前回までウィナーズ・デイトナとデイトナ24時間レースの話を中心に紹介してきた。今回、鈴木利男さんにインタビューした理由はもう一つある。それは、2025年モデルをもって製造・販売を終了するR35 GT-Rにも深く関わっているからだ。すでにご存じの方も多いだろうが、鈴木利男さんは、R35 GT-Rの開発ドライバーの1人。ニュルブルクリンクでの走り込みや販売時に発表されたタイム計測の結果は、いずれも彼のドライビングのよるものだ。
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開発ドライバーならではの視点で進化させていったR35 GT-R
R35を開発している当時、鈴木利男さんは開発ドライバーとして、開発責任者である水野和敏さんとさまざまな意見を交わしながら、何度もテストや走り込みも行い、R35の高速走行性能の基礎を固めていった。

今でも話題となるR35の走りの原点は、デイトナ24時間レースをはじめ、数々のレースで活躍したドライバー鈴木利男さんと、当時のレースチーム監督・水野和敏さんのタッグによるものだ。
R35の開発を進めていく中で、鈴木利男さんは街乗りにおける乗り心地のことも気にしており、「硬い乗り心地だけどいいの?」と開発責任者の水野和敏さんに話したこともあるという。その後、開発ドライバー目線の意見も踏まえ、2011年モデルからは新たなショックアブソーバーが採用された。

このような短期間での開発や素早い決断ができたのは、少人数体制で開発していたR35 GT-Rチームならではの特徴と言えるだろう。
少数精鋭のチームで開発され、2007年にデビューしたR35 GT-Rだが、2025年についに生産を終了する。
ついに生産終了のR35 GT-Rについて「よくここまで続けてきたと思う」
2025年モデルをもって販売終了となるR35 GT-Rについて鈴木利男さんに聞いてみると「外装や内装などを変えながら、ここまでよく販売を続けてきたと思う」と話す。


鈴木利男さんも語るように、R35 GT-Rは2007年デビュー以降、基本パッケージなどを変更をすることなく、細かな調整やアップグレードを繰り返しながら18年もの長きにわたり販売されている。
この18年の間に、エンジン出力アップや乗り心地の向上、エクステリアやインテリアの変更をしてきただけでなく、GT-R開発チームの交代もあった。それでも、GT-Rは進化が止まることはなかった。
これほど長い期間にわたり、基本パッケージなどを変えずにスポーツカーの第一線で活躍し続けてきたクルマはほとんどないだろう。
惜しくも2025年にR35 GT-Rの生産は終了するが、その名はこれからも日本を代表する名車として語り継がれることだろう。
【R35 GT-R基本情報】2007年モデルと2025年モデル

【2007年モデルのスペック】
サイズ:全長4655mm×全幅1895mm×全高1370mm
車両重量:1740kg
エンジン:3.8リットルV型6気筒ツインターボ(VR38DETT)
最高出力:353kW(480PS)/6400rpm
最大トルク:588Nm(60.0kgm)/3200〜5200rpm
価格:777万円(GT-R)
【2025年モデルのスペック】
サイズ:全長4710mm×全幅1895mm×全高1370mm
車両重量:1760kg
エンジン:3.8リットルV型6気筒ツインターボ(VR38DETT)
最高出力:419kW(570PS)/6800rpm
最大トルク:637Nm(65.0kgm)/3300〜5800rpm
価格:1444万3000円(GT-R Pure edition)
次回:「特に冬は注意してほしい」開発ドライバーが話すGT-Rの注意点
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こちら文=齊藤優太(ENGINE編集部) 写真=佐藤慎吾(ENGINE編集部)、日産自動車
(ENGINE Webオリジナル)