2026.04.04

LIFESTYLE

大人の街、人形町に潜む隠れ家「冨田」 カウンターで静かに料理とお酒を味わう夜

料理は10品3万250円のコースより。出汁で炊いた土鍋ご飯の上に、香ばしく揚げた白魚の天ぷらと三つ葉を乗せた「白魚の天ぷらご飯」(2人分)。お代わりの際は熱い出汁と海苔をかけて、出汁茶漬けのように提供される。天ぷらの素材は季節によって替わる。

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人形町交差点の裏手に誕生したグルメスポットには、過剰な演出を嫌い、料理の完成度そのものを愉しむ美食家好みの空気が漂う。ここで注目の1軒をご紹介しよう。

モダンでも浮つかないバランス感

1月に暖簾を掲げた「冨田」は、カウンター6席のみの日本料理店だ。

店主の冨田雄亮氏は、表参道の「太月」や麻布十番「御料理 辻」で研鑽を積んだ、名店出身の料理人。日本料理の基本を崩さず、食材の組み合わせで行き過ぎない程度に自身の色を添えるのが信条だ。



「のれそれの雲丹和え」。雲丹と卵黄を和えたのれそれの上に土佐酢ジュレをかけ、キャビアと花穂をのせた箸休め。コクと酸味、塩味のバランスが見事で、口当たりのよい一品。

たとえば春のコースに登場する箸休めでは、のれそれのほのかな甘みと雲丹のコク、土佐酢ジュレの酸味、キャビアの塩味が絶妙な均衡を描く。

締めの土鍋ご飯に季節の天ぷらをのせ、お代わりの際に出汁を注ぎ海苔をかけて供する趣向には、客をもてなす余裕と遊び心が感じられる。

お酒は王道のフランスワインと吟味された日本酒が揃い、接待にも心強い。

今、静かな懐の深さで新しい才能を受け止め、美食の現在地を更新しつつある人形町。流行に敏感でありながらも浮つかないこの街の気質は、大人の美食家にとって実に心地よい。

文=小松めぐみ(フード・ライター) 写真=田村浩章



■冨田

人形町の交差点から徒歩2分のビルに2025年1月オープン。店内はカウンター6席。ランチは7品1万3310円~、ディナーは8品1万8150円~。東京都中央区日本橋人形町2-6-11 五十番ビル 2F Tel.03-3527-3662 ※価格は税・サービス料込みです。

(ENGINE2026年4月号)
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