2025.09.07

CARS

発売は2028年! BMWがついに燃料電池車両を市場投入

将来的な水素エンジン搭載車の市販化に繋がるのか?

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BMWが、燃料電池システムの量産準備を着々と進めている。生産には、グループの主力エンジン生産施設として長い歴史を誇る、オーストリアのシュタイア工場が使用される。

水素エンジン車の前にまずは燃料電池車


今回のシステムは、BMWとしては第3世代に当たるという。第1世代は2014年、535iAベースの実験車両に搭載された、トヨタから供給を受けたもので、第2世代はiX5ハイドロジェンとして一般公開された。そして第3世代は、トヨタ製セルを用い、システムはBMWが開発した。

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最新世代の改善点は、まず小型化で、従来システムより約25%コンパクト。これは、主に出力密度の向上により達成された。次に、統合性の向上で、今後の車両アーキテクチャーへ無理なく組み込めるようになり、駆動系の選択肢を多様化するというユーザー・メリットを生む。



そして、コンポーネンツ最適化と効率向上。トヨタとの共同開発で、各部品のアップグレードを図り、エネルギー消費を減らしつつ出力を高め、航続距離も伸ばしている。



水素と酸素の酸化還元反応の際に発生する電気を利用する燃料電池は、それ単体では用を成さない。水素燃料と酸素を含む空気の供給系、また反応時の発熱による反応効率低下を防ぐ冷却系などがセットで必要になる。

プロトタイプはミュンヘンで製造され、最近では組み立てやテストの工程も進歩させるべく検証されている。また、システムそのものや搭載車の運用はもちろんだが、長期的な品質保証や拡張性、採算性なども研究を進めてきた。



この燃料電池を搭載するFCEV(フューエル・セル・エレクトリック・ヴィークル)の生産開始時期は、2028年を予定しており、長年にわたり内燃エンジンを生産してきたシュタイア工場では、燃料電池システムだけでなく、新生ノイエクラッセの電動パワートレインも手がけることが公表されており、施設の改修や新設が進行中だ。

また、400〜800Vの高電圧を用いる電動車のコントロール・ユニットである、BMWエナジーマスターを担当するランツフート工場は、FCEV用の生産設備の準備を2026年3月後半にも開始する。それと並行して、2026年半ばには近隣のディンゴルフィング工場で、燃料電池用エナジーマスターの試作に着手する。

水素燃料の利用について、BMWは長らく研究を続けてきた。以前の主役は水素エンジンだったが、石油燃料に比べてエネルギー効率の向上が難しく、本格量産には至っていない。



トヨタとの技術提携以降は主軸を燃料電池へシフトした感があるが、それでも、やはりエンジンが魅力のBMWには、内燃機関での実用化を叶えてほしいところ。



その分野でも、昨今レース活動を含め研究を進めているトヨタとの関係強化を期待したい。

文=関 耕一郎

(ENGINE Webオリジナル)
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