毎年恒例「エンジン・ガイシャ大試乗会」、2026年もやります! 大磯プリンスホテルの大駐車場に総勢33台の輸入車を一挙に集め、33人のモータージャーナリストがまる一日かけてイッキ乗り! 2026年上半期イチオシの各ニューモデルにそれぞれ5人のジャーナリストが試乗した、計165本のインプレッションを順次公開。
笑っちゃうほどパワフルな5.2リッターのV12気筒エンジンを搭載するアストンマーティン・ヴァンキッシュ・ヴォランテには、菰田潔さん、松田秀士さん、渡辺敏史さんが試乗。V12ツインターボの獰猛なリポートをお届けする。
>>>小沢コージさん、関耕一郎さんのリポートはこちら<<<
「音も含めてV12を楽しめる」菰田潔
アストンマーティン史上、最も速く、最もパワフルなオープントップ・シリーズの量産モデル。5.2リッターのV12気筒エンジンは835ps/1000Nm、最高速度は345km /hを誇り、音も含めてV12気筒を楽しめる。しかしこのパフォーマンス、いざというときに使えるもので普段は顔を出さない。ここがイギリスの高級車たる所以だ。
アクセル、ブレーキ、ハンドルはドライバーの操作に正確に反応するから、特別に気を使わなくてもスムースに走らせることができる。試乗日は天気も良かったためオープンのまま走行したが、EPCのK.Oさんも助手席で楽しめたようだった。

コンバーチブルのボディ剛性の弱さはまったく感じなかった。サスペンションはちょっと硬めだがメインフレームは頑強で、路面の不整でタイヤが上下動してもガタつくような音は聞こえてこない。ヴァンキッシュ・ヴォランテはオープンでもクローズでも、そしてガレージで眺めるだけでも飽きないだろう。
「やっぱり内燃機だよね」松田秀士
走り始め、少しラフなスロットル開度を右足に与えると後輪は跳ね上がるように空転した。2500rpmから既に1000Nmもの最大トルクを発生させる5.2リッターV12ツインターボエンジンの獰猛さはすぐに実感できる。
アクセルを少し緩めると8段ATは2段に入って後輪をなだめるように落ち着かせたので、すかさずフルスロットル。今度は空転しながらもワープするように強烈な加速。しかもエンジンはV12の見事な調和音で高回転へのびる。やっぱり内燃機だよね! 歴史の積み重ねを感じさせる。生き物だよエンジンは。

気温は5℃以下だが超晴天にソフト・トップは要らない。そのままターンパイクに滑り込むようにコーナリング。ロック・トゥ・ロック2.27回転というレースカーのようにタイトなステアリングに、微小舵を入れるだけで21インチのタイヤは確信のグリップ。
フロント・ミッドシップ・マウントの前後荷重バランスはアクセルワークで思い通りの挙動を生み出す。ご褒美のようなひとときだった。
「大人の行き着くところ」渡辺敏史
21世紀のフラッグシップとして登場したヴァンキッシュは、この現行型で3代目となる。マッシブとエレガンスが折り合うプロポーションは決して虚仮おどしではない。
搭載されるV型12気筒エンジンは可能な限り室内側に押し込まれ、後軸側にミッションが配されるトランスアクスル・レイアウトはFRスポーツの理想を突き詰めたものだ。

V12ツインターボ・エンジンは、835ps/1000Nmを発揮する。もちろん天候や路面状況によっては大人の自制心が求められる領域だが、3速でもむにゅりとタイヤの歪みが伝わるほどのパワーを秘め事として、分厚いトルクでゆるゆると高速をクルーズする、そんな乗り方もピタリとハマる。
ワインディングに行けば重量やホイールベースをものともしない旋回性をみせてくれるが、あくせく走り込まずともすらすらと道をトレースしているだけでも気持ちがいい。
知り尽くし味わい尽くした大人の行き着くところに、こういうクルマが待っているというのは幸せなことだと思う。

■アストンマーティン・ヴァンキッシュ・ヴォランテ全長×全幅×全高=4850×2044×1298mm。ホイールベース=2885mm。車重=1910kg。アストンマーティンのフラッグシップ・オープンモデルであり、専用設計のカーボンファイバー製ボディを採用。5.2リッター V12ツインターボ・エンジンは最高出力835ps、最大トルク1000Nmを誇る。車両価格=5720万円。
写真=神村聖/小林俊樹/望月浩彦
(ENGINE2026年4月号)