日曜日の早朝、東京・代官山にエンスーなクルマたちが続々と集まっていく。国産・輸入車問わず多種多様な顔ぶれだが、オーナーたちはなんと全員35歳以下だという。代官山T-SITEで行われたモーニング・クルーズの会場から、今回は3000台限定で販売された3代目ホンダ・プレリュードの特別仕様車「Siステイツ」を紹介しよう。
若者たちだってクルマが好きなんです
若年層の“クルマ離れ”が嘆かれる現代。そんな潮流に逆らう若者たちが、少しでも元気なところを見せてやろうじゃないか! ということで、20代の若者が中心となって始まったカー・ミーティングが「YOKOHAMA CAR SESSION」である。
このミーティングの参加条件は「35歳以下であること」、それだけ。オーナーが35歳以下であれば車種、メーカー、年代、国籍などは全く問わない。毎年春先に横浜赤レンガ倉庫で行われている本イベントに筆者も何回か参加しているが、参加車両は本当に多種多様だ。

今回、代官山T-SITEで定期的に開催されている「モーニング・クルーズ」の1テーマとして、YOKOHAMA CAR SESSIONの“出張版”が開催されたというわけだ。集まったクルマは30〜40台ほどだったが、オーナーが35歳以下とは思えないディープなクルマたちが集結。
その中でも1990年式のホンダ・インテグラXSiに乗る筆者がビビッと来たのは、同年代のホンダの中でいわゆる“デートカーの王様”として知られる3代目プレリュードだ。
元祖デートカーの色気
昨年、24年ぶりにその名が復活し大きな話題となったプレリュードだが、その名が現代まで語り継がれる発端となったのは、やはり3代目の存在が大きいだろう。
1987年にデビューした3代目プレリュードは、四輪操舵システム(4WS)を市販車として世界初採用。先代からさらにモダナイズされた精悍なスタイリングで、当時の日産シルビア、トヨタ・ソアラと共に「デートカー」の代表格として名を馳せた。

31歳のカミクボさんが所有するプレリュードも、その色気のあるスタイルにまず圧倒された。しかもこの個体は1990年10月に3000台限定で販売された「Siステイツ」という特別仕様車で、ボディカラーはSiステイツ限定の「ジュネーブ・グリーン・パール」。当時のアコードに採用されていた色だそうで、ぱっと見は黒一色に見えるが、見る角度や光の加減によってダーキッシュなグリーンが顔をみせるダンディなカラーだ。
シャンパン・ゴールドのディッシュ風ホイールは、なんとダイハツ・シャレード・デ・トマソ用のマグネシウム・ホイールを流用。P.C.D.が異なるのでチェンジャーを噛ませて装着しているということだが、ゴールド仕様に変更されたエンブレム類と合わせて、なんともラグジュアリーな雰囲気を演出していた。

搭載されるエンジンは2.1リッターの直4DOHC。ここであれ…? と思った方、鋭い。このSiステイツには通常モデルの2リッター・エンジンとは異なり、輸出用のB21A型エンジンが搭載されている。当然3ナンバーとなり、これはプレリュード史上初のことだった。
「元々は軽自動車に乗っていたのですが、親が昔乗っていた3代目プレリュードの低いボンネットを持つデザインに惹かれて、3年前に乗り換えを決めました。中古車サイトやショップなど色々探しましたが、最終的にジモティ(!)で見つけた個体が良さそうだったので、広島まで引き取りに行きました。3代目唯一の3ナンバー車、というところも決め手でした。もちろん自走で帰ってきましたよ」

ジモティでクルマを買うというのが、なんとも今時だ。しかしながら厳選された個体を探しただけあって、購入時に少し剥がれかけていたボディのクリアを塗り直した以外は、今までほぼノントラブルだという。
「4WSが搭載されているので、高速時のコーナリングでは横にスライドするような独特な感覚が味わえて運転が楽しいです。街中でも思った以上に小回りが効くのでラクですね、車庫入れだけはちょっと気を使いますが(笑)」

インテリアにもこだわりが見られ、オーディオには真空管アンプを搭載したパナソニック製の「CQ-TX5500D」が取り付けられていたほか、リア・シェルフには懐かしのメーカーロゴが光る置き型スピーカー(こちらはダイヤトーン製)が設置されていた。

メーカー純正のオーディオが当たり前となってしまった現代となっては、こうしたサードパーティ製のオーディオでお気に入りの仕様を組んでいくのも、ネオクラシック・カーならでは楽しみのひとつと言えるだろう。
「CQ-TX5500Dは今も人気があり中古でも高かったですが、真空管の部分が夜はイルミネーションとしてオレンジ色に光って唯一無二の存在があり、とても気に入っています。オーディオはまだまだカスタムしていく予定で、この後は12連奏のCDチェンジャーを取り付けたいですね」
そう笑顔で語るカミクボさん。36年前のデートカーは、カタチを変えながら今もクルマ好きの若者を魅了し続けているようだ。
文・写真=浅石祐介(ENIGNE編集部)
(ENGINE Webオリジナル)