2026.04.11

CARS

【599万円〜】プジョーのフラッグシップ、新型「5008」に乗る|7人乗りSUVであることを感じさせないほどの自在感に脱帽

2026年頭のオートサロンで披露された、現在のプジョーにおけるフラッグシップ・モデルに相当する7人乗りSUVの5008がいよいよ路上へ。ENGINE編集部のウエダが、さっそくロング・ドライブに連れ出して、その実力を検証してみた。

新世代の旗艦にふさわしい

薄暗い地下駐車場には、上陸したてのまっさらなプジョー5008が弟分の3008と並んでいた。



それにしても、なんとも主張の強い内外装デザインだ。特に3008と共通のマスクの造形は、はっきり好みが分かれるアグレッシブかつオリジナリティ溢れるもの。グリルを設けずバンパーそのものに細かく不規則にドットを刻み込んでいる。それが左右3本ずつのLEDライトと絶妙にマッチしている。

いっぽう5008の横から後方の造形は逆に端正というか、すごくまとまりがある。隣の3008に対して欧州値で全高は53mm高く、全長は226mm伸びたが、うち162mmはホイールベース分で、残りはリアのオーバーハング。つまり前半部を共有し後ろ半分で作り分けている。3列7席のためルーフ・ラインは後ろまで高いまま伸びているが、先代同様Aピラーから色違いのアクセントの太いモールを設け、車体後半の厚みを視覚的にうまく薄めている。

もてなし感は十分

3列の席に順に座ってみると、着座位置はぐっと3008より高くしっかり座れる。ややガテン系な商用フランス車たちのような実直なものではなく、もてなし感も十分ある。3列目へのアクセスは2列目座面と背面が一体で持ち上がるし、2、3列目の背面を倒し平らにするのも簡単。何かとかさばるトノカバーも床下に収まる。日本車のミニバンのような緻密さはないけど、隙もない。



ぐるぐると周りながら地上へと続く短いエントランスを走っただけで、いいぞ、いいぞ、とすぐに口元が緩んできた。身軽なのだ。

新型5008はステラ・ミディアムという重量級の電池を積むBEVにも対応する新世代のシャシーを用いている。組み合わされる日本仕様のパワーユニットは、1.2リッター直列3気筒ターボ+モーターのみ。欧州はPHEVもあるが、我が国ではシステム出力145馬力のMHEVだけだ。これが3008よりさらに日本仕様値で120kg重い1740kgの車体に対して不足がないのかどうなのか。正直そこが一番の興味だったけれど、驚くほど自在感がある!



優れた車台と軽く効率のいい心臓部が、これほどいい結果をもたらすとは思わなかった。でかいボディに小排気量かつマニュアル変速機という組み合わせは、往年の仏車のお約束だったけど、この5008も期待を上回る機敏さの持ち主である。

一般道に出て速度を上げれば、さらにうれしい驚きが待っている。こんなに小さなステアリング・ホイールとは思えないくらい情報量が濃密で操縦感覚がいい。反応は穏やかでロールは大きめだけど、傾いてからも落ち着きを保っていて、ぐーっと粘るような接地感覚もいい。ハイブリッドという割にはモーターの介入は思ったより控えめだけど、ここは燃費よりも明確にドライバビリティの良さを狙っているはず。さらに俊敏さを欲するなら、ドライブ・モードでスポーツを選び、インパネのシフト・スイッチのMを押してパドル・シフトを操る喜びも残されている。回してもサウンド自体は心躍る、とまではいえないけど、力感と反応はしっかり増して楽しい。

巨大で浮いているように見える液晶、小径ステアリング、左右非対称コンソールなど未来感溢れる室内。

ありがたいことに試乗に与えられた時間は丸々二日間もあった。ただし愛知への往復も含まれていたけど。僕は嬉々としてカメラマンと機材を満載し、あえて東名や新東名でなく中央道経由でとにかく運転し続けた。是が非でもそうしたかった。路面は荒れ、アンジュレーションがきつく、くねくねの道を行く5008は楽しくて止まりたくなかった。高速巡航時の静粛性がかなり高いこともあり疲労はとても少なく、復路は渋滞を避け、諏訪経由で142号線を駆けまわり佐久へ抜け関越道へ逃げ、結局たっぷり900km走った。それでも走り足らず、独りでこっそり慣れた峠へおかわりした。結局二日で1000km走って積算燃費計は16.4km/リッターをマークした。

僕の生活で7人乗りを欲することはまずない。だから同じ車台で同じパワーユニットで2列5席の3008ならさらに、という思いはなくはない。でもこの巨漢を見事に御し切ったプジョーに脱帽したという意味では、やっぱり5008がスゴイ、と純粋に思うのである。



■プジョー5008GTハイブリッド
駆動方式 フロント横置きエンジン+モーター前輪駆動
全長×全幅×全高 4810×1895×1735mm
ホイールベース 2900mm
トレッド(前/後) 1615/1615mm
車両重量 1740kg
エンジン形式 水冷直列3気筒DOHCターボ+モーター
ボア×ストローク 75×90.5mm
排気量 1199cc
最高出力(エンジン、モーター) 100kW/5500rpm、16kW/4264rpm
最大トルク(エンジン、モーター) 230Nm/1750rpm、51Nm/750-2499rpm
変速機 6段デュアルクラッチ式自動MT
サスペンション(前) マクファーソン・ストラット+コイル
サスペンション(後) トーションビーム+コイル
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ・サイズ(前後) 225/55R19
車両本体価格 599万円(アルカンターラ・パッケージ)

文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=岡村智明

(ENGINE2026年5月号)
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