毎年恒例「エンジン・ガイシャ大試乗会」、2026年もやります! 大磯プリンスホテルの大駐車場に総勢33台の輸入車を一挙に集め、33人のモータージャーナリストがまる一日かけてイッキ乗り! 2026年上半期イチオシの各ニューモデルにそれぞれ5人のジャーナリストが試乗した、計165本のインプレッションを順次公開。
今回はDS 4リヴォリE-テンスに試乗した小沢コージさん、九島辰也さん、田中誠司さんのリポートをお送りする。
>>>藤野太一さん、渡辺敏史さんのリポートはこちら<<<
「走る異文化体験」小沢コージ
「DS、知りませんでした。でも、ずいぶん乗り心地いいんですね」。乗り合わせたMTさんの言葉だ。2014年に始まった新フレンチ・ラグジュアリー・ブランドのDSオートモビル。DS 4はその中核たる全長4.4m強のSUVテイストのCセグハッチで、普通に考えるとVWゴルフやアウディA3、メルセデスAクラスの競合となる。だが、実車はまるで違うオーラを放っている。

全高1.5m弱と低めなこともあるが優美で何者にも似てないフォルムはもはやアートだ。インテリアも凝ったスティッチ入りシートや手書き文字入力が可能なDSスマートタッチ、さらに高級時計のような「クル・ド・パリ」文様が刻まれたスイッチ類はこれぞ走るエルメス。
しかしやはり白眉は初代DSを思わせる浮遊感ある乗り心地だろう。元々のしなやかな足まわりに加え、カメラが路面を監視し「凹凸があるぞ」と判断したら瞬間的にダンパーを緩めるDSアクティブ・スキャンが凄い。路面の荒れをアイロン掛けしながら走るような感覚は、まさに走る異文化体験なのだ。
「特有の快適な乗り心地は健在」九島辰也
戦前まであったフランスの高級車を今に甦らせたのがDSオートモビル。彼らの考えるラグジュアリーでエレガントな世界を表現するブランドだ。なので、DS4をご覧いただければわかるように、そこには彼ら流の世界が広がる。

ダイヤモンドをイメージした菱形のデザインを細部に取り入れているのはそれを表現したもので、ドイツ車や英国車、日本車にはない独特な個性を感じさせる。
とはいえ、プラットフォームやパワートレインなどのハードウェアはステランティス・グループ内の他ブランドと共有。シトロエン、プジョー、それとフィアットあたりだ。

特に今回のEテンスのようなプラグイン・ハイブリッド・システムやBEV用プラットフォームは効率よく他ブランドとシェア。それによりコストを下げプライスを低くできるよう努力した。
そんな1.6リッター直4+モーターは完成度が高く、力強さとモーターを多用した高効率の走りを見せる。街中は当然のこと高速道路での中間加速は期待していい。しかも彼ら特有の快適な乗り心地は健在である。
「山坂でも気持ちいい」田中誠司
プラグイン・ハイブリッドの最新技術を備えているはずなのに、このクルマのパワートレインはどこかほのぼのと懐かしい。その加速感とサウンドは、たとえばシトロエンBXのような、昔の少し上級なコンパクト・カーを思い出させる。

スタイリングや内装はモダンで先鋭的なのに、走り出した瞬間の温度感が意外にレトロで、そのギャップが面白い。
ハイブリッド化による低燃費という美点は明確だが、印象に残るのは山坂での気持ちよさである。箱根ターンパイクの登りでも力強く、すっと速度を乗せていく。

フットワークに目線を移せば、身のこなしは上質でボディもしっかりしており、FFを作り慣れたフランス車らしい、前輪に荷重を預けたときの一体感と安心感がある。プジョー306あたりに馴染みのある世代なら、コーナーでついペースを上げてしまうはずだ。
ボディ・サイズのわりに室内が広いとは感じられなかったが、造形と走りの個性を優先したクルマとして見れば、この割り切りもまたDSらしい。

■DS 4リヴォリE-テンスDSの中核となるのがDS 4。MHEVのフェイスリフト版N°4上陸も予告されているが、試乗車は最高出力/最大トルクが225ps/360Nmの1.6リッター 4気筒ターボ+モーターを搭載し8段ATを介し前輪を駆動するPHEV。全長×全幅×全高は4415×1830×1495mm。軸距は2680mm。車重は1470kg。価格は697万6000円。
写真=小林俊樹/神村聖/望月浩彦/茂呂幸正
(ENGINE2026年4月号)