2026.01.17

LIFESTYLE

観客を戦地に放り込む、逃げ場のない没入映像 映画『ウォーフェア 戦地最前線』で体験する驚異の95分間

『ウォーフェア 戦地最前線』役者もさほど知られていない若手を中心に起用したことが、ドキュメンタリー映画のようなリアリズムを生み出した。1月16日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開。95分。配給:ハピネットファントム・スタジオ

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修羅場と化したイラク戦争において、窮地に追い込まれたアメリカ兵たち。彼らの体験をできる限り、忠実に再現した、リアルな戦争映画がつくられた。

2006年のイラク戦争での実話が題材

内戦が勃発した近未来のアメリカを描いた2024年のヒット作『シビル・ウォー/アメリカ最後の日』。この作品の成功により一躍、ヒットメーカーの仲間入りを果たしたのが脚本家あがりの映画監督、アレックス・ガーランドだ。その彼が次に手掛けた本作も戦争映画だが、今回はフィクションではなく、2006年に起きたイラク戦争での実話を題材としている。



米軍と反乱勢力が苛烈な戦闘を繰り広げていたイラク中部の都市、ラマディ。アメリカ海軍の特殊部隊“シールズ”の小隊に属する8名の兵士は、民家を占拠し、アルカイダ幹部の動向を監視していた。だがその動きを敵に察知された彼らは、先制攻撃を受け、建物を完全に包囲されてしまう。ようやく救出部隊が到着したものの、その試みは失敗、死傷者も出てしまう。激しい銃声と爆発音、そして負傷者の苦悶に満ちた叫び声が響きわたる中、彼らは絶望的な状況に追い込まれていく……。



救助隊が到着するまでの10分間、いや3分間がこれほど長く感じられる戦争映画があっただろうか。そんな作り物とは思えない、異様なまでの緊迫感を生み出しているのは、これが現地にいた兵士たちの体験を、できる限り忠実に再現しているからである。本作品の共同監督兼脚本家であるレイ・メンドーサも、通信担当将校として現地に居合わせたひとり。そのほか劇中に登場する兵士たちのモデルも、ともに修羅場を体験したメンドーサの戦友たちだ。

撮影はロンドン郊外にある40万平方メートルのスタジオにラマディの街並みを再現して行われた。本物の兵士さながらの動きを見せる若手の俳優たちは、撮影前に3週間にわたる、実戦に基づいた過酷な訓練を体験。さらなるリアリズムを生み出すため、撮影現場では極力、本物の爆発物が使われたという。

その結果、カメラが捉えることができたのは、まるで観客が戦地に放り込まれたかのような驚くべき映像の数々。我々は95分間にわたり、劇中の兵士たちと同じ地獄絵図を目撃することになるのだ。その果てにあるのは、もちろんヒロイックな英雄物語ではない。戦争という体験が人間にもたらす悪夢だけなのである。

文=永野正雄(ENGINE編集部)

■『ウォーフェア 戦地最前線』

本作の共同監督・脚本を手掛けたレイ・メンドーサは海軍を除隊後、映画の軍事アドバイザーとして活躍。アレックス・ガーランド監督の『シビル・ウォー/アメリカ最後の日』の製作にかかわったことから、本作品の企画が実現した。役者もさほど知られていない若手を中心に起用したことが、ドキュメンタリー映画のようなリアリズムを生み出している。1月16日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開。95分。配給:ハピネットファントム・スタジオ (C)2025 Real Time Situation LLC. All Rights Reserved.

(ENGINE2026年2・3月号)

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