レクサスが上海モーターショーで、8代目となる新型「ES」のプロトタイプを世界初公開した。ハイブリッド車とBEVの両方をそろえる、レクサスの次世代電動車ラインナップの先陣を切るモデルだ。
LF-ZCのデザイン思想を導入3サイズは5140×1920×1555mmと、先代比で165mm長く、55mm広く、110mm高い。BEVは、全高がさらに5mm高くなる。ホイールベースは、80mm延長され2950mmとなる。
エクステリアは、ジャパン・モビリティ・ショー2023で披露した「LF-ZC」のデザイン思想を導入。低いノーズや立体的な造形、ワンモーション・シルエットのキャビンで、空力を高めている。
ヘッドライトは2段式で、上部はL字型のデイタイム・ライトとウインカーを上下反転して組み合わせた。このツインLシグネチャー・ランプと銘打った灯火類は、次世代レクサスの新たなデザイン・アイコンになるという。ハイブリッド車に備わる薄型アッパー・グリルは、BEVとの識別点だ。
リアまわりは、空力向上に寄与するボディ後方の傾斜角やバンパー面の絞り込み、テール・ライトを盛り込んだ。リアLシグネチャー・ランプは、発光ロゴと一体化した一文字の尾灯／ブレーキランプを上部に、それ以外を統合したL字型ライトを下部に配置し、エア・フローを最適化しつつレクサスの独自性を表現している。
パワートレインはハイブリッドが3種類、BEVが2種類。ハイブリッドの上級仕様であるES350hは2.5リットル直4ベースで247.4ps、下位のES300hは仕向地により異なり、201.2psの2.5リットルと197.1psの2リットルを用意する。ES初となる2リットル車はFFのみ、システムを刷新しeアクスルを採用した2.5リットル車はFFと4WD。0-100km/h加速は、ES350hが7.8〜8.0秒、ES300hは2.5リットル車が8.3〜8.5秒、2.0リットル車が9.4秒だ。
BEVは、FFで224.3psのES350eと、前後eアクスル4WDで342.6psのES500e。0-100km/h加速と航続距離は、ES350eが8.9秒／約685km、ES500eが5.9秒／約610km。150kW急速充電で10〜80％の所要時間は外気温により異なり、25度で約30分、0度で約40分、−10度で約60分だという。ES500eには、RZなどに用いられる四輪駆動制御技術のダイレクト4を採用し、前後駆動力配分は100：0〜0：100の自動可変式だ。
プラットフォームはGA-Kに専用設計を施し、床下へのバッテリー搭載などBEV特有の構造に対応させるとともに、前後端とフロアの剛性を向上。振動の抑制や、ドライバーの意図に忠実な加減速と操舵のレスポンスを実現し、レクサスらしい走り味を追求した。
サスペンションはフロントがストラット、リアがES初のマルチリンク。サスペンション・アームのブッシュ特性を見直し、上質な乗り心地を目指した。操舵系は可変レシオを採用するほか、四輪操舵システムのDRSを設定している。
インテリアは、高さを抑えた12.3インチの異形液晶メーターと、大画面のダブル・モニターが目を引く。また、消灯時には存在感を消し、手をかざすとアイコンが点灯する世界初の物理スイッチであるレスポンシブ・ヒドゥン・スイッチや、レクサス初の面発光加飾ドア・トリムといった新機軸も採用した。
パッケージングは開放感にこだわり、ガラス面積を拡大。調光機能付きパノラマ・ルーフは、前後席の頭上ほぼ全域を覆うサイズだが、熱や紫外線を大幅にカットするLow-Eガラスで快適な環境を維持する。シートやトリムは可能な限り薄くして、空間の拡大にも努めた。
フロント・シートは、運転席に挙動認知や正確な操作が可能な運転姿勢を確保する新規構造を導入する一方、助手席にはオットマンを設定。後席はマッサージ機能を搭載したほか、リクライニングやオットマン、助手席や大前倒し機構で快適に過ごせるパッケージも用意され、ボディ・サイズ拡大により拡がった室内空間の、快適性をより高めている。また、着座位置を引き上げることで、視認性や乗降性も改善した。
加飾には、竹をモチーフに奥行きを表現した立体印刷や、幾何学パターンなどを設定。内装色は、プロトタイプに用いた新色のアオタケなど４色から選択できる。
レクサス最新のデザインと技術を数多く詰め込んだ新型ES。日本での発売は、2026年春頃となる予定だ。
文＝関 耕一郎
（ENGINE Webオリジナル）
