自動車業界にとって今大きな問題となっているのが整備士不足だ。クルマは定期的な整備が必要な工業製品で、それを怠れば重大な事故につながる可能性もある。かつてはオーナーがある程度は整備するという慣習もあったが、最近ではそうしたことも薄れがちで、整備士不足は日本のモータリゼーションにおいて非常に重要な事柄となっている。
青いインプレッサをそのエンジンと共に展示へ
各自動車メーカーもそうした流れには敏感で、自動車整備学校への支援や自動車整備学校の魅力度アップに真剣に取り組んでいる。そうしたなか群馬県前橋市のスバル・ディーラー、富士スバルは同県伊勢崎市の群馬自動車大学校とともに「スバル・インプレッサWRX STI(GC8)」のレストア・プロジェクトを開始すると発表した。

GC8は世界ラリー選手権(WRC)において大活躍したマシンで、今もなお多くのファンがいる名車。その人気度は年を追うごとに増している。
スバルは1980年に「レオーネ」でWRCに参戦。その後「レガシィ」が登場するとマシンは入れ替わる。1993年ついにコリン・マクレーのドライブの「レガシィ」がWRCで優勝。スバルにとって初のWRC優勝となった。この「レオーネ」から「レガシィ」へのモデルチェンジではエンジンも大幅に変更されている。それこそが“EJ型”と呼ばれるエンジンだ。

初代「レガシィ」で採用された“EJ型”はその後「インプレッサ」にも搭載。「レガシィ」での優勝1回を含み計47回の優勝と、3回のマニュファクチャラーズ&ドライバーズ・チャンピオンを獲得した名エンジンである。そんな名機EJエンジンであるが、2019年には生産が終了した。じつは生産終了後もスーパーGTのGT300クラスに参戦している「BRZ」はEJ型を搭載していたが、それも昨年2025年をもって終了となった。

今回のノスタルジック2デイズでは20万km以上を走行した初代「インプレッサ」が展示された。それも単にクルマとして紹介されたではなく、オーバーホールされたこのクルマのEJ20のエンジン・パーツとともに展示。

なぜオーバーホールをしたか? といえばリアル・ワールドで長期間、長距離使われたエンジンの状態を調査することで、弱っている部分などを調べることが目的だったからだ。

スバルはスバル・ヘリテージ・サービスというプログラムがスタート。現在はGC/GF系のインプレッサについて、供給可能なパーツの紹介とその発注をサポートするウェブ・ページを公開中。GC/GF系パーツで供給可能なものにはウェザーストリップなどの他車からの流用が難しいゴム・パーツも含まれている。

また、現在スバル車を所有しているユーザーがどんなパーツで困っているかを調査するリクエスト・フォームも用意されている。リクエストをすれば必ずかなうものではないが、反応が多くなれば何らかの対策やパーツの再販なども期待できる。ユーザーの気持ちがメーカーを動かすかもしれない貴重な試みだけに、多くの声が集まることを期待したい。

ディーラー&自動車大学校による車両本体のレストア、そしてメーカーも動き出した補修用パーツへの取り組み。この動きが止まらずに前に進むのはユーザーたちの熱気と声に他ならない。スバリストは、声を上げ続けてほしい。
文と写真=諸星陽一
(ENGINE Webオリジナル)