2025.07.26

CARS

何をもって環境負荷が少ないと考えるべきか? かつてのボルボ780を偲ばせるES90は小型EVより低いCO2排出量を実現

大型だから、電気自動車だから、エコじゃない、と単純にはいえない。

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ボルボの新たな電気自動車、ES90が、欧州で受注を進み、まもなく出荷が始まろうとしている。

旗艦サルーンながら、小型ハッチバックよりエコ?


ES90はボルボの電気自動車としては6車種目で、ホイールベースが3.1mという大型モデル。5ドア・クーペ的なスタイリングに、SUV的な高い地上高というクロスオーバーで、Cd=0.25という優れた空力性能を実現する。





キャビンは、2列シート・レイアウトだ。新たな800V電気システムにより、10分で300km相当の充電が可能で、フル・チャージでの航続距離はWLTP値で最大700kmとされる。





このES90は大型車でありながら、カーボン・フットプリントは小型電気自動車のEX40やEC40を下回るという。欧州のエネルギー・ミックスを使用して充電した場合は31tで、S90のマイルド・ハイブリッド・モデルより約50%、プラグイン・ハイブリッド・モデルより約30%低く、さらに風力発電の使用時には26tに引き下げられる。

これは、気候への実質的な影響をゼロにしたクライメート・ニュートラル電力で生産されることが一因に挙げられる。また、リサイクル素材の使用率はアルミが29%、スチールが18%、ポリマーが16%、さらに国際団体のFSC (Forest Stewardship Council 森林管理協議会)認証の天然木など、バイオ・ベース素材の採用も理由だ。



さらに内装は、ペットボトルなどのリサイクル素材や、バイオ由来素材を積極的に使用。原材料の産地やバッテリーの状態、再資源化までライフサイクル全体を追跡できる、バッテリー・パスポートも、電気自動車の環境負荷低減を進めるため2027年には欧州で義務化されるが、ボルボは世界に先駆けて導入した。

電気自動車のライフサイクル全体を通しての環境負荷が、はたして内燃エンジン車より大幅に低減しているのか、という疑問はたびたび論じられてきた。そこで、いち早く電動化へ舵を切り、この分野のリーダーを目指すというボルボは、ES90で第三者機関に検証されたライフサイクル・アセスメント・レポートで、原材料の採掘・精製から車両廃棄までを踏まえた温室効果ガス排出量の低さを示している。



ボルボ・カーズのグローバル・サステナビリティ責任者であるヴァネッサ・ブタニは「既存の法規制をはるかに上回る取り組みを行い、明確な目標を設定しています」という。

目指しているのは、2040年までの温室効果ガス排出量の実質的なゼロの達成。それに向けて「循環型経済、クライメート・ニュートラルな製造、責任あるビジネスを含む。サステナビリティに対する包括的なアプローチを体現」しているのがES90なのだ、としている。



クルマとしても、そのライフサイクルにおけるアプローチとしても、新たな試みを盛り込んだES90。日本導入時期は2026年以降とされている。

文=関 耕一郎

(ENGINE Webオリジナル)
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