2025.11.01

LIFESTYLE

築55年のマンションを、モダンにリノベーション 地方出身の建築家夫婦がこの場所を選んだのは、とあるモノに近いから

空間を設計する事務所「kii」(きい)を主宰する新井里志さん(40歳)と、中富慶さん夫妻の自宅兼オフィス。シンプルで色が溢れる、個性的なインテリア。

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気の向くままに過ごす自宅兼オフィス

壁に沿って、仕事用のデスクが置かれているのは南西の一画。ただし、そこだけが仕事のためのスペースではない。特注のカラフルな大テーブルやベンチなど、気の向いた場所で自由に仕事をするのが2人のスタイルだ。

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一方、自宅兼オフィスと考えると、ダイニング・キッチンのエリアは相当に広い。中富さんが料理好きのうえ、友達を招くことが多いのだとか。テーブルとともにインテリアで大きなポイントになっているのが、両端がカーブした幅4mの緑のカウンターだ。大きな食器類や家電などが、この中に納められている。また来客時は、彼らが持ってきた手土産を並べたり、バーカウンターになったりと、極めて実用的だ。





照明はそのカウンターの上の、可動式のアーム型のものと、テーブル上の透明の機器以外は、間接照明が中心。コンセントやスイッチ類も、見えないように工夫されている。そればかりかテレビも、壁の一部を外すと現れるように隠されているから驚きだ。こうした小さな工夫の積み重ねで、シンプルでスッキリした部屋が誕生したのである。

デザインにはこだわったが、仕上げ材には高価な素材は用いなかった。それどころか、天井やキッチンの壁は、仕上げを施さずむき出しのまま。バスルームの扉に貼ったファブリックは、余ったもので大テーブルのベンチのクッションを作成した。古いマンションなので、サッシは昔ながらのガラスが一重のもの。高いコストをかけて、あえて二重にしなかった。取材は風の強い日だったので、サッシの隙間から漏れる風が青いカーテンを揺らしていた。



Kiiの2人は、「目指しているのは、ワクワクすること。エレガントでありながら、クレイジーな側面も大事」と自分たちのデザイン哲学を語る。それは、自邸の写真を見れば、納得するだろう。

そんな彼らは、世界的なラグジュアリーブランドや大企業と仕事をすることも少なくない。だがそうした大きな仕事だけでなく、街のおじいさんの小さな店舗のデザインも手掛けている。「規模に関係なく、こうした仕事も本当に大切なんですよ」と新井さんは呟いた。自由で創造的でありながら、優しく繊細な心配りに溢れた彼らの生活から、この居心地の良い部屋は生まれたのである。

文=ジョー スズキ(デザイン・プロデューサー)

■人気連載「マイカー&マイハウス クルマと暮らす理想の住まいを求めて」の記事一覧を見る!

■ジョー スズキさんが個展を開催!
雑誌『エンジン』の人気企画「マイカー&マイハウス」の取材・コーディネートを担当しているデザイン・プロデューサーのジョー スズキさん。実は魅力的な写真を撮ることでも知られています。

このたび、画廊では初の個展となる「Thursday’s Child」を開催。タイトルは『マザーグース』の一節、「木曜日に生まれた子供は旅に出る」から着想を得たものです。



木曜生まれのジョー スズキさんが、旅先で出会った瞬間を切り取った作品は、絵画のように美しい構図で、どこかカワイイ品の良さが同居しています。そんなジョー スズキさんならではの世界を、ぜひ会場で体験してみてください。
 
■ジョー スズキ個展 「Thursday’s Child」
2025.11.18(火)~11.24(月) 13:00-19:00
ギャラリー「晴れ」   東京都港区南青山3-8-5 302
写真集「Thursday’s Child」(制作 / 印刷 アサヒ精版株式会社)が展覧会場で販売されます。



(ENGINE Webオリジナル)

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