アウディが、新型Q3を発表した。ガソリン、ディーゼル、マイルド・ハイブリッドにプラグイン・ハイブリッドと、豊富なパワートレインを取り揃えた。
2つのハイブリッドにディーゼルと全方位展開
Q3のエントリー・モデルは、1.5リットル直列4気筒ターボ・マイルド・ハイブリッド(MHEV)のTFSIという 最高出力150ps仕様。低・中速時には2/3番シリンダーを気筒休止するCODシステムも装備する。同じく150ps仕様ながらディーゼルであるTDIや、265ps仕様のTFSIクワトロも設定。トランスミッションは、いずれも7段のデュアルクラッチ式だ。

PHEVのe-ハイブリッドは、システム出力とトルクが272ps/400Nmを発生。モーターは116ps/330Nm 、エンジンは、177psの1.5リットル直列4気筒ターボを使用している。

総容量25.7kWh/実用容量19.7kWhの高電圧バッテリーは、角形セル96個を4モジュールに分割。寸法は従来とほぼ同じだが、容量をおよそ2倍に拡大した。各モジュールの充電容量も73Ahと、従来の37Ahから大幅に向上。EVモードでの走行距離は、最大119kmに達する。最大50kWの直流急速充電に対応し、10-80%のチャージは最短で30分未満だ。

サスペンションは新開発され、スチール・スプリングの標準仕様、スポーツ仕様、そして2バルブ・ダンパー・コントロール付き仕様の3種類を用意。ダンパー・コントロールは2バルブ化によりレスポンスと精度を高め、伸び側と縮み側の個別制御で快適性や運動性を最適化する。走行モードは、従来のオートがバランスドと名を変え、運動性と快適性のベスト・バランスを求めた自動制御を行う。

このクラスのアウディではじめて搭載するのが、マイクロLEDテクノロジーを伴うマトリックスLEDヘッドライト。上下2段構成で、上段は片側23セグメントのLEDで構成され、ウインカーと、さまざまなパターンで点灯するシグネチャー・ライトを兼ねる。前照灯は、バンパー・サイドの黒い部分に組み込まれ、路面へ警告アイコンなどを投影することも可能だ。

デジタルOLEDテールライトも、このセグメントのアウディでは初の導入。センターのフォーリングスや、ライトの下をボディ幅いっぱいに走るラインも点灯する。

ホイールは17〜20インチを設定し、18〜19インチのエアロ・ホイールもラインナップ。Cd=0.30と改善を図った空力は、これまたこのクラスではアウディ初となるフロント・サイドウインドウのアコースティック・ガラスと合わせて静粛性向上にも寄与する。

インテリアは操作系を見直し、シフト・セレクターは右側、灯火類とワイパーは左側のコラム・レバーに統合。これにより、センター・コンソール周りの収納スペースを多く確保している。メーター・パネルは11.9インチ、センター画面は12.8インチのタッチ・ディスプレイ式で、上位機種並みのデジタル装備を採用した。

内装には、成長の早い木材や再生素材など、御多分に洩れず持続可能性に配慮した素材を設定。後席はスライド可能で、ICE車の荷室容量は通常488リットル、スライド前進時575リットル、最大1386リットルと、上位機種であるQ5のPHEVモデルを凌ぐほどだ。
欧州では10月に発売し、価格はTFSI 110kwが4万4600ユーロ(約744万円)、e-ハイブリッド200kwが4万9300ユーロ(約822万円)。
欧州では売れ筋カテゴリーであるCセグメントSUVだけに、パワートレインの幅広い選択肢を用意し、上位クラス並みの装備を投入するなど、気合の入った新型Q3。

ただし、その分価格の上昇は避けられず、日本でも500万円台に収まる現行モデルよりかなり高額になりそうだ。
文=関 耕一郎
(ENGINE Webオリジナル)