ステランティス・ヘリテージが、クラブ・イタリアの会員向けに「アバルト695クラブ・イタリア」を製作した。
知る人ぞ知る名、それがクラブ・イタリア
クラブ・イタリアは1985年に設立し、スタイルや技術、デザイン、クラフトマンシップやスポーツ性の伝統が際立ったイタリア車を、クリエイティブな文化的遺産として保護していくことを目的に掲げている。

過去には1992年のランチア・デルタや1996年のフィアット・バルケッタ、最近ではアルファ・ロメオ4CやマセラティMC20をベースにクラブ・イタリア仕様を製作。いずれも会員向けではあるが、市場に出回れば高額で取引されるコレクターズ・アイテムとなっている。

このアバルト695は、ステランティス・ヘリテージが展開する『リローデッド・バイ・クリエイターズ』プログラムの一環だ。通常はクラシック・モデルをレストアして、ワンオフや少量限定のコレクターズ・カーを生み出すものだが、今回はアバルト最後の純内燃エンジン車を、オフィチーネ・クラシケの職人の手を借りてスペシャルなクルマへと仕立てた。

ボディは、ブルーとグリーンのデュオ・トーンに塗られ、境界線には赤いピンストライプが引かれる。ドア・ミラーもボディに合わせたカラーリングで、ホイールはブロンズ・カラーの17インチ。フロント・フェンダーには、クラブ・イタリアのバッジが設置される。

インテリアは、タバコ色のレザーを使用したレーシング・バケット・シートに、クラブ・イタリアのエンブレムを刺繍。ステアリング・ホイールはレザーとアルカンターラを巻き、カーボン・インサートとセンター・マーカーが加えられた。ダッシュボードのスポーツ・ボタンにもエンブレムが描かれている。

エンジン・ルームと室内には、オーナー名とナンバーが入った専用プレートを据え付けた。アバルト・クラシケの金属ラベル付き証明書と認証ブックも付属する。
今や電気自動車のみのラインナップとなっているアバルトだが、フィアットは500ハイブリッドの生産を決定している。このクラブ・イタリアはアバルトの純内燃エンジン車の終焉を飾るもの。
今後の復活は望めなさそうだが、デジタル再現ではないレコード・モンツァのサウンドが、ハイブリッド車としてでも再び響き渡ることに期待したい。あの音もまた、イタリア自動車界の文化的遺産なのだから。
文=関 耕一郎
(ENGINE Webオリジナル)