイタイムランプでヘッドランプをつなぐモールだけでなく、VWのエンブレムまで光るようになった。このパッケージ・オプションには、ダイナミックターン・インジケーター(流れるウインカー)なども含まれるが、端正なたたずまいを保つサイドやリアに似合っているかというと微妙だ。

シートはフォルクスワーゲンらしい、張りの強い座り心地。広さはマイナーチェンジ前と変わらず。ブラックとシルバーを基調としたコーディネートはクール。

キャビンに入るとティグアン同様、大きくなったセンター・ディスプレイが目に入る。たしかに見やすく扱いやすくなったが、ゴルフのキャビンには大きすぎる感じもした。対照的にブラックとシルバーを基調としたコーディネートは抑制が利いていて、精緻で端正なジャーマン・デザインの美点が伝わってきた。

実用車として抜かりない

1.5リッターのマイルド・ハイブリッドは1320kgと軽めの車体に対しては余裕たっぷり。低中回転域ではややザラついているけれど、高回転までスムーズに回るというキャラクターはゴルフそのもの。DSGの発進や変速が、かつてとは比較にならないほどマイルドに感じられたのは、モーターアシストの効果かもしれない。アクティブ・クルーズコントロールの制御もおおむねスムーズだった。



運転していて感じるのは、ボディの見切りが良いこと。サイズも手頃だし、キャビンは箱型に近いので、車端の把握がしやすい。最小回転半径5.1mという数字の通り、ステアリングは良く切れるし、実用車としての配慮も抜かりないことに感心する。

乗り心地はゴルフとしては穏やかに感じた。標準装着されるネクセン製タイヤのおかげもあるだろう。以前、シトロエン・ベルランゴでこのメーカーのタイヤを味わったときも、似たような感想を抱いたからだ。205/55R16という控えめなサイズは、交換時にもありがたい。



それでいてステアリングの切れ味はカチッとしているし、剛性感にあふれるボディのおかげでサスペンションがよく動き、信頼できる接地感を生み出してくれるところなど、ゴルフのゴルフたる部分は健在だ。

とはいえ日本車でもホンダ・シビックなど、このクラスに走りのいいハッチバックはある。燃費はフル・ハイブリッドのほうが確実に上だ。もはやゴルフが日本車のお手本だとは言えなくなりつつある。

だからこそ僕は、デザインから走りに至るまで、いまも色濃く残るドイツらしさを、もっと前面に押し出すべきではないかと思った。日本車とは明らかに違う精緻なデザインと硬質な走りは、今後もゴルフを選ぶ大きな理由になるはずだ。

文=森口将之 写真=茂呂幸正

■フォルクスワーゲン・ゴルフeTSIアクティブ
駆動方式 フロント横置きエンジン+モーター前輪駆動
全長×全幅×全高 4295×1790×1475mm
ホイールベース 2620mm
トレッド 前/後 1540/1510mm
車両重量(車検証記載前後軸重)  1320kg(前820/後500kg)
エンジン形式 直列4気筒DOHC16Vターボ+モーター
総排気量 1497cc
ボア×ストローク 74.5×85.9mm
最高出力 エンジン(モーター)  116ps/5000-6000rpm(19ps/-rpm)
最大トルク エンジン(モーター)  220Nm/1500-3000rpm(56Nm/-rpm)
変速機 デュアルクラッチ式7段自動AT
サスペンション形式 前/後  マクファーソン・ストラット/トーションビーム
ブレーキ 前/後 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ 前後 205/55R16 91V
車両価格(税込) 379万9000円

(ENGINE2024年4月号)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement