2025.08.12

CARS

プログラム・ソリテールの第一弾 1台きりのブガッティの名は「ブルイヤール」!

これぞ究極! たった1台だけのブガッティが現る!

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ブガッティが、ワンオフ・モデルを製作する“プログラム・ソリテール”をスタート。その第一弾となる「ブルイヤール」を発表した。

創業者の愛馬の名


ソリテールとは『単独の』を意味し、ダイヤモンド一石の指輪を指す呼称にも用いられるフランス語。オーダーメイド・プログラムの“シュール・メジュール”を超える注文に応えるもので、その第一作となるクーペには“霧”を意味するミストラルという車名が与えられたが、ブルイヤールは創業者であるエットーレ・ブガッティの愛馬にちなんでいるという。



プログラム・ソリテールは、100年以上前からブガッティのDNAに脈々と受け継がれる、コーチビルドの精神に着想を得たとされる。20世紀初頭には、自動車メーカーが数々のコーチビルダーと手を組み、美しいボディ・デザインを多数生み出したが、エットーレの長男であるジャンはその内製化に着手。

名高いタイプ57をベースに、2ドアで2座のアタランテと4座のヴァントー、カブリオレのステルヴィオ、4ドアのガリビエールを設定したほか、ブガッティの象徴とも言うべきタイプ57SCアトランティークが生まれた。

その現代解釈版とも言うべきブルイヤールは、W16を搭載する既存のプラットフォームがベース。エンジンは最高出力1600psを発生する、20年近く熟成を重ねたクワッド・ターボの最強バージョンだ。



エクステリアは、世界最速オープンとも呼ばれたW16ミストラルのクーペ版といった出立ち。



フロントはおなじみの馬蹄形グリルを中心に、両脇にも大開口のインテークを配置。そこから大きく後退したヘッドライトは、片側4本のバーを積み重ねたルーバーのような形状だ。

ボディ・サイドは、上2/3を明るく、下1/3を暗く彩色することで、低さや長さを引き立て、軽くダイナミックに見せることを狙った。ホイールも、実際以上に大きく見せている。



X字状の薄型テールライトや、熱気を排出する大きな開口部もミストラルを思わせる。エア・インテークは、圧力損失を生むラジエーターへより多くの空気を送り込み、冷却効率を最適化する設計。

リア・エンドには、空力バランスとエレガントなシルエットを両立する固定型のダックテールを採用した。ディフューザーは、革新的な排気系を組み合わせることで、機能する部分の表面積を最大限確保している。



2本のエア・インテークを乗せたルーフは、センターにスパインが走る独特な形状のガラス・パネルを設置。



インテリアは、パリのメーカーが特別に織り上げたタータンチェックのファブリックや、グリーンに染色したカーボン、切削加工のアルミなど、高品質のマテリアルを使用する。



シートやドア・パネルは、車名にも関係する馬のモチーフで装飾され、アルミ削り出しのシフト・レバーにも馬の彫刻が施される。ミストラルでは、エットーレの弟で彫刻家のレンブラントの手になる踊る象を再現した、琥珀のインサートを用いた部分だ。



このブルイヤールを発注したのは、ブガッティの熱心なコレクターだという。その人物、興味の対象は新旧の名車だけでなく、エットーレの父であるカルロが手がけた家具や、レンブラントの彫刻にまで及ぶとのことで、ブガッティ・ファミリーの芸術性を集約したようなクルマを望んだそうだ。

公式なアンヴェールは、モンテレー・カー・ウィークで行われる予定。プログラム・ソリテールは今後、年間2台までのペースを守り、最大限の配慮とクラフトマンシップを注ぎ込んだクルマづくりをしていくという。

文=関 耕一郎

(ENGINE Webオリジナル)

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