毎年恒例「エンジン・ガイシャ大試乗会」、2026年もやります! 大磯プリンスホテルの大駐車場に総勢33台の輸入車を一挙に集め、33人のモータージャーナリストがまる一日かけてイッキ乗り! 2026年上半期イチオシの各ニューモデルにそれぞれ5人のジャーナリストが試乗した、計165本のインプレッションを順次公開。
今回はメルセデス・マイバッハSL 680モノグラム・シリーズに試乗した島崎七生人さん、大井貴之さん、山本シンヤさんのリポートをお送りする。
>>>竹岡圭さん、河村康彦さんのリポートはこちら<<<
「究極の贅沢ですね」島崎七生人
「究極の贅沢ですね」ということで、同乗されたEPC会員の方との意見は一致した。何しろメルセデスAMG SL63 4MATIC+をベースにマイバッハ初の2座席オープンに仕立てたのがこのクルマである。
コンビニで朝食のサンドイッチをひとつ買って試乗会場に乗り込んだ……などとは口が裂けても言えなかったが、試乗車個体の総額は3907万円(本体価格は税込みで3650万円)。いやが上にも目がいく凝った工程で作られるというMAYBACHロゴ入りボンネットは100万円と、21インチ鍛造アルミホイール(80万円)の上をいく設定。こうなるともう、アンダーステアがどうのこうの……とか、無粋なインプレを取る気力はとっくに失せ、ひとえにシート表皮に色移りの心配がないパンツを着用してきたことに安堵した。

乗った瞬間から(当方の身分は別として)身体にクルマが馴染み、4リッターのV8(585ps/800Nm)のパフォーマンスも乗り味も超なめらかのひとこと。トップを閉じた際の静粛性の高さはセダンのSクラスにも遜色なし。
「これぞマイバッハ流」大井貴之
真冬の西湘バイパスをオープンにして走っても、頭の上を冷たい風が吹き抜ける程度。ルーフは全開なのに周囲と車内が隔離されたように感じる。マイバッハ初のオープン2シーターの価格はほぼ4000万円。
プラス100万円のオプションとして設定されているエンジン・フードはカーボン製ではなく、マイバッハの二重モノグラムが描かれている。温泉旅館の浴衣と言う勿れ、これは職人の手によって描かれた、光の角度によって見え隠れする技が仕込まれている。

その中に収まる4リッターのV8ツインターボは2tの車体を約4秒で100km/hまで加速させる800Nmという強大なトルクを発揮するのだが、フルパワーを掛けたとしても乱暴さを微塵も感じさせないところが、マイバッハ流。
強めの加速ではまるでクルーザーの様にノーズを持ち上げるのだが、ワインディングに入るとロールもピッチも最小限に抑えられる。しかもそこに違和感がないところが素晴らしい。
クルマってコストを掛けるとなんでも出来ちゃうんだなぁと痛感する1台。
「無駄こそ贅沢」山本シンヤ
メルセデス・マイバッハ初となる2シーターモデル。ベースはメルセデスAMG SL63 4マチック+で、口の悪い人は「着せ替えでしょ?」と言うが、乗ると似て非なるモノだ。
エクステリアはグリル/カラーコーディネイトなどの好みは別としてメルセデス・ベンツの解りやすさとは違う独自の世界観だし、インテリアの基本デザインはSLと同じだが、トリムの材質・厚みは異なり触感は別物。どこかデジタルなのに温かみがあるという不思議な雰囲気なのだ。

585ps/800Nm を発揮するV8-4.0リッターツインターボはアクセル一踏みで獰猛な加速を見せるが、むしろ真骨頂は一般道でゆっくり走らせた時の湧き出るトルクが心地よい。
シャシーも同様でサーキットで通用する強靭な体幹を持つが、それを常用域で乗員が不快にならないような滑らかなボディ・コントロールのために活用。つまり、とびっきりの性能を“無駄”に使う“贅沢”が味わえる。ただ、プレミアム・ブランドを味わい尽くした人だけが試すことを許される“裏メニュー”のような存在だ。

■メルセデス・マイバッハSL 680モノグラム・シリーズ全長×全幅×全高=4697×1915×1358mm。ホイールベース=2700mm。車重=2050kg。メルセデス・マイバッハSLモノグラムシリーズは2024年に登場。S、GLS、EQS SUVに続くマイバッハ・シリーズ4つ目のモデルとなる。4リッター V8ターボ(585ps、800Nm)は9段ATを介し4輪を駆動する。車両価格=3650万円。
写真=望月浩彦/小林俊樹/神村聖/茂呂幸正
(ENGINE2026年4月号)