毎年恒例「エンジン・ガイシャ大試乗会」、2026年もやりました! 大磯プリンスホテルの大駐車場に総勢33台の輸入車を一挙に集め、33人のモータージャーナリストがまる一日かけてイッキ乗り! 2026年上半期イチオシの各ニューモデルにそれぞれ5人のジャーナリストが試乗した、計165本のインプレッションを順次公開。
今回はポルシェ911カレラGTSに試乗した佐野弘宗さん、高平高輝さん、藤野太一さんのリポートをお送りする。
>>>小沢コージさん、渡辺敏史さんのリポートはこちら<<<
「これぞスポーツカーのロマン」佐野弘宗
911のハイブリッドには、電動デバイスがついていないと認めてくれない国や地域の環境法規をクリアする目的もあるだろうし、その性能の割に燃費が良好なのも事実である。ただ、911のGTSに乗っているときは、そうした環境云々の話は、二の次、三の次になってしまう。
911のハイブリッドはとにかく速い。発進直後からズドーンと蹴り上げられたかと思うと、エンジン回転の上昇とともにさらにパンチが積み増されて、7500rpmという高みに向けて、最後の最後まで伸びる!

911のハイブリッドは、駆動アシストと回生をするモーターを変速機に組み込むだけでなく、ターボチャージャーにもモーターがつく。ターボ内蔵のモーターは低回転域で素早く過給を立ち上げるだけでなく余った熱を電気に変換する役割も担う。つまり熱エネルギー回生。これは2015~17年にル・マンを連覇した919ハイブリッドにも積まれていた。
最高峰レーシングカーの技術が、ご褒美とばかりに公道で味わえる。これぞスポーツカーのロマンだ。
「濃密な一体感」高平高輝
高密度なマイルド・ハイブリッド・システムに電動ターボを採用してまで「我々は他とは違います」と主張するポルシェのプライドが詰め込まれた「GTS」は、興味津々で待ち構えていたクルマ好きの想像以上に“ハイブリッド臭”を感じさせない。

ボディ・スタイルもその寸法も他の911と事実上変わらず、知らない人には区別がつかない。MHEVには似つかわしくないほどの強力なモーター(最高出力56ps)とバッテリーを搭載しながらも、従来型GTSからの重量増はわずか50kgに抑えられているいっぽう、新開発の3.6リッターターボ(Eターボ)と合わせたシステム・トータルでは541psと610Nmのスペックを誇る。
0-100km /h加速は3.0秒、最高速は312km /hという。要するに911ターボを除いて、あのGT3 RSをも上回る最速の911である。実際スタートの瞬間から全域できわめて強力、すべてのレスポンスが瞬時にダイレクトに返って来る濃密な一体感が特徴だ。うるさいポルシェファンにも「お前もか」とは絶対に言わせない意地の塊。
「911ファンが増えた」藤野太一
助手席に座るEPC会員のHMさんはかつて空冷の911を運転して以来、これまで新しい911に触れたことがなかったと話す。新しくなった992型後期のGTSは、911として初めてハイブリッドになったこと。それでも車両重量は1630kgに収まっていること。いまとなってはGT3よりもパワーがあって、0-100km /h加速も速いこと。それでいて乗り心地も快適で、誰でも運転できる懐が深いモデルであること。なんてことをつらつらと解説しながら箱根ターンパイクへと向かった。

せっかくの機会なので少しアクセル・ペダルを踏んでみたところ、HMさんの表情が一変した。「4輪が路面を捉えているのが伝わってきますね。これまで抱いていた911へのイメージがだいぶ変わりました」と呟いた。もしかすると道中の西湘バイパスでは、わたくしの説明の拙さゆえ新しい911の魅力がうまく伝わっていなかったかもしれない。
後日、SNSを介して「ポルシェの良さが身にしみました」というメッセージが届いた。どうやらまたひとり911ファンが増えたようだ。
■ポルシェ911カレラGTS歴代911で初めて電動化を果たした992.2型の911カレラGTS。リアに搭載する3.6リッターボクサー6ターボは単体で485ps/570Nmを発生し、「T-ハイブリッド」のモーターが56ps/150Nmを加勢する。全長×全幅×全高=4555×1870×1295mm。ホイールベース=2450mm。車両重量=1630kg。車両価格=2379万円。
写真=神村聖/望月浩彦/小林俊樹/茂呂幸正
(ENGINE2026年4月号)