2025.07.10

CARS

売れてる理由に納得! スバル独自のフルハイブリッドが生む上質な走り 新型フォレスターに公道で乗る

6代目となった新型スバル・フォレスター。フルハイブリッドが420.2万円~、1.8リッターターボが404.8万円~。

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2か月前にお伝えしたクローズド・コースに続き、今回は、6代目に進化したフォレスターを公道で乗ることができた。ちなみに、長いウエイティングリストができるほど売れているようです。

オフローダー色が強くなった

インプレッサのSUV風ワゴン版といえるキャラクターで1997年にデビューしたフォレスターも、今回登場した新型で6代目。3代目で本格的なSUVに転身してからは、モデルチェンジの度に全長を30~40mm、全幅を15~20mmずつ拡大しつつも、コンセプトを変えることなく進化し続けてきた。

ちなみに、新型の全長×全幅は4655×1830mm。トヨタRAV4をはじめ、数多のライバルとほぼ同じサイズを有する。プラットフォームをはじめ、中身は5代目の進化版で、外観のフォルムも先代に近い。ただし、フロント・マスクをはじめ、そのディテールは先日発表された新型アウトバック同様、オフローダー色が濃くなり、これまで以上に精悍なイメージが強くなった。





そんな新型における一番の注目点はフルハイブリッド(以下FHV)の新設だ。THSと呼ばれるトヨタの遊星ギア式ハイブリッド機構を用いたもので、クロストレックに続いて2例目となる。エンジンは2.5リッターフラット4で、後輪の駆動力はトヨタのようなモーター式ではなくハイブリッドで得た動力をトランスファーで分配し、リア・タイヤに伝える。ここがスバルならではのところです、と技術者は胸を張る。制御方法もスバル独自だという。

マイルド・ハイブリッドはカタログ落ちしたものの1.8リッターターボは新型でも継続されている。しかし、主役は間違いなくこのFHVだ。FHVの販売割合は、スバルの登録車ではこれまでで3番目に多い1万1466台という大量の受注を獲得した最初の1か月では85%、累計でも8割に達する。なお、当初FHVの納車待ちは1年以上だったが、増産が準備中で、体制が整えば短縮されるという。

トヨタの残り香はない

クローズドのオフロードをはじめ、様々なシチュエーションで試乗することができたが、FHVは全方位的にレベルの高いクルマだった。スバルらしさリニアな特性にこだわったというハイブリッド・パワートレインは、たしかに、スロットルや速度の変化に対するエンジンの動きがトヨタ車のハイブリッドよりも連携が取れていて違和感は少なめ。有段ギア式の変速機ほどではないものの、リニアな感じは1.8リッターターボのCVTと同レベル。モーターのアシストによりアクセル・ペダルの踏み始めからクルマが瞬時に、しかも力強く反応してくれるので扱いやすい。



0-100km /h加速は1.8リッターターボの方が速いというが、一般道で走っている限りは同等か、むしろそれ以上に感じた。また、シャシーの出来もなかなか。脚がしっかり動いている割にロール量は少なく、その前後バランスもいい。総じて走りは、先代と比べると全方位的に上質な方向にグレードアップした感じ。スバルらしさに溢れてはいないけれど、トヨタの残り香もしない。ちなみに、試乗時の燃費は1.8リッターターボよりも6割以上良かった。



一方、1.8リッターターボはというと、こちらはまだまだスバルしている(笑)。もちろん、そう感じさせる一番の要因はエンジンだ。遮音と吸音性能が高く、その音量はかなり小さいものの、スバル独特のフラット4サウンドが耳に届く。ただし、脚はちょっと硬め。前後のロール・バランスはFHVの方がいい。スバルらしさにこだわないなら、価格差を考えてもFHVがオススメです。

文=新井一樹(ENGINE編集部) 写真=スバル

(ENGINE2025年8月号)
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