2025.04.16

CARS

まさに武闘派旧車好きの夢 サーキットの相棒にピッタリなコンバートされたロータス26R

旧車を軸に自動車文化を満喫できるオートモビル カウンシル2025。栄えある10回目を迎えた今回も、多数の旧車スペシャル・ショップが購入可能な魅力的なモデルを多数並べていた。今回紹介するのは初代ロータス・エランをベースに競技車両として開発された「26R」だ。

縁遠かったロータス

高校生のときに英国車よりもイタリア車に興味を持ち、27年前に買った1974年式の「アルファ・ロメオGT1600ジュニア」にいまでも乗っている筆者にとって、「ロータス・エラン」(開発コードネーム:タイプ26)あたりの武闘派ブリティッシュ・ライトウェイト・スポーツカーはずっと縁遠い存在だった。



エランを買うなら26R

一時期、初代「ジュリア」をはじめ1960年代から70年代にかけて販売された105/115系のアルファ・ロメオではなく、さりげなくジェントルに乗れそうな「MG B GT」を買おうと思ったことがあるが、さすがに本気度が高いエランという選択肢は20代後半の頃にはなかった。しかし、である。50歳を過ぎてからのここ数年、自身のGT1600ジュニアでサーキットを走る機会に恵まれ、エランのカッコよさ、そして、その速さにようやく気づくことになった。

五十の手習いでサーキット走行にチャレンジしてみたものの、相変わらずヘタクソで、今年の2月に雨の日にスピン&コースアウトして、そのままグラベルに突入。ピットを出たばかりの1周目にグラベルから自力での脱出不可で赤旗を出すという大失態を演じてしまった。

そんな失敗談はさておき、もし、がんばって働いてエランを買うのであれば(軍資金がアルかナイかは別として)、105/115系のアルファ・ロメオにおけるGTAに該当するロータス26Rを狙うべきだと思っている。



オリジナルは約97台

1964年にロータスが投入した公式の競技仕様車である「ロータス26R」は、エランのシリーズ1をベースとした車両が52台、マイナーチェンジを受けたシリーズ2をベースとした車両が45台の合計97台が生産されたといわれている。その生産台数の少なさもあって、昨今のクラシックカー価格上昇の折に、もはや、おいくら万円で流通しているのか分からないが、興味深いことにロータス26Rは97台以上流通しているのだ。

どういうことかというと、往時にグループ4カテゴリーのFIAホモロゲーションを取得する際にロータスの創設者であるコーリン・チャップマンがスタンダード・エラン用パーツの大部分をモディファイドして登録した。そのため、26RとしてFIAに公認されたパーツを装着した車両であれば、エランもロータス26Rを名乗ることができてしまうのだ。現在、市場には97台の約3倍という台数のロータス26Rが流通しているといわれており、これはコレでモータースポーツ・ファンを楽しませている。



オリジナル・パーツを使ってコンバート

愛知県岡崎市にある英国車やライトウェイト・スポーツカーの専門店、ACマインズがオートモビル ・カウンシル2025で展示した1965年式ロータス・エラン26R(タイプ26/4320)も、正式に26Rとして認証されているオリジナル・パーツを使ってコンバートされたモデルで、FIAペーパー(ヒストリック・ビークル・アイデンティティ・フォーム)も発行されている。会場での税込車両販売価格は1480万円であった。

FIAペーパーによると、1965年5月にエランS2としてデリバリーされ、一度もレストアされることなく1989年までに7人のオーナーの手に渡っている。1990年のドイツ・オールドタイマー・グランプリにエントリーしようと思ったオーナーが26Rへとコンバートし、予選1位、決勝2位という輝かしいリザルトを遺している。

いま数千万円という価格で流通しているであろうオリジナルのロータス26Rを買ってレースを楽しむのもいいが、各部がしっかり造り込まれたコンバージョン仕様のエラン26Rでサーキットを走るほうが圧倒的に楽しいと思う。我こそは! と思ったロータス好きは、ACマインズを訪問してみるといいだろう(私も行きたい)。



文・写真=高桑秀典

(ENGINE WEBオリジナル)

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