2025.12.08

CARS

あなたの古いマセラティも認証対象かも マセラティ・クラシケの出張認証がスタート イタリア国外では初の試み

右から1965年型ミストラル、1970年型インディ、1968年型ギブリ。マセラティのPDIセンターにて。

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マセラティのクラシックカーを認証する公式プログラムが、イタリア国外で初となる日本で始まった。本国から来日した認証の責任者に話を聞いた。

クラシック・マセラティの保存、修復、正当性を認証するためのヘリテージプログラム、その名も「マセラティ・クラシケ」がイタリア本国で始まったのは2021年のこと。1967年型のミストラル3700を皮切りに、以来、約100台もの車両に対し認定証が発行されたという。

もちろん日本にあるクルマも対象とされたが、審査のためにはイタリアまで車両を輸送せねばならず、運搬や保険などの費用を考えれば、そのハードルは決して低いものではなかった。



それが今年より、マセラティの認定担当者が定期的に来日し、本国にクルマを送ることなく審査を受けられることになった。その出張審査の第一回が10月、千葉県にあるマセラティのPDIセンターで行われていた。

その様子を見に伺うと、センターには、1965年型のセブリング・シリーズ2や1998年型の3200GTなどの6台が置かれていた。来日した本プログラムのマネージャー、クリスティアーノ・ボルツォーニさんによれば、審査の対象となるのは生産から20年以上が経った車両。希望者は事前にクルマの詳細情報をフォームで送り、認証の可能性がある車両のみが、実車のチェックを受けられるそうだ。



認証の基準となるのは、その車両がいかにオリジナルの状態に近いかであり、そのチェック項目は数百にわたる。だが、たとえエンジンを載せ替えていたり外部パーツを使用していたりしたとしても、マセラティが認めているものであれば、審査は通るそうだ。さらに車体に凹みや傷があっても、それが放置されていたためではなく、「愛情をもって保管されていたもの」(クリスティアーノさん)であれば、やはり認証される可能性がある。

「マセラティ・クラシケ」は単に車両の正当性を認めるためだけのプログラムではなく、必要に応じて部品を供給したり、レストアのサポートなども行ったりする。時間はかかったものの、すでに存在していなかった50年以上前の車両のスペアパーツを、わざわざ作り直したケースもあるそうだ。

手前から、1972年型ギブリSS、1965年型セブリング・シリーズ2、1998年型3200GT。

ちなみにこれまで、このプログラムに参加した旧車オーナーの約15パーセントが、マセラティの新車を購入している。創業から111年のヘリテージを重んじつつ、それを未来へとつなげていく「マセラティ・クラシケ」は、まさに名門カー・ブランドとしての理想的な在り方を体現しているかのようだ。

文=永野正雄(ENGINE編集部) 写真=田村浩章

認定されたクルマのオーナーには、認証プロセスの写真や細かな技術項目などが記された豪華なボックス入りのブックなどが渡される。

(ENGINE2026年1月号)
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