ゴルフGTI生誕50周年のメモリアルモデルはとにかく速い! 真のゴルフGTI乗りなら是非とも欲しい一台だが……。モータージャーナリストの山田弘樹がリポートする。
主題はシャシーのアップデート
スペインはバルセロナの「パルクモーター・カステリョリ」で、ゴルフGTI エディション50の国際試乗会が開催された。これはその名の通りゴルフGTIの生誕50周年を祝う限定車であり、昨年4月にフォルクスワーゲンのテストドライバーであるベンジャミン・ロイヒターによって、ニュルブルクリンクを7分46秒13でラップした歴代最速のフォルクスワーゲン車だ。

そんなエディション50の速さを紡ぎ出す要素は、軽さとシャシー性能である。エンジンは、熟成を重ねた2リッター直列4気筒「EA888 evo4」。その出力は歴代GTIで最もパワフルな325ps/420Nmをマークするが、4WDとなるゴルフR 20Years(333ps/420Nm)と較べれば出力がやや抑えられている。
つまり主題はシャシーのアップデートで、まずフロント・ロワアームのボディ側2箇所と、リア・ダンパートップのブッシュ硬度が高められた。さらにリアのハブキャリアは、なんとリンクを両側から支持するタイプに変更された。またその足下には、専用となる19インチのセミスリック「ポテンザレース」を履かせる念の入れようだ。
日本導入をなんとしても願いたい
となればさぞかしハードコアな乗り心地を想像するはずだが、エディション50は抜群に快適だ。サスペンションの支持剛性を上げたことでバネレートを高め過ぎず、電子制御ダンパーである「DCC(ダイナミック・シャシー・コントロール)」の減衰力特性をしなやかにできたのだろう。街中はもちろん高速道路のジョイントでさえ、バネ下で巧みにいなしてしまうのである。比較すれば日本が誇るシビック・タイプRや、GRヤリスとは、段違いの快適性だと言える。

にもかかわらず、走りは抜群にスポーティだ。当日はゴルフR ヴァリアントの先導でコースを走った。その立ち上がりこそ4WDのトラクションに引き離されたが、エディション50はブレーキングからターンインに掛けて、その差を大きく詰めた。秘訣はその軽さで、特に今回試乗したハイパフォーマンスパッケージ仕様は、鍛造ホイールとアクラポビッチ製チタンマフラーの装着によって、車重が標準車よりも25kg軽くなっている。
またハイパフォーマンスパッケージ仕様はフロントキャンバーが-2度まで付けられており(標準車は-1.33度)、しなやかな足周りでも強烈なコーナリングが可能だ。積極的に縁石をまたぎながら、立ち上がりではガッツリ踏んでいけるのだ。
だが、気掛かりなのは、このゴルフGTI エディション50の日本導入予定が現時点では未定なこと。とはいえ、もし導入がなされたら、恐らく1000万円級のゴルフGTIになることも付け加えておこう。個人的な印象としてエディション50は、間違いなく歴代最速にして最高のクオリティ。真のゴルフGTI乗りに、手にいれて欲しい一台である。
■フォルクワーゲン・ゴルフGTIエディション50
駆動方式 フロント横置きエンジン+前輪駆動
全長×全幅×全高 4292×1789×1463mm
ホイールベース 2629mm
車両重量 1470kg
エンジン形式 直列4気筒DOHC16V+ターボ
総排気量 1984cc
最高出力(モーター) 325ps
最大トルク(モーター) 420Nm
トランスミッション 7段DCT
サスペンション (前) マクファーソンストラット/コイル
サスペンション (後) マルチリンク/コイル
ブレーキ(前後) ベンチレーテッドディスク
タイヤ(前後) 235/35 R19/235/35 R19
文=山田弘樹 写真=VOLKSWAGEN AG
(ENGINE2026年4月号)