2025.02.28

CARS

マツダ軽三輪のK360とスバル商用バンのサンバー 軽自動車創成期を支えた2台の軽商用車 

クラシックカー&ヒストリックカーのイベント「ノスタルジック2デイズ」の目玉企画のひとつである、「選ばれし10台」。主催社が発行する『ノスタルジックヒーロー』、『ハチマルヒーロー』の両誌の公募によって選ばれた10台クルマ(今年はプラス1台のスクーター)が会場に展示される。第2弾は軽自動車の中から、軽自動車創成期に登場した貴重な2台を紹介する。

1967年式 マツダK360

三輪自動車は日本だけでなく、世界各国で製造されていた歴史がある。現在もアジア地区では庶民の足として活躍しているところも少なくない。日本での三輪自動車はオートバイを改造したモデルが元祖に近く、その歴史は第一次世界大戦中から始まり、第二次世界大戦終了後、戦後復興を足元から支える移動手段として三輪自動車が注目される。そうしたなか1949年に軽自動車規格が改正されると、軽自動車規格に収まる三輪自動車が数多く登場。1957年には軽3輪の代表的モデルとなる「ダイハツ・ミゼット」が登場する。



356cc のV型2気筒を搭載

「マツダK360」はダイハツ・ミゼットに遅れること2年。1959年に東洋工業(現マツダ)が送り出した軽3輪。搭載されたエンジンはV型2気筒のガソリン4サイクルエンジンで排気量は356cc。同型のエンジンはマツダ初の軽4輪自動車「R360クーペ」にも搭載されている。ミゼットが足元にエンジンを搭載していたのに対し、K360は運転席の後側にエンジンを搭載、つまりミドシップでキャビンの快適性と運動性能を重視した設計となっている。

展示車のオーナーは実家が昔営んでいた牛乳販売店で使っていたK360が欲しくなり、オークションサイトで発見し購入。昔の写真を元にレストア・ショップ、テント会社、看板店などに修復作業を依頼。「ストロング牛乳」というロゴマークを入れるために、販売元の北海道乳業に使用許可をもらい、忠実に再現したという。さらに60年前にK360とともに3人兄弟で撮影した写真を再現するため、当時着ていたセーターなども再現しふたたび撮影するなど、K360を軸として思い出を満喫しているという。

1967年式 スバル・サンバー・デラックス

名車とうたわれるスバル360の設計思想であるリア・エンジン・レイアウトを生かして作られたトラック&バンが「サンバー」だ。現在のサンバーはダイハツの「ハイゼット」および「アトレー」のOEMモデルであるが、2012年に生産が終了する6代目までは富士重工業(SUBARUに社名変更するのは2016年)が製造。一貫してリア・エンジンを続けてきた。

展示車は1966年にフルモデルチェンジされた2代目。エンジンは2ストロークの2気筒で、1970年のマイナーチェンジでエンジンがリードバルブ式に変更されているとのことなので、この時代はリードバルブなしのタイプだったのだろう。



前開きのフロント・ドア

サスペンションは前後ともにセミ・トレーリングアーム式(セミトレ)で4輪独立懸架となっている。特徴的なのはフロント・ドア。写真をよくみてもらうとわかるが、ドア・ハンドルが前方にある。つまり後ろヒンジ式で、一般的なドアと逆方向に開くようになっている。

オーナーの談によればエグゾースト・パイプが詰まってしまってスピードが出なくなったこともあるとのこと。現在はミッションのギヤ比を変更し、高速道路も快適に走れるようにしたほか、セミトランジスター点火装置とタコメーターも追加装備している。



文=諸星陽一

(ENGINE WEBオリジナル)

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