2026.03.21

CARS

ハンドルを握った者だけが味わえる背徳の世界!|小沢コージら2人のモータージャーナリストが至高のV12を積むアストンマーティン「ヴァンキッシュ・ヴォランテ」に試乗

小沢コージさん、関耕一郎さんが試乗した「アストンマーティン・ヴァンキッシュ・ヴォランテ」

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毎年恒例「エンジン・ガイシャ大試乗会」、2026年もやります! 大磯プリンスホテルの大駐車場に総勢33台の輸入車を一挙に集め、33人のモータージャーナリストがまる一日かけてイッキ乗り! 2026年上半期イチオシの各ニューモデルにそれぞれ5人のジャーナリストが試乗した、計165本のインプレッションを順次公開。

獰猛な5.2リッターV12気筒エンジンのアストンマーティン・ヴァンキッシュ・ヴォランテには、小沢コージさん、関耕一郎さんが試乗。スポーティと超快適の間にある大人の味わいとは?

>>>菰田潔さん、松田秀士さん、渡辺敏史さんのリポートはこちら<<<


「V12に宿る背徳と至高」小沢コージ

いまどきV12気筒を作っている自動車メーカーがどれくらいあるんだろうか? それもこれだけエンジン中心にクルマ作りをする希有なメーカーが。

アストンマーティン・ヴァンキッシュ・ヴォランテ。コイツの凄さは時代錯誤なばかりのスペックと演出方法にある。5.2リッターのV12ツインターボってだけでも凄いのに、ピークパワー&トルクは835ps&1000Nm!“センニュートン”ってアナタ、大型トラックじゃないんだから。かつて天才リオネル・メッシを中心に、フォーメーションを組み上げたFCバルセロナの如く、ヴァンキッシュの中心は間違いなくこのV12気筒エンジンだ。



サメの如き上半身モリモリのFRフォルムや、常に乾いたサウンドを発するマフラーなど、V12エンジン至上主義の造り。そして走りはフェラーリほど硬くシャープではなく、ロールス・ロイスほど柔らかくもない。スポーティと超快適の間であり、V12気筒を最も味わい尽くせる演出バランスを保っているのだ。こんな気持ちいいクルマそうそうないってば。

「まるで3段ロケット」関耕一郎

最高出力835psは運転したクルマの自己記録更新ながら、走り出しはいたってジェントル。右足に力を込めれば強烈なダッシュを決めるけど、予測の範囲内。ところが、不意に踏み込んだ瞬間、頭をヘッドレストが打つ。まるで3段ロケット。本能が叫ぶ、コイツで平地はヤバいと。2段目に着火するか否かにセーブして、長い急勾配の峠道を目指す。そびえる壁のような直線ならマシかと全開で突入するが、離陸どころか発射されて大気圏を突破しそうな勢いに恐怖すら覚える。



最初のコーナー手前でスロットルを戻し、手近な駐車スペースで小休止。

このクルマがヴォランテだったことを思い出し、屋根を開け、山の空気を胸いっぱいに吸い込んで、来た道を戻る。ご褒美のはずのドライブがお仕置きにならぬよう、スロットル控えめで。紳士的に走れば、ワインディングのダウンヒルを優雅に駆け抜ける。

ジキルとハイドと超人ハルクが同居するクルマ、それをキルケーのごとく自在に操るにはまだまだ未熟なドライバーをたしなめるように。



■アストンマーティン・ヴァンキッシュ・ヴォランテ

全長×全幅×全高=4850×2044×1298mm。ホイールベース=2885mm。車重=1910kg。アストンマーティンのフラッグシップ・オープンモデルであり、専用設計のカーボンファイバー製ボディを採用。5.2リッター V12ツインターボ・エンジンは最高出力835ps、最大トルク1000Nmを誇る。車両価格=5720万円。

写真=神村聖/小林俊樹/望月浩彦

(ENGINE2026年4月号)

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