2025.04.13

CARS

1.8ターボで4駆のMT レアなアウディA4 1.8Tクワトロを愛するオーナーが、ネオクラのドイツ車に乗る理由とは

アウディA4 1.8Tクワトロとオーナーの山田さん。

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クルマ好きと言っても、人それぞれの個性が強く表れるのが愛車選びだ。マツダ・ロードスターを2台乗り継いだ28歳の山田 遼さんは、どうして今、ちょっと旧いドイツのセダンを選んだのだろうか。

レーシング・カートを始めたのは小学2年生から

「クルマ好きは、物心がついたときからずっと続いていますね」
 
28歳のレーシング・ドライバー、山田 遼さんがレースの世界を目指すようになったきっかけは、幼稚園児の頃に遡るという。

「いかにも古臭い感じのターボが好きです。エンジン回転に合わせてスロットルを開け、良いタイミングでシフトしないとトルクが引き出せない感じ、最高です(笑)」

「両親がクルマ好きだったのもあり、全日本GTやS耐の観戦に連れて行ってもらっていました。そこでキッズカート体験をしている映像が残っていて、あまり記憶にないのですが、見返すとすごく楽しそうなんですよ(笑)。見るのも好きだけど、乗る方に興味があったのだと思います」

小学2年生からレーシング・カートを始め、週末にはサーキットに通う生活が始まったという。高校生になると全日本カートにも出場し、実績を重ねてきた山田さん。免許を取得して初のナンバー付きの愛車は、カートのトランポとして活躍していたマツダ・ボンゴ・フレンディだ。

「ただのミニバンだと思いきや、これが面白いんです。2.5リッターのV6は結構良い音がするし、後輪駆動で」

その後、知り合いから譲ってもらった国産車を間に挟み、初めて自身で購入したクルマがマツダ・ロードスター1.8VS(NB型)である。

「レースをやっているとMTでFRのスポーツカーが欲しくなるのは自然な流れでした。そして何より、幼稚園児の頃、父親が何度も見せてくれたのが、当時新車のNBロードスターの販促ビデオだったんです。以来ずっと憧れていたクルマ。自分の物になったのは嬉しかったなぁ」

ノーマル状態で手に入れてから、さまざまにカスタムを施したそうだ。

「タイヤやシートなどの走りの基本的な装備はもちろん、先輩の手を借りてラジエーターを替え、車高調は2日掛かり、ロールバーは丸1日かけて自分で組んで、アライメントも自分で弄りながら色々と試行錯誤して……。カートより部品点数が多いし、大きくなるので新しい勉強になることがたくさんありました」

主に富士のショート・コースや袖ヶ浦サーキットを走り込んだという。時間を掛けてじっくりとセッティングの研究ができたのは、自分のクルマだからこそなのだとか。



2年半乗ったNB型ロードスターを2022年春に売却。その入れ替えとして、山田さんはND型ロードスター990Sを新車で手に入れた。

「無駄なものがついていなくて軽量。このコンセプトが刺さり、実車を見る前に注文しました。一度は新車を買ってみたいという思いもあり、ちょうど良いタイミングだったんです」

しかしその後レース活動に忙しくなり、あまり乗れないのはクルマが可哀想だからと1年強で売却してしまったと振り返るが、990Sとの暮らしも濃密なものだったそうだ。

「街なかを転がすだけでも、ワインディングを流しても楽しい。数値上の車重よりも軽く感じるほどひらひらと動く感じがとても楽しかったです。東京から富士まで高速を使って来ても、帰りは敢えて下道を選びたくなる。そんな楽しいクルマでした」

ネオクラでMTのドイツ車

990Sを手放した後、仕事用の足として同時所有していたマツダ・アクセラ1台の生活が半年ほど続くことになるのだが、昨年6月に乗り換えたというのが現在の愛車、2001年型アウディA4 1.8Tクワトロ。出会いは突然だったのだとか。



「NBに乗っていたのもあり、根はネオクラ車が好きなんです。もう一度、この世代のクルマに乗りたいなぁと思っていたし、アクセラはATだったので、次はMTに戻りたいとも考えていました。それに、今の仕事仲間はドイツ車が多く、感化されていて。30歳になるまでにドイツ車が欲しい、と思っていたときに見つけたのが、このA4なんです! 一目惚れして、そのまま衝動買いです」

偶然にも山田さんの知人がよく知る販売店の在庫車だったこともあり、納車までわずか2週間という期間で話はあっという間に進んだそうだ。

前後バンパーなどはS4仕様に変更されている。

「過去の整備履歴が充実していたことと、この色も決め手になりました。乗ってすごいなと思ったのは、アウディ自慢のクワトロと、ボディ剛性の高さですね。真っ直ぐ走るとはこういうことか! と思いました。雨や雪の日の安心感も想像以上です」

フロント・ヘビーな重量配分による動きの癖があるものの、それを思い通りに操るのが楽しいのだという。

「半年くらい経ってから上手い走らせ方が分かってきて、乗れば乗るほど楽しく感じるようになりました。この時代のクルマはメーカーの個性が見た目にも走りにも強く出ているのが良いですね。一見普通のセダンに1.8ターボで4駆のMTなんて、もう無いじゃないですか。今ではクルマ無しでは仕事ができないし、A4は生活の一部です。どんな日もどんな場所にも安心感を持って連れて行ってくれる、私の大切な相棒です」

文=村山雄哉(ENGINE編集部) 写真=茂呂幸正

(ENGINE2025年5月号)

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