毎年恒例「エンジン・ガイシャ大試乗会」、2026年もやります! 大磯プリンスホテルの大駐車場に総勢33台の輸入車を一挙に集め、33人のモータージャーナリストがまる一日かけてイッキ乗り! 2026年上半期イチオシの各ニューモデルにそれぞれ5人のジャーナリストが試乗した、計165本のインプレッションを順次公開。
今回はマクラーレン・アルトゥーラ・スパイダーに試乗した清水和夫さん、森口将之さん、今尾直樹さんのリポートをお送りする。
>>>桐畑恒治さん、高平高輝さんのリポートはこちら<<<
「クールなハンター」清水和夫
大幅にアップデートしたマクラーレン・アルトゥーラ。派手さはないが、知的でクールなスポーツカーだ。しかし、その運動能力は非凡なパフォーマンスを持つ。
ところでマクラーレンはエンジンを自前で開発していない。ベースとなるエンジンはリカルド社に開発を任せるが、そこがマクラーレンの個性なのだ。エンジン開発は自動車メーカーにとって心臓部であるが、マクラーレンはむしろ運動性能に関わるシャシー性能に強い拘りを持っている。エンジンは加速だけに関与するが、シャシーは加速・減速・旋回のすべての運動を支配するからだ。

最新モデルは驚くほど乗り心地とダイナミクスが両立する。シャシー性能を語る時、「硬いか、柔らかいか」という昔からの言い伝えはもはや過去のこと。フラットライドでも乗り心地が快適と感じさせるアルトゥーラに、マクラーレンの個性を感じた。動物で喩えるなら、このアルトゥーラはユキヒョウ。「山の幽霊」と呼ばれるほど、クールなハンターなのだ。
「走りの求道者」森口将之
ホワイトボディにブラック&ティールのインテリアというコーディネートは、最初は大胆に感じるけれど、派手すぎないし品もある。イタリアンでもゲルマンでもない、英国ならではの大人の遊びに引き込まれる。
外側に張り出しつつ跳ね上がるディヘドラルドアは、サイドシルまで大きく開くので乗り降りしやすいし、必要な機能だけをミニマムにまとめたコクピットは分かりやすい。機能を重視した設計思想にも感心する。

走り出してまず感じるのは、カーボンファイバー・モノコックならではの強靭な剛性。屋根がないのにみしりとも言わず、足まわりはしなやかに動く。
120度バンクのV6は、バッテリーともども低重心化に貢献していることが伝わってくるし、モーターとのコンビはシーンを問わずに必要な力を取り出せる。おかげでミドシップRWDでも自在に操れそうという気にさせる。
インポーターによればイタリアン・ブランドより走りをストイックに追求するオーナーが多いそうだが納得。走りの求道者っぽい佇まいが好ましい。
「すっ飛ぶような加速」今尾直樹
ポルシェ996オーナーのEPC会員さんとおしゃべりしながら、モーレツな速さを味わう。カーボン・シャシーのミドに、3リッター 120°V6ツイン・ターボを搭載したPHEVのスーパーカー、魔王マクラーレン・アルトゥーラ。世界はわが手にあり! わははは。
605psのエンジンと、8段DCTに仕込まれた95psの電気モーターの連携でもって、車検証値1570kgの軽量ボディをリアの駆動力のみで、すっ飛ぶように加速させる。計器盤のない助手席は道路がすぐそこに感じるそうで、運転席よりスリリングかも……。

ターンパイクの料金所を過ぎての登り坂で全開。強烈な加速Gで気が遠くなりそうになる。
オープンゆえ、後方のV6ツインターボが生演奏でV8みたいな爆音を生で聴かせてくる。脳内に快楽物質が発生し、寒さを忘れる。こうなりゃ、いっちゃうよ。とばかりにアクセル全開。
次のコーナーが近づく。え~い、ままよ。そのまま突っ込め。悪魔の囁きがひさびさに聞こえたけれど、我慢した。ああ。生きているってすばらしい。

■マクラーレン・アルトゥーラ・スパイダー全長×全幅×全高=4539×1913×1193mm。ホイールベース=2640mm。車重=1560kg。マクラーレン初の量産ハイブリッド・オープン・スーパースポーツ。3.0リッターV6ツインターボ・エンジンに電気モーターを組み合わせ、システム最高出力は700ps/720Nmを発生し、0-100km/h加速は3.0秒をマーク。車両価格=3650万円。
写真=神村聖/望月浩彦/小林俊樹/茂呂幸正
(ENGINE2026年4月号)