毎年恒例「エンジン・ガイシャ大試乗会」、2026年もやります! 大磯プリンスホテルの大駐車場に総勢33台の輸入車を一挙に集め、33人のモータージャーナリストがまる一日かけてイッキ乗り! 2026年上半期イチオシの各ニューモデルにそれぞれ5人のジャーナリストが試乗した、計165本のインプレッションを順次公開。
今回はシボレー・コルベット3LTクーペに試乗した河村康彦さん、大谷達也さん、清水草一さんのリポートをお送りする。
>>>田中誠司さん、吉田由美さんのリポートはこちら<<<
「まずは乗ってみて!」河村康彦
「コルベットってこんなに良いクルマだったんですね!」同乗したEPC会員のYM氏が発した声に込められた思いは、このモデルに初めて触れた際の自身の思いと同じ。そう、最新コルベットの仕上がりは少なからずの人が抱くであろうアメリカ車に対する「ちょっと鈍重でエモーショナルなテイストには欠ける」といったステレオタイプの先入観を、一瞬で吹き飛ばすに足るものだ。

見事にナーバスな動きを回避しながら自在で軽快なハンドリングの獲得に成功した歴代で初となるミドシップへのトライ。そんなレイアウトゆえ実現された500psを超えるパワーを不安なく路面に伝える卓越したトラクション能力。サイドウォールの硬いランフラット・タイヤを履く弱点を意識させないフラット感に富んだ乗り味。OHVが古いなんて嘘だ! と思わせる伸びやかなエンジンフィール等々……。
とにもかくにも「まずは乗ってみて!」と言いたくなるのがこのモデルの出来栄え。最新のコルベットは、実は“アメリカの良いとこどり”の一台なのだ。
「往年のアメリカン・テイスト」大谷達也
C8とも呼ばれる8代目コルベットがミドシップ化されたことは皆さんもご存じのとおり。「それじゃあヨーロッパ製スーパースポーツと変わり映えしないじゃん」という懸念を抱くアメ車ファンも少なくなかったでしょうが、ここでシボレーは「だったらC7以上にアメリカンなコルベットをつくって見せようじゃないの!」と意気込んだのか、ベーシック・グレードのC8はC7を上回るくらいゆったりとした乗り心地で、往年のアメリカン・テイストを満喫できます。

それでいながらワインディング・ロードでは正確なハンドリングを披露してミドシップらしい素性のよさを見せつけてくれるのですから、言い古された表現ながら「ジキル博士とハイド氏」のたとえがピッタリです。
とはいえ、C8の最良の一面はアメリカ大陸横断のようなロング・ツーリングでこそ発揮されるはず。ワインディング・ロードで見せるシャープな走りを敢えてひけらかすことなく、C8でロング・ツーリングに出かけるなんて、まさに人生のご褒美そのものじゃありませんか!
「OHVサウンドにしみじみ」清水草一
コルベットが現在のC8にモデルチェンジしてから、早くも6年の歳月が流れた。光陰矢の如しだが、C8のすばらしさは、微塵も色褪せていない。
C7までのFRコルベットは愛すべきじゃじゃ馬であり、言うまでもなくすばらしかった。でもやっぱり、後輪が空転しすぎるのも剣呑。トラクション不足で、アメリカンV8のパフォーマンスを味わい尽くせないという恨みもあった(腕のせいか?)。

その点、ミドシップのC8は、遠慮なく床までアクセルを踏み込める。その時の「ドルルルルルルルル~!」という雄叫びは、アメリカン・マッスルカーでしか味わえない絶味だ。アクセルを踏み込んで一拍置いてから高まる、コブシの利きまくったサウンドを聴いていると、「ああ、この世からOHVが無くならなくて、本当によかった」としみじみ思う。
ドアミラーに目をやれば、現代のクルマとして珍味となった、超発散系のテールが聳える。これは現代アメリカの機動戦士ガンダムだ!

■シボレー・コルベット3LTクーペミドシップ後輪駆動に生まれ変わった現行型コルベットは、最高出力502ps/6450rpm、最大トルク637Nm/5150rpmの6.2リッター V型8気筒OHVに8段DCTを組み合わせる。全長×全幅×全高=4630mm×1940mm×1225mm。ホイールベース=2725mm。車重=1670kg。試乗車は装備が充実する「3LT」で価格は1695万円。
写真=望月浩彦/茂呂幸正/神村聖/小林俊樹
(ENGINE2026年4月号)