2026.04.05

WATCHES

時計事業を強化するポルシェデザイン【本場スイスに製造拠点を新設!】

ポルシェはもちろんだが、ポルシェデザインの時計に憧れたひとも多かったはず!

全ての画像を見る
ポルシェデザインが、スイス・グレンヘンに新たな時計工場を開設。近年、活況な高級腕時計の分野へ、長期的に関わっていくことを表明した。

浅からぬ縁のある工場をリニューアル!

やはり気になるのは実車のポルシェのインテリアにもぴったりのクロノグラフか?

2024年春に獲得した歴史的な建物を1年半で近代化し、ポルシェデザイン初となる常設の営業拠点へと転換。これまで、同じスイス国内のジュラ山麓にあるソロトゥルン近郊に構えていた工房が、スイスでも屈指の時計産業が盛んな地域へ移転した。



これにより、専門性の高いサプライヤーや優れた技術者へのアクセスも容易になり、機械式腕時計の開発と製造に最適な環境を手に入れた。

1955年に建設されたこの建物が選ばれたのは、戦略的な好適地にあるだけでなく、ポルシェデザインとの浅からぬ縁があったことも理由だ。1995年には、ポルシェ・デザイン創業者のF.A.ポルシェとその息子が関わる会社が取得。かつて傘下にあった時計ブランドのエテルナがここに本拠地を構え、1998〜2014年にはポルシェデザインの腕時計を製造していた。



ポルシェデザインの腕時計といえば、スポーツカーに着想を得たデザインが特徴だが、親会社のポルシェとしては単に自社の時計工房を所有する自動車ブランド、という枠を超え、時計事業を強化していくことを企図。その柱のひとつがカスタマイズで、クルマのように顧客の好みに応じた仕様決めができる態勢作りも、新拠点設立の目的だ。



のべ床面積3600平方メートルのエリア内には、最先端の腕時計製作ステーションを10台配置。微細なホコリや表面の不備も逃さず見つけられるよう、常に陽の光が差すような状態を作り出す調整式LED照明が、それぞれに設置されている。

ISO7レベルのクリーン・ルームに、ISO5レベルの時計製作ベンチを配した空間は、1時間に5度の換気が可能で、湿度を40〜50%に保つ空調を完備。入室の際はエアロックを通り、専用の防護服を着用する。

生産エリアは、ポルシェの車両工場の原則が反映され、移動距離が短く、効率的で時間に正確なロジスティクスを構築。ロジスティクス・エリアとクリーン・ルームの間は、重力作動式コンベアで結ばれ、余計な中継点を挟まず物品のやりとりができる。

最新の生産拠点らしく、サステナビリティにも配慮。屋根には211のソーラー・パネルを設置し、ピーク時には施設で必要な電力の62%に相当する134kWを発電する。冷暖房は高性能のヒートポンプ式で、換気システムには排熱回収機能も備わる。冷水のみとした水道も、エネルギーの無駄を省くための設定だ。



1階にはショールームを併設し、フィッティング・ラウンジと銘打ったカスタマイズの相談エリアや、1972年から現在に至る同社の腕時計の歴史をたどる展示コーナーも設営。注文から生産、納品までを集約した、初の施設となっている。



定番ブランドをはじめ、価格高騰が続く高級腕時計の市場で、存在感を高めていくための準備を着々と進めるポルシェデザイン。



生産拠点の拡充で供給体制が強化されることも期待され、ポルシェ・オーナーのみならず、クルマは買えずとも時計くらいはというユーザーも、よりアクセスしやすいウォッチ・ブランドとなりそうだ。

文=関 耕一郎 写真=ポルシェ 編集=上田純一郎

(ENGINE Webオリジナル)
タグ:

advertisement



RELATED

advertisement