春の時計見本市や新製品発表も一段落。新作が続々と店頭に並び始めた。ダイバーシティー=多様性の時代。より柔軟・自由な”新基準=ニュースタンダード”によって、今の自分にふさわしい一本を選びたい。8名のENGINE時計委員の目利きを参考に、この夏、一生つきあえる腕時計をセレクト!
ウブロ ビッグ・バン20th アニバーサリー チタニウム セラミック
2005年に登場した「ビッグ・バン」は、先端技術を積極的に取り入れ、デザイン、素材、ムーブメントの全般にわたって時計の概念を劇的に変え、21世紀を象徴するアイコンウォッチになった。
誕生から20年の今年、進化の原点になったオリジナルモデルに敬意を表して5種類のアニバーサリーモデルが登場した。中でも外観のイメージがオリジナルに最も近いのは、チタンケースにセラミックベゼルを組み合わせたこのモデル。
一方でムーブメントは、フライバッククロノグラフ機能やシリコン製脱進機、約72時間パワーリザーブなどを特徴とする自社製UNICOを搭載して格段に進化を遂げている。ケース直径43mm、10気圧防水。世界限定500本。284万9000円。
祝20周年。次の一手も楽しみ 数藤 健「こういう手法もあるのか!」。90年代後半のバーゼルフェアで“ゴールド・ケースにラバーストラップ”という組み合わせの時計に感嘆。蒙を啓いてくれたのはイエローゴールド・ケース×ラバーのウブロで、洒落者だった当時のソニーCEOがさりげなく着けているのを帰国後に経済誌で見た。
ウブロは2005年に“The Art of Fusion(異なる素材やアイデアの融合)”を標榜する「ビッグ・バン」としてリニューアル。着想・発想豊かなモデルが続々と登場し、人気がまさに大爆発。私も“Invisible Visibility(見えない可視性)”をうたうオールブラックを愛用している。
ユニークで強い基本コンセプトは支持され続ける。20周年おめでとうございます。次の一手も楽しみ!
「つづく」が続く 菅原 茂連続ドラマを見ていて楽しいのは「つづく」が次回のストーリー展開に期待させるところ。ウブロというブランドをドラマティックに変え、おまけにその圧倒的な爆発力が他にも影響を及ぼした「ビッグ・バン」はそういう希有な存在だろう。
誕生から20年、スイスの展示会で毎年たくさんの「つづく」を用意してきたウブロ。そして翌年は、想像を超えた世界初に「そうきたか!」と感心させられるのだった。
「時刻を見るのではなく、時計を見る」という今やもっともな考え方、そして多様性に通じる“フュージョン”という卓抜なコンセプト。時計好きをまだ見ぬ展開へと導くそうした「つづく」こそがウブロを選ぶ理由になりはしないか。
問い合わせ=LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパンTel.03-5635-7055
写真=奧山栄一
(ENGINE2025年8月号)