2025.02.21

CARS

2025年版、2台持つとクルマはもっと楽しい! ポルシェ718ボクスターとアウディA6アバント ヨットとボクスターには共通点が多い 大事なのは風を感じること!

ポルシェ718ボクスター(2021)とアウディA6アバント(2021)に乗るオーナーの神林さん。

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ポルシェ718ボクスター(2021)とアウディA6アバント(2021)。ドイツ車にはインテリジェンスを感じるという神林広之さんは、クルーザーでセイリングを楽しむ海の漢だ。ポルシェ・ボクスターに乗るのも風を感じていたいから。

ガンメタリックで統一されたポルシェ718ボクスターとアウディA6アバント。2シーター・オープンとステーションワゴンという組み合わせは、2台持ちのひとつの理想形と言えるものだ。ともに2021年式。ナンバープレートの数字も同じ。オーナーの几帳面さがうかがえる。日に焼けた引き締まった身体で愛車の脇に立つ神林広之さんは、ウィークデイは会社経営者としてスーツ・スタイルで過ごすことが多い。それを考慮して歴代のクルマも黒をはじめシックな色を選んできたという。この2台にたどりつく以前は124型のメルセデスのステーションワゴンを10年ほど所有していた。



「124はザ・メルセデスともいうべき重厚感があってすごく気に入っていたんですけど、ある時、ちょっと気持ち的に重たく感じるようになったんですね。だから、気分転換にクーペに、スポーツカーに乗ってみようと思いついたんです」 



メルセデスやBMW、アルファ・ロメオなど、様々なブランドのクーペ・モデルに試乗した。当初ポルシェのことはまったく念頭になかったというが、運命的な出会いを果たす。「ちょうどその頃、汐留にポルシェのショールームが出来たというので行ってみたんです。ボクスターに試乗させてもらったらもうびっくり。ブレーキが他のクルマとぜんぜん違う。それから営業担当がすごくいい人でアドバイスが適切だった。彼と出会っていなかったらポルシェを買っていなかったかもしれません。いまでも交流があって、彼はその会社の社長になっています(笑)」

実用としてのアウディ 

ボクスターとは別にもう1台、実用性のあるクルマが必要になる。「仕事やゴルフにクルマを使うこともありますが、親の介護のために車椅子が積めることが条件になりました。SUVだと立体駐車場に入らないのでステーションワゴンに。メルセデスよりもカジュアルな雰囲気からアウディを選んでみました」 

A6アバントは仕事や趣味のゴルフのシーンで活躍。


このA6アバントは同型のものを2台乗り継いでいる。そうしたなかで新たな発見もあった。

「1台目のA6はガソリン・エンジンだったんですけど、セールス担当者に勧められてこれはディーゼルなんです。ディーゼルは初めてでしたが、音はとても静かだし、トルクがあるから乗りやすい。それでいて燃費もいい。ボクスターの3倍くらい。結局はA6ばかり乗るようになってしまいました」 



こだわったのは、クワトロかつスポーツラインであること。そして風を感じることができるサンルーフがついていること。とても気に入って年間2万kmほど走行している。 

一方、ポルシェはボクスターひと筋で二十数年になる。987型にはじまり、981型、そして現行の982型と5年毎に4台のボクスターを乗り継いできた。これまでに911という選択が頭をよぎることはなかったのだろうか。

“風が感じられる”ことからこれまで4台を乗り継いだボクスターは、すべて新車で好みの仕様にコンフィギュレートしたもの。


「ボクスターを選び続けている理由は単純で、このスタイリングが好きなんです。911のカブリオレにももちろん試乗したことはありますけど、ちょっと別物だなって。スタイリングもちょっとぽっちゃりしていてあまり好みじゃない。ボクスターは一人でゴルフに行くときや、ここに来るときに乗っています」

クルーザーが趣味

“ここ”とは、今回の撮影場所にもなった都内にあるマリーナ。神林さんの20年来の趣味はヨット。30フィートのセーリング・クルーザーを所有し、チームを組んでレースにも参戦する。

「月に2、3度は必ずここに来ています。ヨットに乗っている人って掃除が好きな人が多いんです。船を出さなくても掃除だけして、半日ゆっくり船の上で過ごして帰るっていう楽しみ方もあるし、近場ならディズニーシーやゲートブリッジ、羽田空港を半日かけてまわってみたり、三浦の三崎口や千葉の館山の方に1泊2日で行ったり、2泊3日の時間があれば大島とか、泊まりで遠出したりすることもあります」 

所有するヨットは30フィートサイズで10人乗りのセーリング・クルーザー。


ヨットの動力源は風。風がなければ思うように進めないし、遠出するのも容易ではない。だからこそ面白いのだという。

「以前、いわゆるプレジャー・ボートを持っていたんです。もちろん進むのは速いし楽なんですけど、でもエンジンの音がうるさいし、音楽をかけていてもぜんぜん聞こえない。それに燃費が悪い。1回3時間ぐらい出すだけで結構な燃料代がかかります。一方でヨットは進むのに時間がかかることも多いけれど、そんなに苦じゃない。例えば進行方向から風が吹いていると真正面には進めません。でも風上に対して45度までは前進できるんです。左右に45度ずつジグザグを繰り返しながら、風さえあれば進むことはできる。なんて言えばいいのか、自由だし、自分を解放してくれる感覚が味わえる。とにかく風だけで動くこと。それがヨットの 一番の魅力ですね」

月に2、3度は海に出るという。


風を感じていたい 

スポーツカーと船に求めるのは絶対的な速さや快適性ではなくて、軽快であること、風を感じること。そういえば2シーター・オープンカーのことをイタリア語でバルケッタというが、語意は「小舟」。ボクスターこそが神林さんにとってふさわしい選択というわけだ。 

あらためて、なぜドイツ車2台の組み合わせなのか尋ねてみた。

「それはですね、まず壊れない。それからポルシェにもアウディにもどこかインテリジェンスを感じるんですね。ポルシェには最新が最良っていう言葉がありますけど、やはり同じクルマを乗り継いでいるとそれを強く感じます。非常に頭がいいクルマだなって」 



神林さんのタイム・スケジュールによれば、2年後にはこの2台を乗り換えるタイミングがやってくることになる。アウディはA6などの偶数モデルをEVに、ポルシェは718ボクスターの後継をEVに、それぞれ次世代戦略を打ち出している。

「アウディはセールス担当からA5にエンジン仕様が残ると聞いていますので、それになるのかなと。ポルシェはタイカンにも試乗しましたけど、正直まだEVには少し不安がありますね。ボクスターがEVだけになったら今のこれを乗り続けることも考えるかもしれません」 

果たして神林さんの選択は。2年後またご登場願いたいものだ。

文=藤野太一 写真=茂呂幸正

(ENGINE2025年2・3月号)

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