アルファ・ロメオが、4輪駆動車の製造を開始してから2026年で75年になる。今や欧州市場で全モデルにラインナップされている“Q4”というグレードは、グリップの厳しいコンディションでもスポーティさやトラクションを最大化し、ブランドのエッセンスである精緻な運動性を保つシステムだとされているが、そのルーツは趣の異なるものだった。
「156クロスワゴン」……なんて憶えていますか?
先ごろ、イタリア国家憲兵隊であるカラビニエリとの協力関係も75周年を迎えたことをアナウンスしたアルファ・ロメオ。


1920年代には4WDレイアウトを試作しているが、初の量産4WD車は、カラビニエリにも供給された1951年のオフロード車「1900Mマッタ」だ。


その後、1980年代にはスポーティな4WDが登場する。1984年の「33 4×4」だ。まずは「ジャルディネッタ」と呼ばれるスポーツワゴンに設定され、続いてセダンにも採用されたこのシステムは、電磁カップリングを用いる画期的なものだった。

1991年には、コンセプト・モデルの「プロテオ」にビスカス・カップリングを用いたシステムを搭載し、これは「33パーマネント4」として市販化。


翌年には呼称を“Q4”と変更し、「33」や「155」、「164」に導入される。中でも「155 Q4」をベースとしたレーシング・カーは、1992年のイタリア・スーパーツーリズモ選手権と、1993年のDTMを制した。
「33」では、もっともハイ・パフォーマンスなグレードに与えられていた“Q4”システムだが、後の「156」ではクロスオーバー・スタイルのワゴンである「156クロスワゴン」に搭載。その次の世代では「159」や「ブレラ」に加え、「スパイダー」にも初の4WD仕様が登場した。


現在は、スポーティなDNAを失うことなく、電動化との融合も実現。「ジュニア」と「トナーレ」のハイブリッドには、フロントをモーターアシスト付きのエンジン、リアを独立したモーターで駆動する、前後アクスルの機械的接続がないシステムを採用。素早く把握しやすいトルク分配や、イナーシャと重量の軽減を可能にした。


いっぽう「ジュリア」と「ステルヴィオ」は伝統的なレイアウトだが、多版クラッチ機構のアクティブ・トランスファー・ケース(ATC)を使用。軽量・コンパクトに仕立てたこのシステムは、通常時は後輪駆動で、必要に応じて前輪へも駆動力を連続的に可変分配する。
2025年にはグローバル販売の26%が“Q4”仕様で「トナーレ」は28%、「ジュニア」は6%にとどまっているが「ステルヴィオ」は90%、「ジュリア」でも52%を占めている。いずれの方式でも、追求するのは冒頭で述べたように、スポーティさを犠牲にしないトラクション性能。

「ジュリア」と「ステルヴィオ」の“クアドリフォリオ”の受注が欧州で再開され、2027年まで生産される見込みだが、その後のアルファにも、4WDの助けを必要とするようなハイ・パフォーマンス・モデルが用意されることを望んでやまない。
文=関 耕一郎
(ENGINE Webオリジナル)