2025.08.24

CARS

これが次期型コルベットの真打ちなのか? 二千馬力オーバー想定の「コルベットCX」が登場

これまでの次期型コルベットのデザイン・スタディの中で一番現実的か?

全ての画像を見る
モンテレー・カー・ウィークでデビューした「コルベットCX」と「CX.Rヴィジョン・グランツーリスモ(VGT)」は、GMが2025年に入り発表し続けている、次期コルベットを示唆するデザイン・コンセプトの第3弾だ。

公道仕様とレーシング・カーで心臓部が違う?


最近、コルベットは頭文字と世代を組み合わせた呼称が一般に用いられるようになっており、CXという名称は未知のX世代を示唆していると思われる。



これまでイギリスとカリフォルニアのスタジオの作品を公開されているが、今回はデトロイト本社のお膝元、ミシガン州ウォーレンのシボレー・パフォーマンス・スタジオが手掛けた。



2025年内に3モデルを公開する予定だったコルベット・コンセプト、そのトリを飾るCXは、ロード・カーとレーシング・カーの2本立てとなった。



これまでの2台はボディ・サイズが公表されたが、CXは全高が1041mm未満であることのみが明かされている。デビューのステージでは、脇に市販モデルのZR1 Xを従えていたが、同程度の長さで、CXのほうがワイドに見えることから、以前の2台と同等の全長約4.7m、全幅2.2m弱と推測される。



キャブフォワードなフォルムもC8に近いが、弧を描く前後フェンダーと絞り込んだキャビンは、C2やC3のいわゆるコークボトル・ラインを強調したよう。

突き出したノーズや、ボディの上下を区切るような水平のライン、4灯のテールライトなど、伝統の要素もしっかり盛り込まれている。とはいえ、見た目の力強さだけを追求したデザインではなく、GMモータースポーツの空力部門に協力を得て、究極のパフォーマンスを追求したという。

フロント・エンドからキャビンの前に至るダクトや、ボディ・サイド下部からリア・サスペンション付近を経てテール・エンドへ至るトンネル構造など、ミドシップ・スポーツらしいボディ・ワークに加え、採用された革新的なデバイスがバキューム・ファン・システムだ。内蔵ファンがエアフローを強化し、強力なダウンフォースを生む。



さらに、可動式のフロント・ディフューザーとリア・ウイングは、ドライバーの入力に反応して自動で調整され、グリップを最大化。サスペンションはアームをウイング形状として、エアフロー改善とフロント・リフト軽減を図った。

パワートレインは、4つのモーターを各輪に設置した4WDで、2000ps以上のパワーを発生するとともに、四輪トルクベクタリングによる極限のグリップ性能と旋回性能を実現。容量が90kWhとなるリチウムイオン・バッテリーは、低重心化と理想的な前後重量配分を達成するよう搭載される。



下部を深く抉ったボディ・サイドにドアはなく、キャビンへは、フロント周りからウインドウとルーフ、ショルダー部のボディ・パネルまでが一体で開く自動開閉式キャノピーからアクセスする。前方へ跳ね上げた姿は、C4のエンジン・フードを彷彿させる。フェンダーやライトまでが一体で大胆に開く姿が迫力満点の、逆アリゲーターとの呼び名がピッタリだった前ヒンジ式ボンネットだ。



インフェルノ・レッドが目に鮮やかなインテリアは、バリスティック・ファブリックやプレミアム・シリコン・レザーといったマテリアルを使用。切削加工アルミや、ツヤを抑えたフォージド・カーボンのトリムが、ドライバー・フォーカスな雰囲気をもたらすアクセントとなっている。



シートは、シャシーが高い旋回Gを生む旋回時にも乗員をしっかりホールドする形状。ステアリング・ホイールには主な操作系が統合され、センター・パッド部にはディスプレイも設置されるが、ウインドウの内側を大画面のサラウンド・ディスプレイとして使用することもできる。



興味深いのが、レーシング・バージョンのCX.R VGTだ。カラーリングは、25年間にわたりコルベットのレーシング・カーで使われ続けている黄色と黒。アクティブ・エアロは大型化され、低い車高はさらにダウン。軽量化も施される。



注目はそのパワーソースだ。ミドシップ・マウントされるのは、2リットルのV8 DOHCツインターボで、1万5000rpmまで回って900psを発生。さらに、左右前輪と8段DCTに計3基のモーターを装着し、システム出力は2000psに達する。ロード・カーはBEVとしたのに対し、レーシング・カーは敢えてハイブリッドというのは、現実的なのか、非現実的なのか、判断に苦しむところだが、内燃機関を載せてくれるというのはじつに喜ばしい。



室内は、いかにもレーシング・カーらしい設え。ダッシュボードは剥き出しのカーボンで、ヘッドレストやショルダー・サポートなどロード・カーより拡大されたシートは、身体がすべりにくいスウェード表皮のパッドを設置した。

このCX、来るべきC9へ直接的につながるプロトタイプというわけではなく、現時点で市販化は想定されていない。ただし今後、『グランツーリスモ7』でドライブできることになるという。



この先も野心的であり続けるだろうコルベットの未来を、バーチャルとはいえ体験できるのであれば、待ち遠しいところだ。

文=関 耕一郎

(ENGINE Webオリジナル)

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement