心踊るホリデーシーズン。この秋冬は、逸話あふれる一生モノの腕時計を、大切な人や自分への贈り物として選びませんか。“時計愛&好!”をもって任ずるENGINE時計委員会9名が、知見・体験や思い入れをふまえて「推し時計の歴史やストーリー」、「時計と自信の物語」エモーショナルに紡ぎます!
今回取り上げるのは、 シャネル「J12 BLUSH キャリバー 12.1」。マットブラックに、レッド~ピンクのグラデーション・カラーが映える。 シャネルならではのタイムピースだ。
さすがシャネル!
シャネルは時計とジュエリーのテーマやデザインにストーリーを取り入れることに長けている。遊び心もついにここまで来たか、面白すぎるぞ! そんな思いを抱いたのは、彼女とアトリエをアニメーション化した2024年の「J12 クチュール ワークショップ オートマタ キャリバー6」。ふつうの時計ブランドではまずありえない世界だ。2025年のカプセルコレクションではコスメティックの美の世界がテーマ。さすがシャネル、引き出しが多い。メティエダールの極致をゆくハイエンドのジュエリーモデルからこのシンプルな「J12」まで、ピンクやレッドを縦横無尽に使ってクリエーションを展開。他が真似できないことをやる、それがシャネル流なのだ。
(菅原 茂/時計ジャーナリスト)
あの高揚感を時計にも再現
今年のウォッチズ&ワンダーズで、シャネルは青の見事な世界を繰り広げた。その一方で、カプセルコレクションに捧げられたのは、「コスメティック」のテーマ。コレクションではメティエダールを駆使したハイエンドモデルも展開されたが、J12もまた、メイクアップカラーで彩られた。シャネルのシンボルであるブラックのケースを開けたときにカラフルなパウダーやリップスティックが現れる、あの高揚感そのものが再現されている。カラーグラデーションも見事だ。現在、メイクアップは決して女性だけのものではない。ジェンダーレスコレクションとして確固たる地位を確立した「J12」。だからこのコスメティックというテーマは、今のJ12にこそふさわしいと感じている。
(野上亜紀/時計&宝飾ジャーナリスト)
シャネル J12 BLUSH キャリバー 12.1

ガブリエル シャネルがコスメティックの分野で功績を残した“ビューティー”の世界を称え、ピンクやレッドをテーマカラーに採用した2025年の「CHANEL BLUSH WATCH CAPSULE COLLECTION」。「J12 BLUSH キャリバー 12.1」では、ブラックラッカーダイアルや、ブラック仕上げのサファイアクリスタルリングをセットした逆回転防止ベゼルに、ピンクとレッドのインデックスをアレンジ。ムーブメントは、高精度と70時間パワーリザーブのシャネル仕様の自動巻きキャリバー 12.1。高耐性ブラック セラミック、ステンレススティール、ケース直径38mm、200m防水。162万8000円(数量限定)。
問い合わせ=シャネル カスタマー ケア センター Tel.0120-525-519
写真=岡村昌弘
(ENGINE2026年1月号)